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#203 "supernova"

「本当のありがとうは,ありがとうじゃ足りないんだ」胸に刺さる,BUMP OF CHICKENの歌の中の一つ,supernovaの一節. 前回に続いて,やっぱりバンプの藤原さんは詩人です.

超新星

 歌のタイトル supernova は,「超新星」のこと.新星を超える明るさを突如と放つ星のこと.星が生まれるのではなく,星がそのとてつもなく大きな質量で大爆発をした後の「星の人生の一瞬」の明るい輝きのこと.人間の時間で見ると,突然明るくなり”ず~っと”輝いているように見えます.

 この意味を知って,あらためて曲 supernova の歌詞を眺めると,深い意味を込めて作られていることに気づきます.心地良いリフレインの"La La La La, Hey Hey Hey, La La La La, Wow Wow Wow" のコーラス繰り返しを聴き曲の世界に引き込まれますが,詩だけ眺めてもその観念の世界に引き込まれます. 

「本当」

 存在について,哲学的な思考を繰り返していると思います.「本当の大事さ」「本当を掴みたくて」など,計7回の「本当」が詩に現れます.時々は前後で同じ意味が逆の意味で使われて(おやっ?)と思わせる仕掛けがあります. 例えば,「本当のありがとうは,ありがとじゃ足りないんだ」とあると,(Aは,Aではないんだ)という構造なので,(Aって,いったい何?)と読み手(聞き手)に考えさせます.「本当」って何? これを考えさせるのが,supernova なのでしょう.目の前に見える,数万年前の宇宙の旅を経て届いた、星の一生の一瞬の光を見て,人間はその存在を知ります.「本当」について,考えずにはいられない詩です.

親からの恩

 最近聞かなくなった言葉の一つに「恩」があるかと思います.ご恩と奉公ではないけれど,なぜか前時代的な感じがする言葉です.「おかげ」という言葉に置き換えれば,今でもその意味が薄らぐことはないと考えます.

 新型コロナの影響で一年ぶりに帰った実家への車の運転中,supernova を車内で一人聴いていました.「本当のありがとうは,ありがとうじゃ足りないんだ」 このフレーズが,あらためて胸に刺さりました.6年前に他界した父の仏壇にお参りして,実家の”天体望遠鏡”など,今では使わなくなったガラクタを片付けての帰り道,やはり supernova を聴いていました.

「僕らの時計は止まらないで,動くんだ 
 La La La La, Hey Hey Hey, La La La La, Wow Wow Wow」