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#82 ダヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」お気に入りのTED talk(4)

TED-EDの中でも、「ウッソー!!」と驚く話が私の”お気に入り”の上位を占め、その中の一つがレオナルド・ダヴィンチのあの有名な「人体図」の説明です。

単なるデザインでない人体図

このTEDーEDを見るまで、あの有名な人体図は、”単なる”円の中心に男性の裸体が直立と足を広げ、手は水平と斜め上方へ上げているだけだと思っていましたが、の方は気づいていたのですが、正方形があったんですね。(いつも体の中央付近で目のやり場に困りますが、、)

「円積問題」

この円と正方形の面積がとても意味がありました。古代より「等しい円と正方形をどうやって描くか」という”円積問題”というのがあったそうです。中世のいわゆるルネサンス期にレオナルドは、「人間の身長と等しい正方形」と、「手足を広げて接する円」の二つの面積が等しいとこの人体図で言っていたというのです。実際には、ほぼ等しいのであって厳密には等しくありません。

人体をスケールの基準とするのは、日本でも間口(まぐち)を両腕を広げた一間(いっけん)と言うのに似ています。建築家のル・コルビュジエの身体スケールをもとにする設計手法”モジュロール”も、広義にみればレオナルドの人体図に基づいていると言えると思います。

人間の立ち位置は?

「ルネサンス」は、ギリシアやローマ文化の「再生・復活」を行う文化復興運動だと後世では捉えていますが、その時代に生きていたミケランジェロやレオナルドたちは、本当にそう思っていたのでしょうか?多分、本人たちは新しいものを作るときに、過去の”遺物”の中でリメイクできる土台を探していたのだと想像します。中世暗黒時代とペストの蔓延期を過ぎ、社会構造の土台が変わり、教会主導から中産階級、地方領主が力を蓄え始め、それまでの教会の視点から見た世界観から「人間の立場」から見た世界観に変わり始めたのが、ルネサンス期の当事者たちが考えていたことではないかなと思います。

 TEDーEDの中身を全て書くのは、ネタバレになるので書けませんが、レオナルドのこの人体図に込めたであろう思いを解説を聞いて思うと、「人間の立ち位置」をこの人体図の直立した人体に込めたのではないかと思えてきました。面積の等しい「正方形」と「円」の重なりと、人体図の重なり、色々な意味が重ねられているのではないかと空想するのも、このデザインの楽しみだなーと思い見返しています。

(写真引用元:https://photo.mie-eetoko.com/photo/118)