一番難しい壁に登ろうとする息子に、簡単な方を勧めようとした私
本格的なクライミング初体験の息子が「一番難しい壁に挑戦する」と言ったとき、わたしはもっと難易度の低い壁を勧めようとした。
最後まで登り切れた方が良いと、思ったからだ。
それでも息子は、一番難しい壁を登り始めた。
案の定、少し登ってはすぐ落ち、また登ってはすぐ落ちる、を繰り返す姿を見て「ほら言わんこっちゃない。全然上手くできないじゃんか」と思いながら見ていたけど、
息子は落ちる度にまたすぐ登り始めて、いつのまにか少しずつ登れる距離が長くなっていった。
そして結局のところ、最後まで登り切ることはできなかったけど、「4段目までいった!」と壁を見上げる姿は、誇らしさに溢れていた。
息子は、はじめに壁を選ぶとき、全部を見渡してから、迷いもなく「一番難しいこの壁にする」と言った。
自分が「できるか/できないか」なんていうことは考えていなくて、「やってみたい」気持ちにただ素直に従っていた。
最終的に壁は登り切ることはできなかったけど、確かに彼は何かを成し遂げていた。
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自分にできるレベルのことを選択すれば、それなりに上手にやることもできるし、失敗もしない。でも、成長もしない。
わたしは、躊躇なく失敗を繰り返す息子を見て、自分はカッコ悪い姿をひとに見せるのが嫌で、無意識に「失敗しない選択」ばかりしているのかもしれないと、思った。
上手くやれることを選んで、それなりにできる自分に満足して、上手にできないことには挑戦しない。そんなカッコつけたがりな自分が、そこにいた。
でも、本当にかっこいいのは、堂々と失敗を繰り返しながら、少しずつ少しずつ成長していける人だと思う。
なんでも、最初から上手にできるはずがない。上手にできなくたって、全然いいんだ。
大切なのは「できるか/できないか」じゃなくて、自分が「やってみたい」と思ったことに一歩踏み出す勇気だ。
もっともっと、失敗への恐れや、完璧への執着を、手放していきたいな。
皆さんは、「失敗する勇気」ありますか?
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