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フリーランスチームを2年半運営する中でわかった、仕事を任せるコツ

「人に仕事を任せることができない」という相談がよく寄せられます。

個人としての仕事から、フリーランス広報ユニット「ふたり広報」でのチーム体制の仕事に舵を切って約2年半。1ヶ月の広報支援社数は、15〜20社にのぼるため、到底ひとりでは対応しきれません。

長期間の海外旅行や二拠点暮らしなど、移動の多い生活をしているので「その期間の仕事はどうしているの…?」という疑問を抱く方も多いですが、このようなワーク&ライフスタイルが実現できているのは、「人に任せる」ことをポジティブに実践しているから。

「任せたい」と思いつつ、「任せるよりも自分でやった方がいい」と、なかなかチームメンバーに任せられないフリーランスやマイクロ法人の経営者の方のお話を聞きます。

私自身も試行錯誤を経て、今ではほとんどの仕事をチームで受けているので、その中で大切にしていることをお伝えできればと思います。


任せるための最初の1歩

「ふたり広報」を結成して3ヶ月後の写真

自分の名前で仕事を獲得してきた方にとって、その仕事を手放し、相手に任せるには勇気が必要です。

「納品物のクオリティが低かったらどうしよう」「クライアントに満足してもらえなかったら…?」「予算や納期の設定はどのくらいが適切なんだろう?」など不安や疑問がたくさん出てくるはず。

これまで自分に任せてもらっていた仕事を「他の誰かに任せる」ことをクライアントに相談するのも、気が重く感じられるかもしれません。

では一方で、「任せること」のメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

  • 仕事のキャパシティが広がる

  • 得意なことに集中できる

  • 苦手なことを手放せる

  • 働き方の自由度が増える

1名体制から複数名体制にすることで、クオリティを高めたり、チェックを強化することも可能です。

短期的に考えるとひとりで行う方が楽に感じられるかもしれませんが、長期的に考えれば「任せる」ことで確実にできることが広がります

まずは「人に任せてもいいのかな?」という自身のマインドブロックを外して、「人に任せることが良い仕事に繋がる」と考えてみてください。

いきなりマインドを変えることが難しい場合は、素敵なチームのロールモデルを探すこともおすすめです。世の中の素晴らしい仕事の多くは、チームで作られています。

私が運営する広報チームを立ち上げる際にも、チームワークの高い企業を参考にコンセプトや活動内容を考えました。

仕事を任せる際に常に心がけている5つのこと

チームメンバーやフリーランスの方にお仕事をお願いする時に、心がけているポイントをお伝えします。

①任せる範囲は「自分のできること」から

まずは「自分が確実にできること」から任せることをおすすめします。例えば、自分がライターであれば、記事制作を誰かに任せるというように。

いきなり自分の専門外の仕事を誰かに任せると、スキルのミスマッチが起きた際に取り返しがつかないことになってしまいますが、自分ができることの範囲であればリカバリーが効きます。

自身も経験があるためディレクションがしやすく、納品物のクオリティを判断することもできます。

その際にもいきなりすべてを任せるのではなく、記事制作であれば、最初は「執筆」をお願いしてみる。次は「インタビュー」と「執筆」を。それから、「構成案」と「質問表」の作成まで依頼する。

というように、少しずつ業務を切り出し、段階的に任せる範囲を広げることで、期待値のズレやミスコミュニケーションなどの”事故”を防ぎ、双方にとって良い形で業務を進行することができます。

②相手の得意と苦手を認識する

仕事のスキルとは別に、誰もが得意・不得意を持っているはず。

例えば、「クオリティは高いが、納期に間に合わないことがある」「文章力は高いが、企画力に苦手意識がある」など。

チームで働くメリットは、強みを活かせることだと考えているので、できる限り相手の強みにフォーカスし、苦手な部分は私や他のメンバーが補う形を模索します。もちろん自分にも苦手なことはあるので、それは素直に伝えています!

③情報はできる限りオープンにする

チームメンバーに依頼をする時は、ご依頼の背景や企画意図、ブランドの世界観、打ち合わせ時の先方の雰囲気や期待値など、自分が持っている情報はなるべく伝えきるようにしています。

中長期的なプロジェクトであればメンバーを集めてキックオフを行い、スピード感が早いプロジェクトであれば、Slackに必要情報や資料をまとめて共有し、メンバーが常に情報をキャッチアップできる状態を作ります。

なぜなら、少ない情報でつくるものと、様々な情報があった上でつくるものでは、アウトプットの質に違いが出るから。

クライアント窓口を担当する人と、そうでないチームメンバーでは、持っている情報に偏りが生じることが多々あるので、意識的に情報を共有することが大切です。

また、クライアントからいただいたフィードバックをメンバーに伝えることも忘れずに。クライアントの声は、大きな励みになります。

④抽象度は段階的に高めていく

初めての仕事やまだ数回目の場合は、、依頼内容をなるべく具体的に伝えて、アウトプットイメージが揃うようにします。

例えば、バナーのデザインであれば、テキストや写真など必要な要素の指示はもちろん、具体的な色やフォントに加え、参考画像も添えて送ります。

ですが、徐々に回数を重ね、クライアントへの理解が深まり、チームとしても意思疎通がスムーズになったタイミングでは、「柔らかさが伝わる色味で」「夏っぽい感じで」など、あえて抽象度を上げて依頼を行います。

そうすることで、ディレクターの”想像以上のアウトプット”に出会うことができるのです。

ただし初期から抽象度の高いオーダーをすると、イメージが大きくズレてしまう危険があるので、あくまでも段階的に行うことを意識しています。

⑤クライアントへの他己紹介で信頼を獲得する

クライアントにチームメンバーや外部のフリーランスの方を紹介する際には、なぜその方に依頼したのかという理由を伝えます。

例えば、観光系の撮影案件であれば、「以前、◯◯という案件でご一緒した際に写真撮影をお願いしたのですが、その雰囲気が今回のイメージにぴったりだと思い、お願いしました。旅行が好きで、最近はこんなところでも写真を撮られていたんですよ」など、仕事面+人柄が伝わる他己紹介を意識しています。

ここをおざなりにしてしまうと、クライアントと心の距離が離れてしまい、パートナーとして認識していただきづらくなります。クライアントにとってもその人に頼むことがより良い効果につながると信じてもらえるよう、丁寧に他己紹介を行います。

気持ちよく仕事を任せるために効果的だったこと

山梨でのワーケーションの様子

仕事を任せる上で、「ふたり広報」チームで取り入れてよかったことをTipsとしてご紹介します。

定期的な1on1

メンバーと定期的に個別で話す機会を設け、悩んでいることや、これからやりたいことを聞くようにしています。プロジェクトのアサイン時に、そこでの内容を思い返して参考にしています。

自社でのトライアル

いきなりクライアントワークを任せるのは、ハードルが高いなと思われる時には自社の広報活動(noteやプレスリリースの執筆など)から任せるようにしています。納品物のクオリティチェックはもちろん、仕事上のコミュニケーションもわかるので、実際のクライアントワークに活かしやすいです。

チームワーケーション

メンバーが増えてきたタイミングで、ワーケーションを実施。仕事面だけでなく、お互いの性格面も深く知ることができ、心理的安全性がとても高まりました。

やりたくないことを任せるのではない。あなたに任せたいから任せるというメッセージを

ここまで、お仕事をお任せする際に実践していることやTipsをお伝えしましたが、やはり最初に書いたお願いする際のマインドが最も大切だと思っています。

広報のお仕事は、その会社やサービスを「広める」お仕事なので、共感ができない事業やサービスの広報を引き受けることはありません。

なので言葉を返せば、「ふたり広報」の仕事は、すべて心からやりたいと思っている仕事です。

なのでその仕事を依頼する際には、面倒な業務としてではなく、「より良い仕事をするためにあなたにお願いしたいです」という気持ちを込めて、依頼をするようにしています。

依頼者がその仕事を雑務として扱っているか、そうでないかは受け取り手に伝わるものです。

「あなたに任せたいから任せる」という真摯な気持ちで仕事を任せることができたら、きっとその期待に応える仕事が返ってくると信じています。

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