暇でつまらない仕事か、忙しくて楽しい仕事か。

バイトをクビになりまくっていた時期、単発バイトで倉庫の仕事をしていた。

9時から18時まで働いて日給7500円。

渡された一覧表通りに、雑貨を箱詰めしていくというピッキングというやつだった。

黙々作業が得意な私に、このバイトは向いていた。

誰とも一言もしゃべらず、だだっ広い倉庫をぐるぐると歩いた。

ノルマはないし、サボっていてもバレないので、トイレの個室でスマホをいじったりもしていた。

しかし、サボりを含めても、ピッキングのバイトは時間の経過がめちゃめちゃ遅く感じられた。

そろそろ1時間経っただろうと時計を見ても、まだ30分。

18時を迎える頃には、肉体的にではなく、精神的にかなりやつれてしまうのだった。

そんなバイトにも「ベテラン」はいて、単発バイトメンバーに交わらず、ベテランたちだけで集まってお昼ご飯を食べていた。

話している内容は、いつも仕事のことだった。

倉庫の地味な作業が終わって休憩している間も、地味な作業の話。

私はベテランメンバーたちを見ながら、こんな倉庫の仕事で一生を終えるのは嫌だな、と感じた。


社会人になってからは倉庫のバイトとは対照的に、休憩時間が惜しく思えるほど多忙だった。

私の会社には「昼休み」という概念がほぼない。

「昼休み」ではなく、「ご飯を食べながら仕事」の時間だった。

1時間の休憩を使っても、仕事は定時に終わらない。

というか、打ち合わせがふつうに定時後にある。

常にタスクに追われながら仕事をしていると、気付いたら金曜になっている。

多忙な分、時間の流れがめちゃめちゃ早く感じられた。

倉庫の時より働いている時間は明らか長いのに、実感としてはそんなに長く働いてる感じはしないのだった。


日本の仕事の大体は、「つまらなくて暇」「楽しいけど多忙」のどちらかに分類される。

「つまらなくて多忙」はあるけど、「楽しくて暇」はほぼない。

「楽しくて暇」がほぼないのは、世の中の花形職種は例外なく激務であると同時、仕事中に暇であることはなんだかんだいってつらいからである。

スケジュールがみっちり詰まっているけどきっちり定時で帰れる楽しい仕事、があったら私にこっそり教えて欲しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?