なんかよく分からない恐怖症を持った男

これはもう何年も前の話。

私の知り合いの一人のある男とであった。

その男は過去のある事により、ある事に対して嫌悪や恐怖を抱いていた。

その男はもう何年もあっていないが、ゴールデンウィーク中に、あの当時の日記を偶然、見つけて、彼の事を思い出した。

まず、その男は、本来であれば、単なる異性愛者である。

そして、性欲もなくはない。

ただ、一つ、問題なのは・・・。

結婚や恋愛や色恋沙汰や性交や女性器などという言葉に対して、非常に恐怖と嫌悪を感じるというものだった。

普通に話している時は、別に問題はなく、話せるのは確認済み。

そして、R18な動画サイトで、行為自体を見ると性的な興奮はするらしいのと、マスターベーションはできるらしい。

ただ、リアルの目の前にいる女性に対して、接触はしたいという欲求はあるらしいが、その一方で、近づいてはいけないと考えているらしい。しかも、心臓がバクバクとなり、変な倦怠感のようなものが起きるとまで言っていた。どうしても近づいてはいけないと体が反応していると。

要はアクセルとブレーキを同時に踏むような変な感覚に苛まれていると言っていた。

話を聴くと、どうも、かなりややこしい事情で、恐怖を抱くようになったらしい。

まず、問題の彼は中学までは、特に、いたって普通だったという。ただ、性的な事はどこか遠い世界の事のように思えていて、周りのガキの話を聴いて、マスターベーションがどうたらとか、ブリーフじゃなくて、トランクスがどうたらとか、なんか、言っている男子の話を聴いて、何を言いたいのか分からなかったという。ただ、恋愛感情や性欲は持っていたらしく、中学の時に、女子生徒に告っては振られるの繰り返しだったらしい。なお、実は、年上に本命がいたらしいが、結局、手を出すことが出来なかったことを後悔したとか、言ってた。

ただ、高校の時に、彼が好きだった女子が退学をしたことが、恋愛などに嫌悪や恐怖を抱く、引き金になったとか、言っていた。

まず、その女子だが、退学の理由が「妊娠」だったらしい。

そして、誰の子かは分からないという。

というのも、話を聴く限り、「援助交際」(パパ活というよりは売春の要素が大きい)をやっていたらしい疑いがある。

その結果、誰だか、分からない子を身ごもって退学になったとか。

私が聴く限り、その女子の自業自得なだけだと思うんだけど、その問題の男はそう考えなかった。

その男は、その女子が性交をやった結果、身ごもって退学をしたのならば、性交という行動自体が諸悪の根源であると考えてしまったようだ。

そして、性交が悪いならば、一生、女と交わらなければいいと。そうすれば、その女の一生は、子供という「怪物」により、「食い物」にされなくて済むと。そう考えてしまったようだ。

性交をしなければ、女子生徒や女子学生なら、学校を退学にならずに済むし、会社を務めている女性なら、出産のせいで、キャリアを棒に振る必要がなくなると、そういう考えに陥ってしまったという。

性欲はありつつも、抑制を過剰なぐらい働くという。

私からすれば、かなりとち狂った話なんだがね。

なぜ、そういう考えに陥ったかと言えば、一つには彼の家庭環境に問題があったと思う。その家庭は、母親に権力が集中していたらしい。そして、女性を異様なほど神格化して伝えたらしい。

「問題は女性よりも男性にある。」と

そう吹き込まれたそうだ。

どういう世界観だよ、と言いたくなる。

正直言って、問題がある女性はそこそこいる事を私は知っている。

特に、性的な問題行動を起こしているのは普通にいるし、ハニートラップや色仕掛けなどというものが存在しているという事も知っている。

でも、あの世界観だと、そういう女性は存在せず、全て男が悪いと、そういう風に考えてしまうだけの土壌があるのかもしれない。

世の中には、悪教育というものは存在するんだなと思う。

それにしても、まあ、そりゃ、女性に対して、性交を迫ったり、性暴力をしてこないだけ、彼はマシなのかもしれないが、ただ、なんとなくだが、「余計なお世話だ」と言いたくなった。

だって、女性側の意思がそこには介在しないから。

本当のところ、子供が欲しかったにせよ、その男にはそれが通じることはないし、たとえ退学してでも、相手の男の元に走りたかった女子学生や女子生徒がいたにせよ、そういう感覚は一切、彼は理解する事ができないみたいだ。

ある意味、恋愛小説や劇を見ても何がいいのか分からないという。

全く、理解できないと。

そういうとち狂った男を過去に見た事がある。

それにしても、彼は、今、どうしているのだろうかねと、少し心配になっている自分がいる。