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ハロウィンのイベント中と知らずに訪れた、不思議なハプニングの話

つい先日、5年間使ったスマホを機種変更しました。
このご時世ということもあり、今回は店頭には行かずにオンラインショップで端末を注文、データの引き継ぎも全て通信アプリで済ませることが出来て、時代の流れを実感しました。

前回の5年前の機種変更は、忘れもしない2016年10月30日のことです。携帯ショップに入ると、フロアには警察官や消防士さん、白衣を来たお医者さん。カウンターの向こうには、シンデレラや白雪姫、猫耳と黒い尻尾を付けたお姉さん。なんと店員さんがみんな仮装をしていて、そういえばちょうどハロウィンの時期だったと思い出しました。

私が呆気に取られていると、受付ブースのドラキュラさんが声を掛けてくれました。「本日はどのようなご用件でしょうか?」日曜日ということもありカウンターはお客さんで一杯だったので、待合室のテーブル席で、次に検討している新機種や変更後のプランなどの説明を受けました。黒いマントの似合う、とても丁寧で知的な吸血鬼でした。

順番が来てカウンターに呼ばれ、私の応対を担当してくれたのはスーパーマリオのお兄さんでした。髭はありませんでしたが、オーバーオールとMのマークの帽子が似合う、穏和そうな人でした。両隣りの席はホットパンツの黒猫のお姉さんと、ミニスカートのシンデレラのお姉さんでしたので、もし自分の担当だったなら、危うく鼻の下が伸びてカウンターに垂れ下がってしまうところでした。

手続きが進み、契約の説明を受けていた時に、ちょうど着信が来てしまい、「後で折り返します」と答えたのですが、その直後から何やら様子がおかしく、スーパーマリオさんの顔が青ざめています。「あの…移行は済んでいるので、お手持ちのお電話はもう使えないはずなんですが…」「えっ、通話出来ましたけど…」「しょ、少々お待ち下さい!」

どうやら、私がもう一台持っているタブレット端末の契約が間違って新機種に移行されてしまったらしく、しかもその取消の手続きが煩雑で、さらに時間が掛かってしまうとのことでした。しかし私は、平謝りのマリオさんを責める気にはなれません。そもそも年の近い異性の同僚たちが、露出度の高いコスプレ衣装で真面目に仕事しているのですから、集中出来なくて当然です。むしろ男性店員さんはこのカオスな状況で良くやっていると思ったくらいです。

待っている間、お医者さんや警察官が話の相手をしてくれて、白雪姫が温かいお茶を運んできてくれました。人生において白雪姫にお茶を頂けるという貴重な経験が出来たことだけでも、このハプニングには感謝しかありません。

無事に手続きが終わった帰り際、スーパーマリオのお兄さんが、お詫びにとプレゼントをくれました。カボチャの形のバスケットに、仮装で使えるようなオバケのお面が蓋になっていて、中には子供向けの小さなお菓子が入っていました。きっとハロウィンイベントでちびっ子にプレゼントするお菓子セットなのだと思いますが、ご本人は至って真剣に謝ってくれているのに、マリオの衣装やプレゼントがこの状況と合っていなくて、逆に笑ってしまいました。

 

あの日から5年、一般的なスマホの電池の寿命からするとよく持った方だと思いますが、新しいスマホにも、これから色々と頑張ってもらおうと思っています。そんな訳で、5年前にハロウィンのイベント中と知らずに訪れた携帯ショップでの、とても不思議な出来事の話でした。


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