【ピリカ文庫】スケッチブック
ここ数年、人生の目標を見失ってからの自分は、無機質なアンドロイドのようだ。いや、人工知能が感情を持ち始めた時代に、この例えはもう古いのかも知れない。
名ばかりの休日、増え続ける業務。時間と体力を仕事に全振りして、生活ギリギリの給料で日々を凌ぐ。今日も仕事で残った資料を家に持ち帰ろうとしたその時、2年後輩の丸山京香が首を傾けてこちらを覗きこんだ。
「あっ、スケッチブックじゃないですか!」
迂闊にもカバンを開けた際に見られてしまった。持ち帰る書類を大量に放り込むために買