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ナラティブアプローチ〜あなたが主人公の物語〜

入透です!

今回はまた久しぶりにカウンセリングに関する理論のお話!
とはいえ専門的な話ではなく、例によって私たちが日々を生きる上で役に立つ記事にしていきたいなーと思ってます。

というわけで早速やっていきましょう!
今回のテーマは「ナラティブアプローチ」というもの。

1990年にオーストラリアのホワイトさんとニュージーランドのエプストンさんが創始した、かなり新しいカウンセリング理論です。

"ナラティブ"には"語り"、"物語"という意味があり、このアプローチではクライエントさんが自分の人生を振り返って語る「人生ストーリー」が大きなテーマになってきます。

支配的な物語

私たちが自分の経験を誰かに語るときには、どういった気分になるでしょうか。
嬉しいこと、楽しいことに関する経験なら、そのときのことを思い出して、うきうきしたり、誇らしい気持ちになったりするかもしれませんね。
一方、失敗したことや、嫌な思い出について語るときはどうでしょう。
自分が惨めに思えたり、情けない気持ちになったりすることもある人が多いのではないでしょうか。
大抵の場合、私たちは成功体験より失敗体験のほうをよく思い出します。失敗から学ぶ必要があったり、時には人から責められることによって思い出さざるを得なくなったりする場面があるからです。
その結果、失敗体験の記憶で埋め尽くされた頭の中に、ある文章が生まれます。

「私はなんてダメな人間なんだろう」
「私は仕事ができない人間なんだ」
「私にはなんの取り柄もない」


いかがでしょう?
頻度の差こそあれ、誰もが一度は上記のようなことを思ったことがあるのではないでしょうか。
そして、これらの文章を繰り返し自分に語りかける、あるいは他人から投げかけられることで、無意識にそれに沿った人生ストーリーを構築していきます。
その結果、「自分は何の取り柄もない人間である」という"支配的な物語=ドミナント・ストーリー"に行動や考えが支配されてしまうのです。


ユニークな新しい物語

それでは、この支配的な物語から自由になるにはどうしたら良いのでしょう。

先述したホワイトとエプストンは、支配的な物語の原因を「外在化」することが重要であると述べています。

"問題を外在化する"とはつまり、問題=自分ではなく、自分の中に(あるいは一部が)問題があるという考え方をすることです。
先の支配的な物語を作る文章として、
「私は〜だ」
というフレーズが目立ちましたよね。
この語り方になってしまうと、「私」と「問題」が一体化され、まるで「私」という存在そのものが「問題」であるように感じられるのです。
これを、
「私の中に(あるいは一部に)〜という問題がある」
という考え方にしていくこと、これが問題の外在化です。「私」と「問題」はあくまでも別物である、という考え方を獲得していくのです(この考え方については、ACTについての記事で詳しく説明していますので、よかったらご一読ください!)。
問題を外在化していくには、いくつかのヒントがあります。
一つ目は、問題に名前をつけること。名前をつけることで、その問題は自分ではない別の存在として捉えやすくなります。
そして、その「問題」の歴史を辿る(例えば、その問題が自分の人生にどう影響してきたか)ことで、自己理解を進めていきます。このとき、この「問題」に立ち向かった経験、「問題」を無視することができた経験、あるいは、何故か「問題」に振り回されずにすんだ経験という、「ユニークな結果」が浮かびあがって来ます。このユニークな結果に気づくことが二つ目のヒントです。
問題に名前をつけ、それと対峙した物語の中のユニークな結果に気づいていくことで、私たちを支配するドミナント・ストーリーを打ち砕く糸口を見出すことができます。
そして、ドミナント・ストーリーを打破することによって、"新しい物語=オルタナティブ・ストーリー"を作り直していけるのです。この新しい物語もまた、誰かに語っていくことによってより確かなものにしていくことができます。
この、支配的な古い物語の打破とユニークで新しい物語の構築を語りによって行っていくことが、心理学におけるナラティブ・アプローチなのです。

自分自身の物語を語ろう

以上が、ナラティブ・アプローチについてのお話。
今、自分の人生に悩んでいるという人はもちろん、必ずしも大きな悩みがなかったとしても、
「今、私が生きている人生って、どういう物語なんだろう?」
ということについて考えてみることで、今まで気づかなかった自分の本音や可能性に気づけるかもしれません。

また、"物語の書き換え"まではいかなくても、"自分の人生を振り返って誰かに話してみる"ことって、想像以上にすっきりするものです。

このナラティブ・アプローチを通して自己理解を進めてもらうきっかけとして、ATELIER SUIでは新たに「ナラティブ・ピクチャー」という企画を始めてみました!
「ナラティブ・ピクチャー」とは言葉通り、"人生の物語を絵にする"企画です。
カウンセリングっていうと悩んでることについての話以外がしにくいですが、「ナラティブ・ピクチャー」は人生を振り返ることが大きな目的なので、嬉しいこと、頑張ったことなど何をお話いただいてもOK
もちろん、セッション〜絵の制作は、カウンセラーでありアーティストでもある入透が全て請け負います。

絵のイメージ↓


似顔絵屋さんって沢山あるけど、心の内面を描いてくれるサービスって、あんまりないですよね。
自分の心を絵にしてもらう、似顔絵ならぬ「似心絵」っていうイメージを持ってもらうと面白いかもしれません!

と、いうわけで最後は新企画告知になってしまいましたが(笑)、まだまだカウンセリングを身近にしていくための活動をしていきますので、今後の記事もお楽しみにー!

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