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子どもと一緒に、泣きたい自分がいた。

「じぶんで!じぶんで!」
1歳の娘の小さな手をふりほどいて、強引にチャイルドシートに手をかける。
「もう、自分でやる時間なんてないよ」
「お兄ちゃんも、早く乗りなさい」
焦れば焦るほど、ガチャガチャという音が響く。

後部座席から、娘の泣き声。
「わたしは何のために、働いているんだろう?」
「こんなの、思っていたママと全然ちがう」

外は晴れているのに、赤信号がぼやけて見えなくなった。

一人で子育てをしているときは、常に何かに追われていたように思う。
1日は24時間しかないのに、「やるべきこと」がパズルのピースのように、複雑にはまっている。
1つでもピースがずれてしまうと、後のピースがどんどんはまらなくなる気がする。
少しのズレも、許しがたいのだ。

子どもが自分で靴を履きたがるとき。
アリの行列に見とれているとき。
バナナの房から1本を取りたがっているとき。

自分の想定外のことを、見守る「余白」が欲しかった。
でも、どうしても、それが許せなかった。
許してしまったら、今まで必死に組み立ててきたパズルが、なし崩しに壊れてしまいそうだった。

ずっと、子どもと一緒に泣きたい自分がいた。
大きな声で、思い切り泣ける子ども達が、羨ましかったのかもしれない。

「泣いても、いいよ」
10年近く経って、あの時の私に言ってあげたい。

子ども達に「邪魔されて」「崩されて」しまったと感じた、あの時のパズルのピース。
邪魔されたのでも、崩されたのでも、台無しにされたのでもない。
子ども達は、あの時の私がどうしても欲しかった「余白」を、贈ってくれていたんだ。

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助産師hana
子育てで、癒やされ、満たされる
~家族を、安心できる自分の居場所に~

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