dry
花が落ちる 影の向こう
黒いタールに 淡と短
際限なく 滲んで
戻れない
指の先から 蝕んでいく
奪われた熱が 排気を吸って
膨らむように
霞む視界に
羽ばたく鳥も見えない
君が言った
君が言った
君が言った
君が言った
僕が言った
抜け落ちた味のないガム
君が塗った
君が裂いた
君が憎んだ
水の入っていない花瓶が割れる
サイレンが 響き渡ったって
逃げることなんてしないで
正義なんて曖昧に消えた
傷ついた、そればかり繰り返し
信じてた 高速に落として 見失った
幾つもの光が 窓ガラスに映っては消えた
傷つけたことも知らない
淀む 眩む 揺れる 水面に
腐りかけた 水蜜桃の匂い
ガラスのような目で
いつまでも
見ていた
見ていた
見ていた
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