【藍染】型糊置き体験1
さて現在の情勢から中止になっているけれど、例年通りであれば今日(2/27)は歴史と民俗の博物館(@saitama_rekimin)に出張で型付け~染め体験の講座に行ってるはずの日でした。
ちなみに、だいたい2月末あたりの土曜日に年一回でやっていて、うちの作業メンバーほぼ総出で十数人の受講生を見ています。年によって内容が変わることもあるのですが、最近はおおよそ手ぬぐいよりすこし長いくらいのサイズの生地2枚に糊置きで、片方は両面、もう片方は自由という形が多かったと思います。両面置きは結構大変なのですが、慣れてる参加者が多いので、片面糊置き2枚だと時間が余ってしまうくらいになので、最近は難易度に幅をもたせています。
申し訳のないことにどうしても対応できる人数に限度があるため、例年枠の取り合いになっているらしく、先着で取っていたときは受付開始から人気コンサートチケットばりの電話攻勢が必要(混雑してつながらない)だったとか。ここのところは抽選になっているそうです。
というわけで、そういう日だしちょっと型付けの話を諸々の余談ありで。道具さえ用意できれば、簡易的には個人単位でも出来ますので趣味でやる人向けにも。趣味とはいえ本格的にやるという人には改めて説明することはあまりないと思うのですが、体験講座行く程度には興味あるけど、昨今の情勢から行けない人向けに…くらいかな?
言葉で説明すると長くなるけど、体験だと実演しながら説明するのでそこまで細かいことはいいません。でも細かいことも把握して同じような体験に臨むとうまく出来ることもあるかもしれない…かな?長くなるので、後で記事をわけて整理するかな?
さて、こちらでやってる体験ではある程度の道具は現地に揃っていますが、型などはうちで保管しているものを、糊など日持ちのしない調整の必要なものは当日朝に作って持っていっています。糊はきのり(もち粉+糠+石灰+塩を練って煮るor蒸したもの)を使い、そこに型付けの内容・都合などに合わせて糠と石灰をさらに加えて調整し糊切れを良くします。
余談ですが、実際の糊の調子には天候や石灰のアルカリ度合いなど色んな要素が絡む上に、糊置きしたその日だけではなく染までの期間で天候要素が変わるので『あらゆる意味でベスト』という再現は難しく、出来る限りの調整をしながら作業完了まで天候その他の要素に合わせて他の工程でも工夫を混ぜ込みます。
最近は宣伝文句として逆のことを言われたりしますが、かつて職人にとって『こだわり』は悪だったというのはそういうことでもあるんだと思います。こだわり=悪というのは『拘泥』という言葉の使われ方には残っていますね。こだわりにかける負担を消費者に回すか製作者が持つのかにもよりますが、個人単位ならまだしもその負担が重ければ重いほど長く広く使い続けられるようにすることはできなくなります。本来、拘りの良い面だけを受けられるのは広く長くとは逆に個人・単体で完結したり、(結果的にはともかく)広がりを必ずしも求めない『趣味の世界』や『芸術の世界』で、社会を支えるような生産現場ではないということなのでしょう。細部の、ミクロの拘りよりも、全体の、マクロなバランスを目指すのが本来の職人のあり方なんだと思います。その上でマクロなバランスを最善に近づけるのに必要な細部をきちんと熟せるのが熟達して一流に「なった」職人なのでしょう。
閑話休題。
体験で使う主な道具は主にこちらになります。
・木べら
・防染糊
・おがくず
・柔らかく小さいほうき(製図用ほうきなどがおすすめです。)
・型(水に強い紙を使用したもの)
・生地(染める甕の深さ>生地幅に収まるもの)
・藍甕(博物館にあります。)
その他、アク抜きに使う酸水なども使いますが、普通に水でしっかり洗うようにしても大きな問題はありません。家で実際にためしてはいないのですが、藍甕については、最近は簡易的にであれば色素と助剤コミコミで溶かして使えるものも売っていたりします。糊もお湯で練って作れるものも売ってたりするのでそれを使ってもそれなりのものは体験できると思います。おがくずも買えると思いますし、周りにつかないように気をつけて乾かすなど出来るのであれば必ずしも必要とは限りません。他のものでの代用も効きます。後述の糊置き過程から考えて判断してみてもいいと思います。
というわけで、型付け/型糊置きについての作業と注意点は次の記事へ。
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