見出し画像

8月8日、山のあなたの空遠く

「幸」住むとひとのいふ

カール・ブッセ 上田敏 訳
 
山のあなたの 空遠く
「幸」住むと ひとのいふ
噫われひとと 尋(と)めゆきて
涙さしぐみ かへり来(き)ぬ
山のあなたに なほとおく
「幸」住むと ひとのいふ

めっちゃいい詩ですよね。外国語はてんでだめなのでドイツ詩人ブッセさんの原詞はわからないのですが…。「海潮音」に詩をまとめた、上田さんの訳詞のセンスが素晴らしいなと思います。

ふんわり解説するなら、
山の向こうには幸せがあるって聞いたんだ。
尋ね探したけどなかったよ。悲しいね泣いちゃうね。
あの山のもっと向こうに幸せがあるって世の人々は語り継いだよ。

的な?ネットでもっとキレイな解説あると思うので、そちらをご参照ください。

今日の本題は、山繋がりで「遠野物語」についての本を紹介したいと思います。

今日は「國男忌」です。

公休日の山の日が11日なので、この日に紹介しようと思ったら。
今日8月8日は日本の民俗学者「柳田國男」先生のご命日だそうで、「國男忌」または「柳叟忌.りゅうそうき」というのだそうです。
なので、今日ご本紹介しますね。

岩手県の遠野地方で聞き取り調査をした民話を1910年一冊の本にまとめているのですが、文学としての評価も高く神秘的な日本を彷彿とさせる素晴らしい本です。
柳田先生は他にも有名書籍多いのですが、知名度も面白さも「遠野物語」が1番面白いと思います。
なんていうか、日本のグリム、ペローって感じ。

遠野物語に出てくる
河童、座敷童、天狗、山男などの妖怪談
マヨイガ(迷い家)、オシラ様などの不思議現象や神にまつわる伝承
山を主に自然が神域と化すその物語は、
今なお私たちを惹きつけ、現代の創作にも多大なイマジネーションをもたらしてくれます。ありがたい!

ただ、当時の言葉で書かれているので現代語訳が必要なのがネックなのかなと思います。
現代語訳は数名の作家さんが挑戦されてるようです。

なかでも、京極夏彦先生の現代語訳版が人気らしいです。ホラーミステリの作家先生で、ページ数が毎回多い鈍器みたいな本を書かれる先生です。幅広く活躍されているのでご存知の方は多いと思いますが一応補足までに


でも今日オススメしたい本がもう一冊

遠野物語を知らなくても多少は楽しめると思います。知ってるならなお面白い。

民俗学、文学、心理学の面から遠野物語を見つめ直した本。
「遠野物語 遭遇と鎮魂」河合俊雄・赤坂憲雄 編です。

どうして遠野物語は怖いのか魅力的なのか。
何故山が舞台になるのか。自然への畏怖とは。
まるで抒情詩のように美しい!
と、心理学という新しい観点も含めて見つめ直したいっさつです。
上記編者+7名の学者による論文は、良い解説にも新しい発見にもなるので是非読んでほしいです! 

遠野物語はすこーーし怖ーーい話なので、夏にもぴったりですよ!


私はリンクの仕方を覚えて楽しいので貼ってみましたが。柳田先生は色んな出版社が、京極先生訳は角川さんが、色んな装丁で出されてるのでぜひ見比べてみてください!


これは沖縄のグスク。ただの山のようだけど色んな逸話があるんだよ。沖縄にも遠野物語に負けず劣らずのお話があるから今度お話ししますね。

追記:書けました↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?