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2020年10月の記事一覧
貴方解剖純愛歌~死ね~#6【インスパイア小説】
一旦竜馬たちと別れ、僕は一人落ち着かない気持ちで講義を受けていた。なんとか断る理由を探し出そうとしたが、一向にいい案は出て来ず、無情に時間は過ぎていった。
仕方なく教室を出ると【Buzz】に向かって歩き始めた。実際のところネガティブな気持ちだけじゃなく、これから森川さんと同じ時間を過ごせるということに、高揚してる部分ももちろんあった。だけど、うまく話せる自信なんて一ミリもなければ、いつも通りの自
貴方解剖純愛歌~死ね~#5【インスパイア小説】
三限を終え、次の講義までの時間が空いた僕と竜馬は、学食で遅めの昼食を取っていた。この時間は学生もまばらで席にも余裕がある。
「あの新宿で見た子うちの学生だったんだ」
竜馬が生姜焼きを箸でつまみ上げながら言う。
「そう。からのまさかの強制レンカノに駆り出されて。もう訳わかんないって」
僕は納豆をかき混ぜながら返す。
「でも可愛かったんだろ?新からもLINE来たぞ」
見せられたスマホの画面には、気色
貴方解剖純愛歌~死ね~#4【インスパイア小説】
信号が青に変わるのを待つため、交差点で立ち止まると陽葵が言った。
「買い物したらお腹減っちゃった。よし、見た目は最低ラインクリア出来たから、ここからは私をエスコートしてみてよ」
「え?エスコートってどこに?」
「それは自分で考える。男ならデートで彼女を連れてく鉄板コースの一つや二つマストで抑えてくおくもんでしょ」
「急にそんなこと言われても……」
「いいから蒼がいつも行くとこでいいから連れてってよ
貴方解剖純愛歌~死ね~#3【インスパイア小説】
日曜の昼過ぎ、アップルストアの前の通りは、多くの人が行き交っている。カラッと晴れた空から降り注ぐ太陽の光は、じっとしていると暑いぐらいで僕はパーカーを脱いだ。僕の視界に入る人々すべてが、順風満帆の人生を歩んでるかのように、皆キラキラして見える。それは表参道という不慣れな場所に立っているせいか。自分が今この場にいることが一番似つかわしくないのではないだろうか。もう30分以上この場にいるが全く落ち着か
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