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なりたかった自分にはなれなかったけれど。

実は私は学生時代に留学をしていました。夏休みの間にする1週間とか2週間の語学留学とかではなく、交換留学生として数ヶ月間大学へ通いました。
これは海外生活でいろんな刺激を受けて、ひと回りもふた回りも成長した話ではありません。

私が留学しようと思ったきっかけは、単純に楽しそうだったから。
イッテQが大好きで、海外に行っていろんな景色を見てみたいという思いがありました。
そして、当時の私は今なら何でもできると無双状態でした。
元々人見知りで、ネガティブで、自分に自信がありませんでした。
そんな私ですが、大学生になってからというもの、思考を改善して、コミュニケーション能力を磨いたおかげで、ずっとなりたかった自分の理想像に近づいていました。

誰とでも仲良くなれて、ポジティブで、やりたいことをやっていてキラキラした人。

それはもう毎日充実した気持ちで過ごしていました。

ところがいざ留学に行くと、英語がわからない。
留学先の学生はもちろん、他の国から来た留学生も、他の大学から来た日本人留学生もみんなペラペラ。それもそうです、語学留学ではなくみんな専門科目を学びに来ています。

明らかに自分だけ英語ができない状況に劣等感に苛まれました。
それでも留学先のみんなは私をいろんなところに連れて行ってくれて、
美味しいものをたくさん教えてくれました。
日本と生活水準が違うところだったので、お腹を壊したり、熱を出したりして体調を崩すと余計にネガティブ思考に陥りました。

泣きながらあと何日で帰れるか数える日々。
できないことばかり考えて、努力もできない。
いつの間にか、嫌いだった自分に戻っていました。

留学は「失敗」だったと。
やっぱり人は変われないんだと思いました。

それでもなんだかんだ無事に帰国して、大学を卒業して数年が経った今。
留学先で仲良くなった現地の友達が、技能実習生として日本に来ています。

先日、彼と一緒にオンラインでYoutubeの動画を撮影しました。
思い返すと、現地で仲良くなった日本人の友達ともお互いのところへ旅行をしに行ったりもしました。今でも留学先で出会った人とは連絡を取っています。

このことに気づいた私は「あれ、数年前の私じゃ世界に、日本に、こんなに友達がいるの想像できなかったな」と思いました。

私が欲しかったのはキラキラした自分じゃなくて、友達だったのかなと。
だとしたら、なりたかった自分にはなれなかったけど、欲しかったものは手に入れることができたと。数年越しに留学をした自分を肯定できました。

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確かに私は留学したくせに英語はできないし、なんでもyeahで乗り切ろうとするし、積極性もないけど、写真フォルダにある大自然の景色とか、友達との写真を見るたびにこれは自分が掴んだ景色だと思い出します。そして留学先の友達と連絡を取るたびに、日本にいたら間違いなく出会えなかった人達だと気付かされます。

自分に必要なものはありました。
欲張ってあれもこれもと望んでは、勝手に打ちのめされていました。

自分のことが嫌いになる時は、誰かと比べている時。
憧れるあの人みたいじゃなくても、自分が望めば欲しいものは手に入れられる。
そのままの自分でも。

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