見出し画像

繋がりとは、存在そのものに感謝出来る関係のような気がします。

初心を忘れないように記録していたオープン前のことをnote用にまとめたものです。
食事と一緒に出される止め椀は、デザインから漆を塗るまでの工程を、友人と妻と僕がやりました。ちなみに妻は『出来る嫁』と言われています。

お客様の中には、「お椀って自分で作れるんですか?」とびっくりされる方もいますが、もちろん作れます。
どうやってお椀が出来るか、興味があれば是非読んでみてください。

と偉そうに言っていますが、僕は口を出しただけで、飛騨高山に住む友人とうちの出来る嫁が作りました。ちなみに口を出すことをデザインと自分は言ってまして、こんな流れです。

デザイン: 島田 歩(店主)

木地製作: のんちゃん(友人)

漆: 島田 由美江(店主の妻)

たまにプロデュースと言ってみたりもしてるかな。
僕以外の2人も趣味でこういう事してます。

直径が広く、浅めで、持った時に手に馴染むような丸みがあり、ほんわかするようなイメージだったのですが、そのイメージ通りになったので、のんちゃんとうちの出来る嫁は凄いなあと思う。

お椀内部の底には、お店からのメッセージを書きました。お味噌汁を飲みほすと現れます。
余談ですが、お味噌汁の味噌も自家製です。


◆木地の出来るまで
まずは簡単に木地の説明ですが、木は縦木で木取りされたものを使います。
縦木って何?って思う人も沢山いると思いますが、縦木とはまず木を輪切りにする。
その断面に器の口径を書き、切り出していく。
こう切り出すことにより、ねじれ等が少なくなり、お椀に適してると言われています。

こんな感じ↓

画像1

結構分かりやすい絵だと思うのですがどうでしょう。iPadでこんな絵が描けるんですね。

気をとりなおしてどうぞ。

飛騨高山で木工職人をやっている友人が、木地を調達しに行く時に、「週末に山中まで木地を取りに行ってきます。」みたいな内容のメールが来ました。そのメールを最初に読んだ時に、「山の中に入って取ってくるの?」と思ってしまいましたが、山中塗りでも有名な石川県の山中を言ってたみたいです。

画像2

右が山中から仕入れたばかりの状態。左が最初にロクロでひいた状態。燻煙乾燥されているので右側の方は色が濃いですね。

山中では、完全分業制になっていて、木地師の前に、生の木から縦木や横木で木の塊をとり、荒削りして、燻煙による乾燥をする業者さんがいるんだそうです。乾燥する期間はおよそ半年ほどで、これにより、お椀にした後に木の狂いが出にくくなります。

下の写真が友人のんちゃんが、栃の木という木をひいているところです。

画像3

木地をろくろで回転させ、ノミを当てると、だんだんとお椀らしい形になっていく。

画像4

まだフチが厚いですが、だんだんとお椀の形になっていきます。

画像5

高台をなめらかにしています。美しい。


◆漆塗り
ここからはうちの出来る嫁の出番。

画像6

飛騨高山から届いたばかりの状態。


画像7

木地全体にヤスリをかけて、肌を滑らかにします。フチの部分は口をつけた時に優しい感触になるよう、丸みをつけました。

いよいよ漆塗りの始まりです。


画像8

まずは、木地に漆を吸い込ませます。

少し希釈した生漆を塗ると、木が漆を吸い込んですぐに乾いた状態になります。吸わなくなるまでたっぷりと塗って、最後に拭き取ります。

生漆(きうるし)とは、漆の木から採ったそのままの樹液です。

漆を吸い込んで、木目がはっきりでて来ました。

画像9

数日間、湿り気があって温かい場所で乾かします。

「湿り気があるところで乾かすの?」

と、妻から聞い時に思いましたが、漆を「乾かす」と言うのは、水分を飛ばす乾燥ではなく、湿度と温度のある場所で漆を硬化させるという、化学反応のようなものなのだそうです。

乾いたら生漆をすり込む。

これを2回ほど繰り返しました。


画像10

仕上げは、古代朱と言われる渋めの赤にするつもりですが、まずは下地として呂色という黒い漆を塗っていきます。

塗る・乾かす、磨くを3回ほど繰り返し、漆の層を作りました。

漆を何度も塗り重ねることによって耐久性などが増す。


画像11

いよいよ色をつける。

「木地呂」という漆に朱色の顔料を混ぜて赤色を作ります。


画像12

漆と顔料がしっかり混ざるように、専用の道具を使って練るようにして混ぜる。

画像13

漆を和紙で濾して、漆に混ざっているホコリをとりのぞいてるところ。

画像14

赤い漆を3回塗り重ねました。こちらも塗る、乾かす、磨くを3回です。写真は下地にすでに色が付いているので、2回目の塗り。

画像15

今回は、乾かす時に湿度を低めにしてゆっくりと硬化させる。こうすることで、発色がマッドな感じになります。

画像16

好きな色に仕上がりました。

最後にお椀の中に漆の白色でお店からのメッセージを書きました。

自分たちで作るからこそ出来る和食島田洋服店ならではの器となっています。


◆最後に・・・

偶然身近にこういう事が出来る人達がいて、損得無しに面白がって僕のお店作りに協力してくれる、この巡り合わせに感謝するばかりです。

繋がりとは、薄っぺらな人脈なんかでは無く、存在そのものに感謝が出来る関係のような気がします。


面白がって僕のお店作りに協力してくれた人達↓  テーブルと壁


お店の紹介↓


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

よろしければサポートお願いします。いただいたサポートは、年末に地域でお餅つきをします。年末年始の風物詩を繋ぎましょう!

最高!
119
料理人。三軒茶屋で和食島田洋服店と言う日本料理屋の店主をしています。 自分史的に振り返れるように、日記を書いています。料理にまつわることが多くなると思います。 お店もよろしくお願いします→ https://w-shimada-y.tokyo/

この記事が入っているマガジン

和食島田洋服店にまつわる話
和食島田洋服店にまつわる話
  • 14本

オープン前から今現在進行形の『和食島田洋服店』に、まつわる話。note始めたばかりなので、まだオープン前の話です。下から時系列になっているので、下から読み上げていくと面白いはず。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。