エピソード#29 「家に帰りたい」、タイミングを逃さずに多職種がチームとなりサポートする。
入院中の方で 今のタイミングを逃すと自宅には帰宅が出来ないというギリギリの体調の方の退院送迎をさせていただきました。
嬉しいことに「看護師ドライバーがいる」というところからの依頼でした。
嬉しい気持ちと同じくらいに責任ある仕事だと自分に気合いを入れました。
今回のご依頼は、振り返ると、 病院のソーシャルワーカーさん、病棟看護師、訪問診療の医師・看護師、訪問看護ステーションの看護師、福祉用具の会社の方、そしてご家族と 皆がそれぞれの役割を行い、連携が できたと感じます。
ソーシャルワーカーさんから依頼をいただいた時に、自宅が昔ながらの玄関で、上がり框や縁側が高さがあるという情報があり、看護師の私が 今回は送迎をさせていただくにあたり、ここをクリアしないと自宅に安全に帰ることができないと思い、自宅を下見させていただきました。
ご家族とも相談し、部屋に入るには縁側から出入りするのが一番良さそうということになり、伸び縮みができる弊社のスロープを使う予定としました。
ただ、最大限に伸ばしても 勾配はあるので、ご家族のご協力をお願いしました。
当日、病棟にお迎えに行くと ご本人はベッドに横たわり不安そうな表情。
ご挨拶し、病棟のナースと車椅子に移乗。姿勢を確認し、酸素流量も確認し、出発。
車中でも 最初は不安そうな表情をされていましたが、声かけを多くし、「姿勢が辛かったりしたら 車を安全な場所に停めて直しますから 言ってくださいね」などと 伝えました。
走行中、ミラー越しに ご本人を観察していると 眉間にシワを寄せ始めたので 「どうしました?苦しいですか?身体が痛いとこありますか?」と聞くと、「なんとなく 身体がきつい」と言われたので 安全な場所に停車し、クッション等を使ってご本人の安楽な姿勢を整え、再び 走行しました。
その後は 同乗されたご家族と少し会話をしたり、車窓から海を眺めたりされ、自宅が近づくと
ホッとされている表情をされていました。
自宅に到着すると たくさんのご家族が「お帰りなさい」と出迎えてくれました。
そして、 訪問診療の先生とナース、訪問看護ステーションのナースが待っていてくださり、私がホッとしてしまいました。
先生が 酸素ボンベを持ってくれて降車を手伝ってくださり、縁側にスロープをかける予定でしたが、ご家族が たくさん集まって、車椅子ごと利用者様を持ち上げてくれて自宅の中にお連れし、訪問診療のナースと訪問看護ステーションのナース、そして私で ベッド移乗・ベッド周りの環境を整えたりと いう連携で ご利用者様は ご自宅に無事に帰りました。
数日後、再び入院となるのですが、訪問診療のナースから「リクライニング車椅子かストレッチャーがいい」という情報があり、リクライニング車椅子を積んで 向かいました。
ご自宅には訪問看護ステーションのナースが居られ、身支度を整えてくださっていて ご利用者様の体調の注意点や痛みの部位など詳細を申し送ってくださいました。
ご利用者様の体調から リクライニング車椅子をベッドサイドにつけ、平行移動するのが 苦痛が少ないと思い、私と訪問看護師、そしてご家族で平行移動。リクライニング車椅子ごと 皆で協力して抱えて 縁側の高さも安全にクリアし、車まで移動しました。
ご家族だけでなく、ご近所の方も集まってきて「〇〇さん、帰ってきてくれてありがとう」と 声を掛けてくださいました。
ご本人も 意識が朦朧としている中でも、頷いておられました。
病院に到着した時間も 朝早めでしたが、ナースや助手さんがたくさん来てくださり、この時に 訪問看護師から申し送りがあった体調の注意点などを病棟ナースにも伝えたので、手厚く、苦痛が少なく ベッドに移乗することができました。
「家に帰りたい」、そう願う患者様は たくさんいます。
そのタイミングを逃さずに その方に必要なサービスを 多職種が チームとなって 叶えられるようにサポートする。
今回は 私は すごく、『チーム』を感じられた学びが多い関わりをさせていただきました。
ありがとうございました。
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