生後一ヶ月の心の色
生後一ヶ月が経った。
おめでとう、娘
お疲れさま、私と夫。
さよなら新生児期。
産んだ当日には「二度と経験したくない」と思うくらい出産はしんどい作業だったけど、日々目の前の娘に振り回されて過ごしてるうちにあの壮絶な痛みはすっかり忘れてしまった。
さらにいえば、産後の後陣痛や会陰切開の傷の痛み、産前より悪化した尿漏れ、極度の寝不足、肩こり、腱鞘炎一歩手前の腕の痛み、産後のホルモンによるメンタルダメージなどなど、この一ヶ月は色々と大変だったはずだけど、これらについても早くも記憶が遠のき始めた。
喉元過ぎればなんとやらで、すでに諸々の記憶は尊い思い出に書き換えられつつある。
人間の忘却能力にはびっくりだ。
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昨日の娘と今日の娘は同じように見えるのに、一ヶ月毎日撮った写真を並べてみると、いつの間にかサイズも表情も大きく変わっている。
「この表情はいつまで見られるのかな」と一瞬一瞬が惜しくなってくる。
いま目の前にかわいくて仕方のない娘本人がいるのに、同時に数日前の写真や動画を何度も眺めてしまう。
かわいいをこんなに連発する夫も見たことがなかったし、
自分の子どもが世界一かわいく見えるなんて、親バカにはならないと思っていたのになっている。
うまく言葉にできないけれど、夫と娘と私とがようやくほんとの家族って形になったような感覚もある。
子どもの親になるっていうのはこんなに不思議で賑やかで尊いことだったのか。
これは人生で経験したことのない感情で、
今日はじめて家族3人でお出かけできた歓びも相まってだろうか、溢れ出す多幸感をすこし持て余している土曜の午後だった。