見出し画像

我が子は天使で夫は超人だった

桜の見頃直前に入院し、退院したら桜の見頃が終わっていた。

その間に私は、世にもかわいい赤ちゃんをこの世に一人産み落とした。

3月27日(月)のことである。
予定日より8日早かった。

まだ生後12日、絶賛産褥婦×新生児コンビの私がnoteを開きポチポチ執筆できる心身の余裕があるのは様々な幸運に恵まれているからに過ぎない。

なお今は赤ちゃんを授乳クッションの上に乗せおっぱいをあげながらスマホでこれを書きつづっている。

(片胸10〜15分×2)×1日8回、乳首をしごかれ吸われながらかわいい我が子を見つめ続けるのはさすがにきつい。スマホでもしていれば乳首の痛みと不快感も忘れて頻回授乳を耐えることができる。

それにしても、乳幼児のお世話界隈ではおっぱい、乳首、おしっこ、うんちその他下ネタワードが突如日常ワードとして幅を効かせるようになるこの現象はなんなのでしょう。この現象に違和感を抱きつつも、私もまたこの現象に飲み込まれている。

さて、私なりのドラマはあったけど、結果だけをいえば初産にしてスーパーハイスピード安産だった。母子手帳に記載された陣痛時間は4時間12分。あまりの分娩スピードに夫の立ち会いが危うく間に合わないところだった。

夫は、私の強い懇願もあって退院日から3日間の休みを取得してくれ(育休ではない)家での育児は比較的スムーズなスタートを切れたように思う。

本当は育休を取得してほしかったけど、夫の職場の事情もあるからしかたがない。でもたとえ3日でも、家ではじめて赤ちゃんと過ごす最初の3日間に夫が一緒にいてくれたことの意義はかなり大きかったと感じている。

強化合宿のようだった入院生活で私が習得してきた新生児育児の基本作業OJTを夫に施し、夫もまた真摯に吸収してくれた。

夫はその合間に出生届の提出と児童手当の申請のために区役所に行ってくれ、買い出しに何度も出てくれ(車がないので徒歩)、作り置きを何品も作ってくれ、使ったキッチンはきれいになおし、習ったばかりのオムツ替えをしてくれ、オムツでいっぱいになったゴミ箱のゴミ袋を替えてくれ、オムツの減りの速さを目の当たりにして早めにストックを買いに行ってくれ、私がおっぱいをあげれば母乳に補足してるミルクの用意をしてくれ、哺乳瓶を洗って煮沸消毒してくれ、床掃除をしてくれ、一緒に沐浴してくれ、沐浴後私が赤ちゃんに保湿やお着替えをしている最中にお風呂場の後片付けをしてくれ、私に食事を用意してくれ、私が食べた後の後片付けをしてくれ、2人の大人息抜きタイムもうまく作り出してくれ、深夜赤ちゃんがぐずったら「愛ちゃん代わるよ」と私と抱っこを交代して私を寝かせてくれ、「うんちが出てない時間が長すぎるな」と私がいえば明け方4時に綿棒浣腸をしてくれ、赤ちゃんがようやく眠れば「愛ちゃん何か飲む?」と私に気にかけてくれ、「ごめんね、休みはもう少し取ればよかったね」といってくれた。  

とにかく座る間もなくひたすら動き続けてくれた。

さらには私の産後の状態についてもよく理解してくれていて、それはじわじわと救いになっている。

退院日はまだまともに歩けない私を置いてスタスタと一人先に歩いていた夫だけど、一緒にいたら間もなく「お腹はへこんだけどまだ臨月妊婦並に労わる必要があるんだな」と短時間で理解してくれた。

鉄人、超人、神夫!

繁忙期(いま)の夫は、ひどい日には朝5時前後に家を出て、帰宅は0時を過ぎることもある。休憩も短いし、ない日もある。

よく体がもつなぁと夫の強靭な体力を日頃から尊敬半分心配半分で見ていたけれど、その働きっぷりを家ではじめて目の当たりにしたようだった。

とにかく夫が家にいれば百人力。

膨大な作業の細々したことまで頭に入っており、段取りもよく仕事に漏れがない。

仕事柄だろうか、いわゆる「名もなき家事」など夫は息をするように終わらせていく。なにからなにまで細かいことにもよく気がつき流れるように作業を進める。

料理人、おそるべし。

買い出し、下準備、調理、配膳、洗い物、キッチン掃除、衛生管理、在庫管理など、家事育児に直結する実践的スキルの守備範囲が広すぎる。

これまでも十分夫を心強いと感じていたけれど、これほど強力な底力をみせてくれるとは…と改めて夫に惚れ直した。

里帰り出産せず、親戚も友人もいない大阪でひとりで産むことにした私は、産後にサポートしてくれる人は夫以外にいるのかと色んな人から散々心配されて来た。

だけど夫が一人いればうちは百人力。

もちろんそんな夫だって、本当ははじめて抱く我が子に翻弄され、私と共に振り回されている。決して赤ちゃんのお世話に慣れているわけではない。

だけど夫と一緒なら、夫が育休を取れなくても私たちは二人三脚できる。

退院してからまだ1週間も経っていないけれど、この最初の数日でそう思えたことは幸せだ。

疲労困憊になりながら明け方眠たい瞼をこすりつつ我が子を眺めては、かわいいかわいいと今日も夫と二人で連呼する。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?