幸せな報告と宣戦布告

では、会議の終わりにみなさんにご報告があります。
田中先生どうぞ。

校長先生、時間を作って頂きありがとうございます。
私事で大変恐縮ですが、
私はこの度、パートナーシップを結ばせて頂きました。
相手の方は、違う市町村で、同じ先生をやられている方です。
名前は変わりません。
今後ともよろしくお願いいたします。

ーそれは、同性の方と、ということなんですか？

人の性別はその人自身が決めるものです。
その質問に私は答えることができませんが、
代わりに一つお聞きしてもいいでしょうか？

私が、婚姻届を出しました。と報告していたら、
異性の方とですか？と質問されましたか？


せっかくお話しさせて頂く場を頂いたので、
ほんの少しだけ、私の気持ちをお伝えします。

私たちは、これからの人生を一緒に歩むことを望んでいますが、残念ながら婚姻届を出す権利がありません。
そのことは、とても悲しく無力に感じます。
でも、今私たちが向き合っている子どもたちが、この社会をいずれ変えてくれると信じているので、
前向きな気持ちで、今楽しくこの生活を送っています。

私たちのこの存在が、どこかで隠れて生きている子、悩んでいる子、居場所がないと泣いている子の、救いになればと思い、皆さんにお伝えします。

私たちは、ある一定数の性的少数者ではありません。みなさんの中にある無数のグラデーションの中の、ひとつの形です。
どうか一括りに名前をつけず、揶揄せず、
ただただ、尊敬する人と一緒に生活していける幸せをお祝いしていただけたら嬉しいです。

そして、もし心の中にドキッとするものがある方がいらっしゃったら、
そのしこりを作ってきた言葉や、態度を、今後子どもたちに決して向けないと約束してください。

私は隠してきたつもりはありません。
ただこの場所で、生きてきたのです。