「第2話ホームレス」ホームレス猫タマ
<第2話>
二日ほど過ぎた夜、ぽつぽつと雨が降ってきた。
やがて本降りになって滑り台の下の箱もぐしょりと濡れてきた。
もう、2 匹の猫には鳴く元気もない。ぐったりとした体に、雨が容赦なく襲いかかって いた。
その時、大きな手が箱を持ち上げ、中をのぞきこみ 「お前さんたちは結局、誰にも救ってもらえなかったのだな。ずっと見ていたけど、も う限界だよな。」と言った。箱を抱えて、少し離れた木の茂っているブルーシートの小屋に連れていかれた。助けてくれたのは、公園のはずれでホームレスしているケンさんだった。
ケンさんは、やさしく濡れた体をふいてくれて、ミルクを飲ませてくれた。 「もう心配ない。ゆっくりお休み」と優しく言ってくれた。 ケンさんと、一緒に暮らすようになった 2 匹は、しばらくするとみるみる元気になった。痩せ細っていた相棒は、だんだんとふっくらしてきた。
そうこうしているうちに、ボクたちは公園の中でも遊ぶようになった。公園に来る 子供たちともいつの間にか仲良くなった。公園に来る子供の一人が、ボクのことをタマ と呼ぶようになった。細い方の相棒をガリと名付けた。いつの間にか、子供たち はみな「タマ、ガリ」と呼んでおやつを持ってきてくれるようになった。
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