Q:戦後、体重増加しているのは?①男性 ②女性 ③男女両方
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Q:戦後、体重増加しているのは?①男性 ②女性 ③男女両方

窪田あい(管理栄養士)

「メタボ」が流行語大賞を受賞したのは2006年のことです。「メタボリックシンドローム(以下メタボ)」は、糖尿病や心筋梗塞などのリスクを高めるため、太っている=不健康というイメージが定着しました。

ですが一方で、痩せる=健康・美しいというイメージから、近年、若い女性の痩せが問題になっています。

また近年では、高齢者におけるサルコペニア(筋力低下による痩せ)という問題もあり、メタボ以外にも体重に関わる健康上の問題で、知るべき情報が増えています。

戦後、太り続けているのは男性だけ!

 戦後、高度成長期を経て、日本は食の欧米化、24時間営業のコンビニの普及、車や電車などの交通手段の発展、リモコンやパソコンなどの急速な普及によって、過食を引き起こす環境、活動量を低下させる環境に大きく変化しました。

そのため、日本人は、太る傾向にあると思われがちですが、実際は、下図①にあるように、肥満指数(BMI)は、男性だけが右肩上がりで、女性はそれほど増加していません。それどころか20~30代の女性は減少しています。

 これは高度成長期に巻き起こったダイエットブームの影響と言われ、今もなおそのブームは継続中、若い女性の痩せ問題に発展しています。それは、無月経や骨粗鬆症の健康上の問題が起きてくることに加え、妊娠時、低体重児の出生率が上昇することがわかっています。それだけでなく、その赤ちゃんが将来メタボや糖尿病、脳梗塞などの疾患を発症するリスクが高くなると言われ研究が進められています。

図①

実は、痩せている方が死亡リスクは高い!

 下図②は、肥満指数(BMI)と死亡リスクの関係を表したグラフです。
がん、心疾患(心筋梗塞など)、脳血管疾患(脳梗塞など)の疾患で、BMIが高い(25以上の肥満)よりBMIが低い(19以下の痩せ)が、死亡リスクが高くなっている又は同じくらいという結果が出ています。

考えてみれば、栄養が足りないよりは満たしている方が良いのは当たり前の事かもしれません。

 高齢者においては、筋肉減少(サルコペニア)による痩せによって転倒しやすくなり、それが原因で「寝たきり」になるリスクが高まり、健康寿命を縮めると問題になっています。

 筋肉量は、30歳ごろから低下がはじまり、40歳を過ぎると、どんどん減少し、適度に運動を行っていても、少しずつ減っていきます。

年齢を重ねると徐々に食欲が低下し食事量が減ることから、体重(筋肉量含む)減少につながるケースも少なくありません。

さらに「サルコペニア肥満」という「肥満(内臓脂肪型)」に「筋肉量の減少(サルコペニア)」が合併した病態も出てきています。一言で体重といっても、重い軽いだけでは判断しがたい、個々の状況に合わせて考えなければならない時代がやってきています。

図②

体重は栄養状態を知るためのモノサシ!

 栄養と健康上の問題は多様になってきていますが、できるだけ要介護にならずに、元気で自立した生活を送りたいですよね。中高年の方は、もちろん過栄養対策が重要であることは基本です。

ただ、その先にあるサルコペニアという問題を意識しておく必要があります。どこかでギアチェンジをするタイミングが訪れるかもしれないのです。

つまりは、生涯を通して適正体重を維持できるライフスタイルをということになりますが、残念ながら、現代の環境下では多くの人が課題を抱えているということなのでしょう(下図③参照)。

図③

 さいごに、体重は、栄養状態を知るための良いモノサシですが、それだけで健康状態をはかれるものでは決してありません。

昨今、いろいろなものが軽量化されていますが、やはり重さより中身が大切だと思います。性能が落ちては意味ないですもんね。

私たち人間は、生き物ですから、時を経れば少なからず機能が落ちてきます。ただ、年齢や時代のせいにはしたくないですよね、食べるものをはじめライフスタイルを自由に選べるようになったわけですから、少しでもパフォーマンスが落ちないよう選択しながら過ごしていきたいですね。

**次号「Q:10年間で10㎏体重増加!カロリーオーバーは1日あたり、どれくらい?」につづく。 **

参照)
・国民健康・栄養調査(厚生労働省、1974年身長体重調査なし)、学校保健統計(文部科学省、17歳)
・国立がん研究センターによる解析「肥満指数(BMI)と死亡リスク」
・サルコペニア肥満/小原克彦(日老医誌2014:51:99-108)
・臨床栄養別冊「健康寿命延伸をめざす栄養戦略」

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窪田あい(管理栄養士)
(株)メディヴァ、関西医科大学病院に勤務する傍ら、フリーランスとしても活動しています。前職はリクルートの広告制作ディレクター。年間のべ1000人以上の保健指導を行いながら、医学や栄養学を一般の方にわかりやすく伝えたいと講座、コラム執筆、献立作成など行っています。