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生でたべられる『たまご』への道のり。1にチェック、2にチェック、3,4がなくて、5にチェック。

『このたまご、生で食べられるの?』をフェイスブックで公開したところ、とても多くの反響がありました。やはり、多くの人が関心を持っているのだと改めて気づきました。今回は、生で食べられる『たまご』を目指し、私たち愛鶏園が、取り組んできたことを少し話します。

その前に、たまごと食中毒との関係をもう一度復習します。

 たまご由来の食中毒菌といえばやはりサルモネラ菌です。一部の種類のサルモネラ菌は、鶏に感染し、極まれに感染した鶏のたまごの中にサルモネラ菌が入り込みます。殻の外側に着いた食中毒菌を殺菌することは簡単ですが、鶏卵の中にある食中毒菌を殺菌することはできません。鶏卵のサルモネラ菌による食中毒が世界中で恐れられているのは、このインエッグとよばれるサルモネラ菌汚染が主要な原因なのです。

 サルモネラ菌は2000種類以上あり、河川、下水道、そして、ペット、家畜のなどの腸管など、自然界に当たり前に存在する菌です。しかし、人類があるレベルの量を一度に摂取すると腹痛、下痢、発熱、嘔吐を起こします。これが食中毒です。

 私たち生産者にとって厄介なことは、家畜はサルモネラ菌との親和性が高く、腸内に常在化しやすく、家畜にとって多くの場合無症状であることです。つまり、サルモネラ菌を体内に保有し、サルモネラ菌に感染したたまごを産む鶏を見つけ出すことが難しいのです。

 サルモネラ菌がないことを確認するには検体をとってサルモネラ菌の分離検査をする必要があります。ですから、たまごの安全性を100%確認するには、すべてのたまごを割卵するしかありません。しかし、商品をすべて割ることはできませんからこれは不可能です。それでは、ほかの多くの食品の通り、加熱やほかの殺菌方法があればよいのですが、残念ながら、生たまごの中のサルモネラ菌を殺菌できる方法は現在のところ発明されていませんので、これも不可能です。ですから私たちは、経験を重ね、ありとあらゆるリスクを排除し、100%に近づける努力をし続ける必要があるのです。

 たまごの安全性の確保にとってもっとも大切なことは、たまごを生産する環境中のサルモネラリスクの圧倒的な排除にあります。徹底的にサルモネラのモニタリング検査を行い、リスクが発生した場合はシステム全体を見直し徹底的に排除していきます。そのための検査範囲、検査対象、検査頻度、検査項目は、膨大であり、私たちは専門の検査員と検査施設を自前で持つことにしました。

前述したように、ある特定のサルモネラ菌は、厄介なことに、たまごを経由して感染します。つまり、産卵する母鶏は、ひよことして産まれたときにすでに感染している場合があるのです。私たちが約100年かけて創り上げてきた仕組みは、たまごを産む母鶏の管理(成鶏工程)だけでなく、その母鶏がひよこから育つまでの管理(育成工程)、そのひよこが種卵から孵化するまでの管理(孵化工程)、その種卵が生れるまでの管理(種鶏工程)、そして、その父鶏と母鶏を育てるまでの管理(種鶏育成工程)まで行うことであり、その仕組みを持つことで、サルモネラリスクを最小限にすることができるのです。種鶏(たねどり)から食卓まで、私たちはたまごの安全を確保するために、25段階のサルモネラ・モニタリング・システムをもっています。

たまご、鶏、鶏糞、飼料、埃、ネズミ、水などありとあらゆるもののサルモネラ分離検査を行います。特に重要な検査は鶏糞です。これが最も鶏の腸内の状態を把握できる手法です。ありとあらゆる工程の中で、新鮮な鶏糞を徹底的に採取します。また、鶏舎内の埃も参考となりますので徹底的に検査します。

サルモネラ菌は2000種類あります。その中には、鶏卵の食中毒になりうる種類とそうでない種類があります。私達はただサルモネラ菌の有無を調べるだけでなく、更にサルモネラ菌の種類まで特定し、敵であるサルモネラの性状を徹底的に知ることで、適切な対応をできるようにしています。

1にチェック、2にチェック、3,4がなくて、5にチェック。愛鶏園の誇るサルモネラ・モニタリング・システムは、これからも、たまごを安心して生で食べることができるよう進化をし続けていきます。


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