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新宿と銭湯と40歳の誕生日

つい先日、40歳になった。

一年前、39歳の誕生日は普通に家でこどもたちとご飯をたべていたような。
40歳の誕生日は、一年前には思いがけない1日になったので、
せっかくだから、一年後41歳の誕生日のために、40歳の誕生日の記憶を記しておこうと思う。

40歳初日(つまり誕生日)は出張先で朝8:00~12:00まで4時間みっちりミーティングだった。オンラインでは3月からほぼ毎週顔を合わせているのだけれど、リアルで会うの初めまして、または二度目ましてくらいのメンバーと。ミーティングはリラックスしながらも、アイデアあり、笑いあり、とても和やかで刺激的で心地よい時間だった。近頃、初めて会ったのにそんな気がしない人との出会いが多い。もちろん、事前にオンラインで繋がっていたということもあるのだろうけど、それだけではない、不思議な感覚のご縁が多くあって、魂が再会を求めていた人と易々繋がれるような、そんな素敵な時代到来したことをとても嬉しく思う。
ミーティング後ランチをして、前日に合ったイベントの内輪話やらで爆笑しつつ、色々用事をすませてホテルへ向かったのだが、ここからの新宿ダンジョンに想像以上にヒットポイントを消費してしまった。大きなスーツケースをゴロゴロ押してエレベーターやエスカレータに乗ったり降りたり、上がったり下がったり、もはや自分が今何階にいるのか、どこへ向かっているのかもよくわからないまま、GoogleMapを左手に握りしめて大都会の駅を彷徨い歩くこと1時間。乗換案内によると、現在地から1時間でいけるホテルへ2時間かけてやっと到着した。
ひさびさの一人夜ご飯は、到着駅の前でみかけた、少しさびれた四川飯店に行くことにした。餃子を食べようかと思いきや、なんとなく麻婆豆腐が気になり、麻婆豆腐定食と生ビール小を注文。無駄な動きと無駄な会話を一切しませんよオーラを放っている店のお兄さんがてきぱき立ち働いていて、常連さんっぽいおじさんもいつもの感じでくつろいでいて、テレビの音量がうるさいけれど、なぜだか居心地がいいという不思議なお店だった。生小をチビチビ飲みながら、ちょうどよい辛さの麻婆豆腐をもりもり食べた。もうこれ以上食べれないので一口だけ残してしまった白飯に罪悪感を抱きつつ、夕暮れの下町をぶらぶら歩く。
またもや左手にGoogleMapを握りしめ、充電の残りをちょいちょい気にしながらも、青果店や八百屋さん、魚屋さんが店じまいをしている様子に、あたりまえだけれど、都会にも人と人との触れ合いがあって日々を愛おしく暮らしている生活があるのだなぁとしみじみ感じる。当たり前なのだけれど。田舎で暮らしていると、勝手に大都会=隣近所の顔さえ知らないドライな人間関係!という勝手なイメージがあることに気づく。逆に、田舎や地方の方が、お買い物は郊外の大型スーパーで!みたいな、下町人情から離れていっているのかもしれない。
バッテリーがあと10%を切ったところで、目的のザ・下町銭湯に到着。番台のひとが、想定以上に若いおじさんでぎょっとしながら、ロッカーの陰に隠れながらさっと着替えてみた。(意識しすぎやろ)こちらの銭湯はシャワーにホースがついておらず、頭の上のシャワーっぽいものからお湯が流れるシステムらしく、これまたドギマギしながら洗髪を済ませる。銭湯慣れてますよ~風にスマートにこなせるようになりたいな。
“ぬるめ”と書いてある「寝湯」でごろごろしていると、常連らしきおばあちゃんが若干圧をかけてきたけど、そこは「Its not my probrem」という最近手にした武器を装着(エネルギー的にね)して対抗してみたらおばあちゃんが諦めて去って行ったので、ひとまず勝利。十分に温まったところで、通常の浴場に入ろうと足をつけたものの、火傷するで!!!!レベルの熱さに5秒でギブアップ。その隣の「熱め」とかかれた湯舟はどんだけ熱いのだ…と気になりつつも果敢にチャレンジする冒険心はぐっとこらえて脱衣所へもどり、また番台を意識しながら(誰も見てない)ささっと着替えて、銭湯をあとにする。普段はお風呂からあがったら、まっさきにドライヤーで髪を乾かしたい派なのだが、なんだかこの日は濡れたまま歩きたい気分だったので、またぶらぶら散歩しながらホテルへと向かう。
残り3%になった心許ないGoogleMapでちょいちょい位置を確認し、ふと信号でたちどまったところで「なんか、こんな40歳の誕生日になるとは思わなかったけど、こんな誕生日もええやん私。」とふっと思った。


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