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短歌などの感想文

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だいぶ前に書いたものを掲載している途中。
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記事一覧

「なにか嬉しいことを言つて」と朝通話君の声こそ最も嬉しきに         (高…

恋の歌のことを相聞歌(そうもんか)という。この歌集を読んで、相聞歌っていう言葉を思いだし…

今橋愛
11か月前
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ちる花はかずかぎりなしことごとく光をひきて谷にゆくかも 上田 三四二(みよじ)「…

まだこの歌に追いついていない頭のわたしがおぼつかない言葉をつけても 追いつけないのだろう…

今橋愛
1年前
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恋を数へてとしまどす(佐藤正午「恋を数えて」)

「恋を数えて」という小説 だったと思う。 どんな話かはいっこも思いだせないのに、この部分…

今橋愛
1年前
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投票所のえんぴつは不思議と書きやすし筆圧高くひと息に書く(橘夏生/大阪ジュリエッ…

一読、ああ、たしかに。と思った。 不思議と書きやすし  そうそうと思う。 筆圧高くひと息…

今橋愛
1年前
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両の手を厚く重ねて本に置く 私の夏はかがやく欅(歌集「樹雨降る」/川本千栄)

「樹雨降る」は川本千栄の第三歌集。                 46歳から51歳まで…

今橋愛
1年前
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夫も子も居ぬ昼食のうれしさよ栗入りアンパン薄く頬張り(川本千栄「樹雨降る」201…

夫も子も居ぬ昼食のうれしさよ栗入りアンパン薄く頬張り読んですぐ 分かるわー。と思った歌。…

今橋愛
1年前
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少し待つてはどうだ晩霜のやうに降る詩のきらめくまでを(「静かな生活」短歌日記2010/岡井隆/ふらんす堂)

3月31日  初桜待ちたる日々も過ぎにけり もう少し待つてはどうだ晩霜のやうに降る詩のきらめくまでを    (「静かな生活」短歌日記2010 岡井隆 ふらんす堂 ) 二〇一〇年の一年間、毎日ふらんす堂のホームページに掲げられた歌を日付順に編んだのが、この『静かな生活』である。                  (あとがきより) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 賞をもらった辺りか開いてもらった会でか短歌はなにか。と聞かれ、 短歌は

なるかみのすこしとよみてさしくもり あめもふらんか きみをとどめん(柿本人麻呂)

(2018年〜2020年くらいに書く) 「言の葉の庭」というアニメを見た。           …

今橋愛
1年前
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エミリー ザ・ストレンジ       (コズミック・デブリ作 宇多田ヒカル訳)

エミリー ザ・ストレンジ  ( コズミック・デブリ作 宇多田ヒカル訳           …

今橋愛
1年前
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房総へ花摘みにゆきそののちにつきとばさるるやうに別れき 大口玲子「海量(ハイリャ…

この歌とルーシーの歌 形容詞過去教へむとルーシーに「さびしかつた」と二度言はせたりだけを…

今橋愛
1年前
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ゆれるこころたち

一面にローズマリーの咲く丘のまばゆさにこころあとずさりする     浅野 美紀  以前、…

今橋愛
2年前
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ことのほか川を見たいと思う日のこもれびゆけばムスカリの咲く 浅野美紀

何年か前に依頼もないのに、1年ずーっと評を書いてて、それがたまっているので、ここに掲載し…

今橋愛
3年前
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本は凶器 本本本本本本本本本本本 本の雪崩 道浦母都子(みちうらもとこ) 

本は凶器 本本本本本本本本本本本 本の雪崩                   道浦母都…

今橋愛
2年前
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草の実や女子とふつうに話せない    越智 友亮

草の実や女子とふつうに話せない  越智 友亮   (「新撰21」筑紫 磐井、高山れおな、対馬 康子(邑書林)2010) もうずいぶん前のことだけれど、 短詩の勉強会で作者とご一緒する機会があり。 この句が忘れられなくなった。 食事会のとき、すぐそばでお話されている様子が  女子とふつうに話せない  そのものだったのだ。 なんてチャーミングなんだろう! 圧倒的なチャーミングさを目のあたりにして 度肝を抜かれ、 草の実や女子とふつうに話せない  が いっしゅん