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パスポートを持ってない日本人は1億人

少し前、こんなニュースが話題になりました。

「日本人のパスポート保有率、わずか17.8%」

もう少し前の調査だと20%は超えていたそうですが、今、保有率がどんどん下がっていると。

なんと、人口1億2000万人の日本で、1億人はパスポートを持っていないという計算になります。あるいは、過去には持っていたが有効期限が切れたまま、という人もいるでしょう。


この数字は、先進国では最低水準です。世界のパスポート保有率を見ると、たとえば

・アメリカは40%
・イギリスは70%
・韓国は40%
・台湾は60%

だそうです。

それと比べると、日本の17.8%というのは、とても低い数字ですよね。


「日本のパスポートはビザなしで入国できる国が多く、世界的にも信頼度が抜群に高い」ということは、皆さんよくご存知だと思います。

そんな素敵なパスポートなのに、1億人はそれを活用する権利を行使していないのです。


世界で見かけなくなった日本人旅行者

実際、「日本人が海外に行かなくなった」というのは、私も肌感覚として感じています。

私は欧米を中心に旅をしてきていますが、以前なら海外旅行の旅先で、たくさんの日本人らしき人たちを見かけることが普通でした。


でも、パンデミック以降の2022年(イギリス)、2023年(中欧)の旅行では、ほとんど日本人は見かけませんでした。

お隣の韓国からの旅行者は、ものっすごーーくたくさんいたのに。

(参考:2023年中欧旅行)


日本人が海外に行かないのは、簡単に外国に行けるヨーロッパなどと違って

・日本からはどこに行くにも渡航費が高い
・日本の会社は長期休暇が取りづらい
・日本のコロナの水際対策が厳しかったので海外旅行を敬遠する人が増えた
・円安で海外に行く旨味がなくなった

など、理由はいろいろあると思います。


でも、コロナで海外旅行に行けなくなって日本国内に目を向ける人が増えた結果、

「わざわざ高いお金払って、危険を犯して海外に行かなくても、もう日本で十分楽しいし日本で良くない?」

と思う人が増えたのではないかと勝手に思っています。


日本最高


私の高校生の姪が2022年からスイスに1年間留学していたのですが、最近日本に帰ってきました。

「どうだった?」と聞くと、もちろんスイスで楽しい思い出もいっぱいできたし、山の景色は最高にきれいだったけど、何より「日本最高!って思った」だそうです(笑)

スイスのような清潔で治安もいい、世界最高レベルの豊かな国で暮らしても、まっさきに思うのは「日本最高」ってことなんだな・・・と感慨深かったです。


実際、日本には何でもあります。

山もあるし、海もある。大都会もあるし、大自然もある。食べ物はおいしいし、治安もいい。きれいな湧き水がわんさか出る。一般国民の教育レベルが高い。

スキーもできるし、ダイビングもできる。そもそも、海も雪も両方楽しめる国なんて世界でも数えるほどしかありません。


しかも、北海道のパウダースノーは世界最高レベルと言われているし、沖縄のビーチの透明度は世界最高レベルと言われています。どちらも、世界中にファンがいます。

そんな素晴らしい日本にいれば、わざわざ海外に行くかなくてもいくらでも行く場所があるし、楽しいことがあります。


日本人はもっと危機感を持ったほうがいい

でも、恵まれた環境にいるからこそ、逆に日本人はもっと日本の外に出て外国のことを知り、そして危機感を持ったほうがいいと私は思っています。

日本がいくら居心地がいいからと言って、海外の情報を知らず、海外に興味を持たず、海外と関係を持たず、海外から分断された環境にいると、どうなるでしょうか。

海外の勢力に滅ぼされます。そうやって、世界中のいろんな文明が滅亡しました。


冷静に考えると、「最高」な日本を世界が放っておくわけがないわけで、水資源や土地などが、今もどんどん外国に買われているのはあなたもご存知だと思います。

日本人に囲まれて日本にずっと住んでいると、日本の素晴らしさが実感としてわかりづらいです。

日本の外を知らない人が増え、「日本が外国と比べてどうなのか」という比較がリアルな感覚としてできる人が減っていることが大きな問題だと思います。


実際、日本だけ見ているといろいろ不満も多いでしょう。もちろん、日本にも問題はたくさんあります。

でも、世界をもっと見て日本の素晴らしさを実感したほうがいいし、どれほど日本が世界から「狙われているか」も知ったほうがいい。

そう言うと、「江戸時代の一般庶民は海外の情報など知らなかったし、鎖国で海外から分断された環境にいたじゃないか。でも、日本は滅亡しないでやってこられた」と思うかもしれません。

それでも日本が守れたのは、日本は守りがめちゃめちゃ固い軍事強国だったから。(じゃなきゃ、鎖国なんて成立しませんよね)

当時の日本のトップたちが海外の情報をちゃんと知っていて、日本を守る気持ちがあったから。


そうでなければ、日本もポルトガルかスペインあたりの植民地にされて、今の日本は存在しなかったでしょう。その証拠に、江戸時代には他のアジアの小国は、だいたいどこもヨーロッパの植民地でした。

でも、今の日本のトップたちは日本を守る気持ちがあるどころか、日本を売る気満々な人ばかりというのが現状です。

「今の時代、海外の情報はニュースでわかる。江戸時代とは違う」そう思っている人が多いと思いますが、そもそも、都合の悪いニュースはきちんと報道されていません。


世界を知らないと、日本を語れない

よく、「日本語は外国人には難しい言葉だ」って言う人がいます。

でも、その人がいろんな外国語に精通してなければ、そんなの嘘だと思いませんか? むしろ、ほとんど日本語しか話せない人ほど、「日本語は難しい」って言いがち。


英語の達人であり、私の師匠だった松本道弘先生も、よくおっしゃってました。

「『日本語は難しい』なんてそんなこと、自慢気に言うもんじゃない。恥ずかしいから」と。

松本道弘先生


誤解のないように言っておきますが、松本先生は、日本語の難しさ、奥深さを誰よりも理解し、日本語の難しさに誰よりも悩み、それを英語で表現することを追求してきた人です。

松本先生のご著書には、武士道の言葉を英語で解説したものや、オノマトペ(擬音語)辞典などがあります。


たとえば、同じ「痛い」にしても

・チクチク
・ひりひり
・ずきずき

など、日本語にはいろんなオノマトペがありますよね。私たちにとってはそれぞれ、痛さの種類は明確に違うのですが、言葉で説明するのは本当に難しいです。

私もアメリカ人の夫からよく質問されますが、英語で明確な違いを説明するのはほぼ不可能です。だって日本語でも説明できないですもん。(苦笑)


そんな言葉を集めてオノマトペ辞典を作ったのが、松本道弘先生です。まさに、狂ってます。(褒め言葉です)

微力ながら、私も執筆のお手伝いをさせていただいたのがこの本です。↓


だから、日本語がどんなに難しいかを、松本先生は一番ご存知です。

でも、海外や他の言語のことをよく知りもしない人が、「日本語は難しい」なんて簡単に言うもんじゃないよ、とそうおっしゃっていたわけです。


それから、「日本語は世界一美しい言語」という言葉も、松本先生は大嫌いでした。

繰り返して言いますが、松本先生は、日本語の美しさを誰よりも理解していたと私は思います。

でも、どの言葉にもそれぞれの美しさがあり、特徴があり、難しさがあり、その歴史があります。日本語が「世界一」なんて、ただの奢りなんです。


あるとき、松本先生がこうおっしゃっていました。

「誰だって、自分の母国語は簡単だなんて思いたくないし、自分の言葉が世界一美しいと思いたいし、そう思ってるんだよ。

だから、『あなたの言葉は簡単だ』とか『日本語は難しいでしょう』とか、そんなこと、絶対に外国人に言っちゃいけないよ」

まさにその通りだと、自分の過去の言動を反省したことを今も忘れられません。


まとめ

私が伝えたいことは、もっと英語やその他の外国語を知り、外国人と対話をすることを通じて、日本のことを見つめ直そうということです。


「英語が話せなくても別に何も困らないけど、まあ、英語がちょこっとできたら便利だし、かっこいいな」とかじゃなく、素晴らしい日本を守るために、私たちは英語を勉強しないといけないし、もっと外を見ないといけないと本当に思っています。

だから、パスポート保有率のニュースは個人的に気になったし、海外に興味を失いつつある最近の日本人にもとても危機感を感じています。


私は、日本の未来のために外国語教育を通して少しでも貢献できればと思っています。

究極的には、海外に行くかどうかはどちらでもいいのですが、いずれにしても、教養を深め、視野を広く持ち、「実体験として」海外を感じることは絶対に不可欠だと思います。

何か、あなたにとって気づきになることが少しでもあれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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