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ツンデレ童話(3)マッチ売りのツンデレ少女

 年の瀬も押し迫った #大晦日 の夜、三人のツンデレ少女が、寒空の下で靴も履かず裸足でマッチを売っていました。

 マッチが売れなければ在庫が余って困るので、すべてを売り切るまでは家には帰れない、否、 #ツンデレ の意地にかけても帰るわけにはいきませんでした。しかし、街ゆく人々は年の瀬の慌ただしさからツンデレ少女たちには目もくれず、目の前を通り過ぎていくばかりでした。

【癒し系ツンデレ広報萌えの方必読note】

 一人目の少女は生粋のツンデレで『あんた、マッチくらい買いなさいよ。あっ、マジで買ってくれるの? べ、別にあんたに何かにマッチ買ってもらわなくたっていいんだからね。でも、少しだけ嬉しいかも♡』とマッチを売っていました。

 二人目の少女はマゾデレ気質のツンデレで、『あなたに、このマッチ買えるかしらね? えっ、わたしからマッチを買いたいの? へぇ、あなたって意外と可愛いところがあるのね。だ、だからって別にあんたからマッチ買ってもらって嬉しいとか、そんなんじゃないから♡』とマッチを売っていました。

 三人目の少女は癒し系ツンデレで、『このマッチを擦るとちょっとだけの間だけど暖かいよ。だ、だからってお子様は危ないから火遊びとかしちゃいけないんだぞ! でも薪くらいなら良いかも♡』と、寒そうな子供たちにマッチをあげていたので、少しも儲かりませんでした。

 三人のツンデレ美少女を見ていた暇人のダンデレ紳士は、 #癒し系ツンデレ 少女からマッチを買おうと決心し、『キミの癒し系ツンデレにキュンと萌えてしまって…。ボクにもマッチ売ってくれると嬉しいよ』と言って、100クローネ分のマッチを買おうとしました。しかし、癒し系ツンデレ少女は、殆どのマッチを子供たちに無料であげていたので、もう、手元には1クローネ分のマッチしか在庫がありませんでした。

『べ、別にあなたにマッチ何か買ってもらわなくてもいいのよ! 確かにあなたは素敵な紳士みたいね。でも、子供たちにマッチをあげてしまったから、もう、1クローネ分のマッチしか在庫が無いのよ』と言いました。

 それでもダンデレ紳士は、どうしても癒しツンデレのマッチが欲しかったので、『1クローネ分もあれば大丈夫。これは #レバレッジ という魔法を使った、マッチの #先物買い だから、その1クローネ分を100クローネで売ってくれないかな?』と頼みました。

#FX投資 に詳しかった癒し系ツンデレ美少女は、『あんたバっカじゃないの!? 100倍もレバレッジ掛けてたら、少しでもマッチ相場が下がると、 #マージンコール がかかるじゃない。それに日本では、25倍の #レバレッジ規制 があることくらい知らないの? 私も100倍で売れたら嬉しいけどだからって、物凄く嬉しいとかじゃないのよ。ちょっとだけ、うん、ちょっとだけ嬉しいだけだから勘違いしないでね』と言いました。

 ダンデレ紳士は、『ボクの #CFD 口座はドバイに開設しているから、日本のレバレッジ規制とか気にしなくていいんだよ。それにここはデンマークだから、日本の法律なんて…』と答えました。

『やっぱり、日本みたいに規制だらけの国と違って、デンマークやドバイは素敵ですよね。でも、マッチのCFDで100倍もレバレッジ効かす人なんて聞いたことないわ。あんた、本当にバっカじゃないの? だからってあなたが嫌いとか、そんなんじゃないのよ。ちょっと嬉しいけど、ちょっとだけだからね!』と癒し系ツンデレモード全開になりました。

『この時代のマッチには燐(リン)が使ってあるけど、今は #リン資源 が枯渇しているので、リンの先物と連動してマッチ価格は高騰するから、心配しなくても大丈夫だよ』と言って、1クローネ分のマッチを100クローネで全部買い占めました。

 癒し系ツンデレは、1クローネ分のマッチが100クローネで売れたので、思わず1クローネ分のマッチと100クローネの札束をスマホで映して、『#1クローネのマッチが100クローネで完売なう』とハッシュタグをつけて、インスタでシェアしました。

#1クローネのマッチが100クローネで完売なう

 その写真を見つけたインスタのインフルエンサーが、『#マッチが100クローネ! キター』とシェアし、デンマークのマッチ価格が一気に高騰しました。デンマークのマッチ高騰は、その日のうちにEUに飛び火し、さらにアメリカで投機筋からマッチの先物買いが入り、8時間後には、日本と中国からもマッチの先物買いが入って、1クローネ相当のマッチ価格は200クローネ、300クローネと日増しに高騰して、世界中のマッチが売り切れました。

マッチのCFD取引をしているダンデレ紳士

 そのタイミングを見計らって、ダンデレ紳士が大量にマッチの浴びせ売りをかけたので、マッチ価格はあっという間に元の1クローネに戻りましたが、ダンデレ紳士はロングとショートを絶妙なタイミングでかけて、1クローネの #証拠金 から一気に1億クローネ儲けました。

 正月明け、街は新年の賑わいに満ちていました。ダンデレ紳士は心躍らせながら、あの癒し系ツンデレ美少女がマッチを売っていた場所へ向かいました。彼の手には、彼女のおかげで得た利益の半分が握られていました。

 美少女はいつもの場所で、新しいマッチを積んだ小さなテーブルを前にしていました。紳士が近づくと、彼女はいつものツンデレさを隠しもせず、『あんた、またマッチ買いに来たの? 先週からマッチが高騰しているから、今日はちょっと値上げよ! でも、このあいだ高く買ってくれたから、今日は半値にしておいてあげる♡』と言いました。

 ダンデレ紳士は温かく微笑みながら、『いや、今日はマッチを買いに来たんじゃないんだ。キミがマッチを売ってくれて、それをインスタで拡散してくれたおかげで、本当に大きな利益が出たんだ。だから、その感謝の気持ちを込めて…』と言葉を切り、手に持っていた鞄を彼女に差し出しました。

 癒し系ツンデレ美少女は鞄を受け取り、少し怪訝な表情を浮かべながらも中を確認しました。札束が詰まった鞄を見て、彼女は驚きと戸惑いを隠せませんでした。『えっ、これ全部私に? あんた、本当にバっカなのかも…でも、ちょっとだけ嬉しいかも。ありがと、なんて言わないけど…ま、まあ、感謝くらいはしてもいいかもしれないわ』

 ダンデレ紳士は彼女の反応に心からの喜びを感じ、『君の癒し系ツンデレがなければ、こんなに儲けることはできなかったよ。だから、これは君が正当に得るべきものなんだ。新しい年、君にとっても良い年になりますように』と言って、彼女に敬意を表しました。

 彼女は少し照れくさそうに鞄を抱え、『べ、別にあんたのために売ってたわけじゃないんだからね!』と言いつつ、小さな笑顔を見せました。

 そして、二人は新年の希望に満ちた街を背に、新たな物語の幕開けを迎えるのでした。

つづく…

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