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【お仕事紹介シリーズ#2】UI/UXデザイナー「デザインでユーザーと対話しながら、"体験をデザインする"仕事」

このシリーズでは、各職種の方にインタビューして、具体的な仕事内容について紹介をしています。


アイディスの「UI/UXデザイナー」の仕事

ゲーム内のUI/UXデザインは、ホーム画面全体のデザインや、お知らせやアイテムボタンなどをデザインする仕事です。
初めて見てもすぐにどこに何があるかわかるようにして、遷移してもユーザーが目的の情報まで迷子にならず、ストレスなく体験を完了できるようにデザインを組みます。「体験の完了」とは、ゲームなら一連のシナリオ完了などを指します。シナリオとは、RPGならマップからクエストを選択し、武器を選び、バトルをしてアイテムを受け取る流れのことを指します。

ギルド遷移図
ユーザー遷移フローを考えデザインします。

どんなに面白いゲームでも、わかりにくいところや遷移して迷子になってしまうと、やる気がなくなってゲームをやめてしまいます。ストレスなくゲームを楽しめるように、次に何をすればいいのか直感的にわかる場所にボタンを配置します。さらにボタンの先に何があるか予測しやすいように言葉・色・フォントを選び、見ただけで伝わるようなデザインに仕上げます。

まとめると、ゲームのUI/UXデザイナーは、ゲームをストレスなくプレイしていただくためにデザインする仕事です。それらを総合的に考えると、デザインの範疇を超えて企画する部分も大きい仕事といえます。

それでは、UI/UXデザイナーのOさんのインタビューです。


1.自己紹介をお願いします。

UI/UXデザイナーのOです。
UI/UX(UI:ユーザーインターフェース、UX:ユーザーエクスペリエンス)という言葉は、あまり聞き慣れないかもしれません。スマホやパソコンに限って言えば、「ユーザーが操作する画面の構成全体をデザインすること」を指します。UI/UXをデザインすることを、「体験をデザインする」と表現する方もいますね。UI/UXはゲームに限らず、すべてのサービスに付随する概念です。これまで私はゲーム会社だけでなく、広告代理店などにも在籍し、能力を培えたと思っています。


2.この職業に就いた経緯について教えてください。

UI/UXデザイナーとして本格的に仕事を始めたのは、前職のゲーム会社からです。それまでは、CMコンテやWEB広告デザインなども含めて幅広く扱っていました。
UI/UXデザインは、キャラクターデザインや背景デザインなどと比べて、わかりやすいものではありませんが、「体験をデザインする」という説明の通り、ユーザーとコミュニケーションするデザインでもあります。そうしたところに面白味を感じて、UI/UXデザインへ転職しようと思ったことを覚えています。
UI/UXは、言葉ではなくデザインで人と話をしている感覚です。もともと人と話すのがとても好きなので、デザインが少し変わることでユーザーの反応も変わり、まるで対話をしているようで楽しく、とても向いている仕事だと思っています。


3.仕事のコツはなんでしょうか。

UI/UXデザインは、人に気遣いができないと就けない仕事だと感じています。
 「こうすればわかるでしょ」という独りよがりでは創り出せませんし、とても感覚的なのでユーザーからリアクションが何もないのが普通です。感覚的ということは、ユーザーの深層心理に近い部分に訴えかけることなので、デザインをしていると念を通じて会話しているような気分にもなります(笑)。 例えば、見た目が華やかなアイコンをデザインしても、誘導がうまくいかずあまりタップされなかった時は、「独りよがりになってしまった」と思いますし、かと言って控えめなデザインで作ってもダメな時は「話をしなさ過ぎて印象に残らなかった時と似ているな」と思ったりします。 相手の反応や、言葉にならない部分を汲み取るのがこの仕事のコツかもしれません。


4.やりがいがあった仕事のエピソードを教えてください。

あまり「やってやった!」というものはないですが、思い出深いものですと、以前に、ゲーム内で初めてキャラクター人気投票を開催した時です。
投票率を上げるためにどうすればいいかを考え、私のアイディアとして「できるだけいつものゲームの仕様を持っていくこと」を提案しました。こうした新しいイベントですと、真新しいデザインを使いたくなってしまうのですが、パッと見ただけですぐに投票できるようにわかりやすさを追求しました。
結果として、投票数は想定よりも多く大成功といえました。UI/UXでどれくらい効果があったか測定はできないのですが、ひとまず、ユーザーのみなさんが迷いなく投票はできたんだろうと感じて達成感はありました。
他にも期間限定ガチャのデザインにも携わっていますが、どうしたらユーザーが「思わず回したくなるだろう」というところも常に考えています。 「体験したくなってしまう」を促すのが醍醐味ですね。

2023年10月実施「ラスクラ人気投票」画面
(左が指示書、右が実装画面)


5.難しかった仕事はなんでしょうか。

特別に「この仕事が難しかった」というのはありませんが、全ての仕事に共通して「多様な意見をいかにまとめて上手い落としどころにもっていくか」にいつも難しさを感じています。 
デザインを決める際には、社内のプランナーや取引先と連携することが多々あります。自分は「こうしたほうがいい」という考えがあっても、相手は違う意見を持っていることがほとんどです。例えば、ボタンひとつとっても、目立たせたいと思う人もいれば、周りに溶け込ませたいと思う人もいます。その際に、UI/UXデザイナーは、目的やユーザーの導線や画面全体のバランスを見て、理由付けしてデザインした背景を説明し、落としどころを決めていきます。これはデザイン設計した本人でないと最終的な集約が難しいです。

オーソドックスなイベントバナー(3部シリーズもの)
バナー単体ではなく、画面全体バランスを見て彩色して、デザインしました。


6.UI/UXデザイナーになるためのアドバイスをお願いします。

「なりたい」と思った人全員ウェルカムです(笑)
ただ、企画面が強いことも特徴なので、周囲を納得させる理由付けや説得力が必須です。そのため、デザイン力の次に必要なのが「コミュニケーション能力」です。説得するには情報が必要不可欠です。新しいデザインをするなら、徹底的に調べ、周りに質問したり意見を聞いて理由付けをしっかり整えなければなりません。 UI/UXデザイナーは、目立たない裏方の仕事なので、自分のデザイン力を誇示したい方にはあまり向いていません。気付かれないような目に見えない設計を楽しめる人に向いています。

具体的なスキル面では、色彩検定やカラーコーディネーターの資格があるといいかもしれません。2022年から「UX検定」という資格も登場しているので、こちらも持っていると良いですね。


7.これからの目標について教えてください。

今後も突き詰めて「あっ」と思わせるようなUI/UXデザイナーになりたいと思います。 
UI表現の1つに「ダイエジェティックUI」という物があり、いつかやってみたいと考えています。ダイエジェティックUIとはゲーム内のキャラクターや背景に属しているUIの事を差します。本来UIとはゲーム世界に介入する事はなく、画面に張り付きプレイヤーであるユーザーに分かりやすく伝える目的である事が多いです。ダイエジェティックUIはその概念から外れ、キャラクターと同じ目線でUIを見ている感覚にさせるUIです。
具体的にいうと、キャラクターがゴーグルをしているとして、そのゴーグルの中に表示されているHUDをキャラクターと一緒に見ている感じですね。
企画の根幹から携わるデザインなので、開発するには大変ですが、今後はこういったものにチャレンジしていきたいです。
そしていつかは、世の中にまだない新しい手法を生み出していきたいと思います。


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