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【意外な経歴シリーズ#4】(後編)画家の道から、デザイナーへ方向転換

【意外な経歴の社員】シリーズの4回目の後編です。
前編では、ゲーム業界のデザイナーを目指すまでの紆余曲折についてご紹介しました。
後編では、画家からデザイナーを目指すようになった経緯とどのようにキャリアを積んで現職に就いたかをご紹介します。

前編はこちら


Q8.画家の道からデザイナーへのジョブチェンジは驚きです。経緯について教えてください。

教員と作家活動を並行する生活をしていたとき、「このまま画家を目指す道に進んでよいのか…?」と将来に悩んだ時期がありました。
そして、昔からゲームが大好きだったせいか、だんだん「ゲームを作る仕事に就きたい!」と強く思うようになりました。

イラストやデザインは元々大好きだったのですが、CGスキルは独学ではどうにもならないと感じたので、一念発起して教員を辞め、CGの専門学校に入って学び直すことにしました。


Q9.教師から学生に戻るのもすごいですね。CG専門学校への入学後はいかがでしたでしょうか。

ゲーム業界でデザイナーとして就職するには「3Dデザイナー」になるのが早いと思ったので、当時は3Dを中心に学びました。
卒業後は、しばらく紆余曲折はありましたが、何とかゲーム会社に就職でき、ようやくゲーム業界に入り込むことに成功しました(笑)当時はコンシューマーゲーム開発が主流でしたが、次第にガラケーからスマホゲーム、更にはVRゲームなど、様々なゲームの開発を経験しました。派遣や出向でいろいろな会社へ行ったせいか、その過程で3Dだけでなく、イラストレーターやアニメーターをやったり、いつの間にかUIやエフェクトのデザイナーとなっていたり、結果的に何だかいろいろやりました(笑)

そして、アイディス入社のきっかけですが、社長の早貸さんのインタビュー記事を読んだところ感銘を受けまして、たまたま親戚がアイディスで働いていたので紹介してもらい、入社しました。


Q10.入社のきっかけが「社長の記事を見て感銘を受けて、社名を調べたら親戚が働いていたので、紹介してもらい入社」!?

はい(笑)
理由や経緯を説明しますと、自分は「ファンタジーRPG」が、遊ぶのも作るのも大好きなんですよね。極端なことを言ってしまうと、もう、一生そういうのだけ作っていたいくらいです(笑)
しかしその頃は約5年間くらい、その手のRPG開発から離れてしまっていました。そんな時、ネットであるインタビュー記事を読みまして、この記事で社長が「オリジナルのIPで世界を狙う!」「むしろ、RPGしか作らん!」
と熱く語られているのを見て、「ここだ。ここで働きたい」と思いました(笑)

暫くして、僕と同じくゲーム業界で働く親戚が、たまたまそのアイディスに転職したと聞きました。そこからは、その親戚に会うたびに羨ましがったり、それとなく募集状況を聞いたりしていたのですが、ある時期にタイミングを図って紹介してもらい選考を経て、入社しました。
今思うと、いろいろ運が良かったですね!(笑)

2021年アイディス社内ハロウィン仮装大会
「中世の騎士」の仮装で、社長特別賞を頂きました。


Q11.理想の職場と出会えたんですね!やりがいがあった仕事について教えてください。

いろいろありますが、強烈に印象に残っている仕事は「イラスト考案30本!」でしたね。正確には、『ラストクラウディア』でキャラクターにセットする「アーク」という特殊な装備品の設定やイラスト案を「30本考えてきて!」という仕事でした。

『ラストクラウディア』公式サイト
「アーク」説明ページhttps://www.lastcloudia.com/system/ark/

アークはこのように、決められた台座の上に乗せる、様々なシーンやモチーフをテーマとした、重厚な見た目のイラストです。しかもアニメーションやエフェクトで動くんです。実は結構とんでもない労力が必要な作りをしてます。
外部の協力会社の方など、見る人が見るといつも驚かれるのですが、自分も入社した時、作り方の中身を見て驚愕しました。この人たちとんでもないなと(笑)

たまたま運が良かったのですが、以前に別の会社で、小規模チームで開発していたRPGでは、デザイン業務と同時に、こういう設定やテキスト作成も、何年もずっと続けて担当していたので、こういった企画さん寄りの仕事は割と得意で、むしろ好きでした。
話が逸れましたが、これら「アーク」のイメージ資料を交えた設定案を、一気に30案ほど考えて作りました。
そしてそれらの案を総監督に見せたところ、かなり採用してもらえまして、既にかなりの数がゲームに実装されています。
今にして思うといきなり30本はどこまで本気の指示だったのか、どうだったんですかね(笑)
しかし、楽しい仕事でしたね!
もう一回機会があれば、ぜひまたやらせてください(笑)


Q12.逆に、大変だったエピソードはありますか。

新型コロナウイルスの蔓延が始まったあたりは大変でした…。
弊社のイラスト制作では、社内のイラストレーターさんだけではなく、様々な協力会社さんの力も借りて制作をしています。新型コロナウイルスが蔓延し始めてから、一部海外の会社から、「突然一切の外出が禁止されてオフィスに出勤することが出来ず、全く仕事ができない」と連絡がありました。

タイミングが悪いことに、当時最もクオリティを求められていた「アーク」イラストを、その会社と制作していたんですよね。ギリギリまで待ちましたが、すぐにはその状況が解消されないことが分かってきたので、どうにもならず、最終的に、途中から自分で描いて仕上げました。この時ばかりはめちゃくちゃ残業しましたね(笑)
「アーク」は、前述した通りイラスト完成後に、アニメーションを入れなければならないので、限界を越えてまで何とか待ってくれていた、モーションデザイナーのFさんには感謝してもしきれません。

初のURアーク「皇竜エルド・ラヴァーナ」
今見てもこみ上げてくるものがあります(胃に)


Q13.イラストレーターやデザイナーになるためにはどうしたらいいでしょうか。

学生さんへのアドバイスとなりますが、まず、目指す前に意識しなくてはいけないことがあります。
ゲーム開発での「イラストレーター」や「デザイナー」に必要な力は、「芸術家」や「アーティスト」に求められる素養とは、大きく違うということです。自分が元々、「芸術畑」の出身だったために、そのあたりの違いや境界線がよく見えるのかもしれません。

「芸術家」や「アーティスト」は、己が作りたいものを追求し、個性をいかに尖らせ、それらを世に問うことが重要となります。

一方で、ゲーム開発での「イラストレーター」や「デザイナー」は、相手やユーザーが望んでいるものや喜ばれるものを、いかに作れるかが重要になります。

この二種類を混同しないことが第一歩です。ここの意識がズレていると「こんなはずじゃなかった」「まさか自由に作れないなんて」となってしまいます。なので、個々のスキルはもちろん大事ですが、でも実はそれ以上に、
「相手が求めているものが何かを、理解して汲み取る力」が重宝されると思います。そもそもゲーム開発は、まず確実に「グループワーク」となります。これを理解してその力を伸ばせる人が、ゲーム開発での「イラストレーター」や「デザイナー」として向いているし、これらの仕事に就きやすいと感じています。


Q14.アートディレクター職になるためのアドバイスをお願いします。

アートディレクター職は、世間一般的には、デザイナーやイラストレーターのステップアップ先と思われている職業ですし、実際にそのキャリアアップのルートが基本だと思います。しかし、実はそうとも限らずでして、「絵が上手い」「デザインスキルが高い」だけではなれない職種だったりします。
優秀なスポーツ選手が、必ずしも優秀なコーチや監督とはならない、というのと同じ感じでしょうか。自分で手を動かすだけの仕事からはガラッと変わり、他の人に「作ってもらう」仕事へとチェンジします。

人にお願いしたり、指示をする仕事がメインとなるので「自分の頭の中のイメージ」や「作ってほしいもの」の内容を、いかに解像度高く効率的に伝えられるかが、仕事のポイントとなりますね。
例えば、近くに相手がいるならば、一緒に画像を見ながら指差しで説明したり、遠隔であれば、伝える文章を徹底的に分かりやすくしたり、渡す資料は見やすくなるよう工夫したりします。
どうしても言語化が難しい内容ならば、自分で描いて、それを渡すことも多いです。
なので、実は「事務スキル」「文章や資料の作成スキル」、あとは「話す力」などが必要になりますね。それらがデザインスキル以上に必要となるので、むしろそっちの方が重要だったりするかもしれません。

他のアドバイスとしては、「もっと本を読もう!」ですね。
文章を書くのも得意になっておきましょう(笑)

現在の仕事中の様子

Q15.これからの目標

現在、自分の仕事はイラスト類のディレクションがメインですが、将来的にはアートやグラフィックの範囲だけに限らず、企画やシナリオ、演出やサウンドなども含めて、ゲーム全般のクリエイティブをディレクション出来る、
「クリエイティブディレクター」を目指しています。
まさに社長が『ラストクラウディア』の「総監督」としてその役割を担っていて、その仕事が近くで見れるので、これについても自分は運が良かったと思っています(笑)

いつかはそのような仕事ができるように、より幅広く経験を積んでいきたいですね!


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