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#23-208 やさしくてあたたかいスパイスガールズ2

わたしは、どうやら人見知りらしい。
これはいつかTwitterのspaceと言う機能である方と話したときに発覚したこと。自覚はなかったけれど、話しているときに「人見知りなんだね」と言われた。そうなんだな、とおもった。

初めて逢うひとと緊張しないで話すことはできるけれど、とても警戒はしている。わたしは、わたしがおもっているよりもずっと、周りから話しかけづらいオーラを纏っているのではないだろうか。

そんなわたしに話しかけてくれるひともいる。いた。
お料理が並んで「適当に食べて喋ってて!」と言われ、しばらく並んだお料理をいただくことになった。たくさんある。こんなにも作るのも大変だっただろう。そしてまだ作ってくれている。そんな中食べちゃってていいのだろうか。なんだか落ち着かない。でも食べる。美味しい。どれも、何を食べても、美味しい。今まで食べたことのない料理ばかりと言ってもいいくらいだった。もちろん、作ったこともない。

とりあえず全種類盛る。
全種類食べる。

並んでいる料理をじぶんで取る、ビュッフェスタイルだった。あまりたくさんは食べられないので、食べられる量を取る。このスタイルはありがたかった。お皿に分けて出されると、残してしまうのは申し訳ない。前日に相談しておこうかとも考えていたけれど、女性が殆どの集まりだ。そんなてんこ盛りにはならないだろうし、きっと気合いで食べられる。そうおもって、連絡するのはやめた。並んであった料理はどれもてんこ盛りだった。ここには15人いる。「食べる」ことは心置きなく任せることにした。
みんな何度も「美味しい」と言いながら、それぞれお話しながら、食べていた。とても楽しそうだった。にぎやかな時間だった。狭い空間で、いろんな声が混ざり合って、たくさんの「美味しい」が飛び交って、部屋中に笑顔が溢れていた。わたしも、そこにいる。嬉しかった。わたしの知らなかった世界を、またひとつ開けた気がした。
調理器の不具合(ではなくブレーカーが落ちただけ)なんかもあり、お料理してくれているますみさん、ミユキさん、ダンテルさん(参加者!)が立ちっぱなしでいたのが気の毒で、申し訳がなかった。けど、おとなしく食べてた。美味しい。

お料理が少し落ち着いて、自己紹介の時間が設けられた。「今週いちばん嬉しかったこと」というお題も出され、ひとりずつ発表していくことになった。この感じ、なんだか懐かしい。わたしがとても苦手な、できれば避けたいもののひとつ。
わたしの番は、終わりの方だった。みんなが順番に話してくれているのを聞きながら、「嬉しかったこと」を考えたかったけれど、考えられなかった。みんなの名前と、「どこから来たのか」を聞いて、いちいち驚いていた。鹿児島、福岡、神奈川、東京からも来られていたのだ。岡山に。岡山の、このイベントに。
ますみさんは、すごいひとだったんだ!
きっと、来たくても来られなかったひとがたくさんいただろう。早い段階で満席になってしまったようだ。
わたし、来てもよかったのかな。
そんなおもいがまた、頭をよぎった。

「嬉しかったこと」に「このイベントに参加できたこと」というのはNGだった。この1週間、ほぼ寝て過ごしていたわたしには、みんなに発表できるような「嬉しかったこと」なんておもい浮かばなかった。みんなの話を聞きながら、突然わたしの存在が消えないか、みんなから見えなくなったりしないか、ずっと考えていた。人間とは、なんて無能なのだ。そして、いつ聞かれてもいいように、毎日「嬉しかったことの日記」をつけようと考えていた。
つけてはない。

みんなの「嬉しかったこと」は、聴いていてわたしも嬉しかった。みんなの笑顔が、わたしも笑顔にしてくれた。

わたしの「嬉しかったこと」は、どうにか濁して終えた。
みんな、やさしいひとでよかった。

つづく


タイトルを「スパイスガールズ」としているけれど、
男性もひとりいらっしゃいました。
でもここは「ガールズ」で許してください。

aico.

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