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子どものちから

私は小学校で4、5年生の授業を担当している。

ある日の小学4年生の音楽授業にて。
ヘンデルの『水上の音楽』を鑑賞で聴かせる時に300年も前の作曲家が作った作品なんですよ、というお話をしたら、N君が喰い付いた。

「そんな昔から⁈」「そうだよ、凄い事だよね」「えーっ、」。

N君、不思議で仕方ないらしく質問が尽きない。
いやいつもの君の授業態度から考えてこの状況が私には不思議で仕方ないよ、なんて思いながらN君の質問を、補助の先生の代弁通訳も交えて必死に聞き取った。

何故この現代まで当時の曲がちゃんと伝わっているのか、とか、何故海を渡ってきたのか、とかetc

ここに気付いたN君は凄いと思う。
でもその時は応える事に必死で褒めてあげられなかった。
加えて分かりやすく答えてあげられないという力量不足。猛省するしかない。

人生の殆どを音楽に費やしてきながら、今手元にある曲の数々を当たり前のように学んできた。
子ども達に音楽の素晴らしさを伝える語彙も知識も不足していた事が恥ずかしい。

鑑賞の授業をするたびに子ども達には、好きな曲の素晴らしさを伝えるには言葉を持たないといけないから国語は大事だよ、とお話する自分が一番語彙力不足だった。

自分、年の割にキャリア短い音楽教師なのだ。
子どもが投げかけてくれた疑問は自分の足りていない部分に気付かせてくれる。
教師になってたくさん教えられた。

自分の子育てがひと段落した時に子ども達の成長を間近で見られるこの仕事に出会えた事は幸せだと思う。

子どもに教えられながら、自分も人間として成長していきたい。

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