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繋がらない点があったっていい

もうすぐ2022年が終わる。
この1年で1番大きな出来事は、間違いなく学校に通い始めたことだったと思う。

私はこの10月に、資生堂美容技術専門学校に入学した。美容師養成のための学校だ。
私は「美容師通信科」で学んでいて、3年間かけて美容技術を学ぶ。3年生になったら、美容師の国家試験を受ける。

私の本職は広告代理店の営業。結構激務だ。
仕事は楽しく、職場もそれなりに快適で、すぐに辞めるつもりはない。
しかもいくら美容について学んだところで、仕事の役には立たない。

だから、入学を決めるまで、5年間悩み続けた。
「美容が好き」という気持ちだけで、働きながら学校に通う意味はあるのか。
結局、最終的に私の背中を押したのは、「今やらないと死ぬ時にきっと後悔する」という漠然とした予感だった。そうやって決断するのが正しいことなのかは、分からない。

今は月に2回、スクーリングのため校舎に通っている。あとは自宅学習。
実技の授業は7時間ずっと立ちっぱなし。足腰がつらい。翌日は、授業で慣れない動きをしたせいで、指が筋肉痛になる。
それでも、15年ぶりの学校は楽しい。
新しいことを学ぶのは、本当に楽しい。

過ぎ去った学生生活がいかに貴重だったか、社会人になってから心底実感した。
だから尚更、学ぶことが楽しい。
働きながら学ぶことができる今という時代に感謝している。快く応援してくれる夫にも。心身ともに健康な自分の体にも。

学校に通っていることを人に話す時、私は少し緊張する。
なぜ緊張するのかって、美容師資格をとった後の、具体的な将来像がないからだ。
「それって意味あるの?」と聞かれるのが、ちょっと怖い。

心配をよそに、だいたい「いいね!」と明るく言われるのがうれしい。
「いいね」と言ってくれる人にしか通学の事実を伝えていないからか。「いいね」と言ってくれる人間関係だけを、自分の人生に残しているからだろうか。
時々「美容師になるの?」と聞かれるけど、その時は「わからない」と答える。

いつからか、自分が歩んできた人生の延長線で、役に立ちそうなことだけを学んできた。
スティーブ・ジョブズは有名なConneting the dotsのスピーチを残した。
人生に打った無数の点。一見、関連性のないいくつかの点が、結果的に線で結ばれたらとてもラッキーで素敵だ。
だけど、線にならない点があったっていいじゃないか。
点の数だけ人生は豊かになる。

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