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【短編小説】友達について真面目に考えてみた 第8話

   第8話

「ねえ、岬。佐々木くんとのどかってつき合ってるの?」

 学食から教室に戻るやいなや、数人の女子たちに囲まれた。そこに加わっていない他の女子たちも、こちらを気にして遠巻きにちらちらと視線をよこしているのがわかる。

 佐々木と和は、二人並んで校内を歩いているところをさっそく目撃されたらしい。

「つき合ってない。友達だよ」

 本当のことなのに、女子たちはまったく信じていないらしく、意味ありげな目配せを交わす。

「え、なに。それって岬もよく知らないってこと? 二人がつき合ってるかどうか」

 大して親しくもない一人が、馴れ馴れしく尋ねてくる。誰だよ、こいつ。

「いや、だから友達になったんだって」

 面倒になって、短く答えて会話を切った。机につっぷし、昼寝を始める。しかし女子たちは聞こえよがしにひそひそと、

「友達って……だって、男女なんだし」
 ね、と声を合わせている。

「おかしいか?」
 俺は起き上がって言った。女子たちがびくりと飛び上がる。

「男と女が友達になったって、悪くないだろ」
「まあ、それは別にそうだけど」

 女子たちは慌てて口を噤み、離れていった。俺はもう一度机につっぷして目を瞑ったが、眠れそうになかった。

 昼休みが妙に長い。和がいない教室で、俺は意味もなくだらだらと時間を過ごした。

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