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【短編小説】友達について真面目に考えてみた 第7話

   第7話

 考えたところで大した時間稼ぎにはならなかった。俺が佐々木に紹介できるような女友達は、のどかくらいしか思い当たらない。

「なんだか、よくわからないんだけど」
 改めて事の顛末を説明すると、和は渋い顔になり、

「どうして今さら、わたしを佐々木くんに紹介するの?」
「女性の知り合いが一人もいないって、あいつが言うからさ」

 和が口を開いて何かを言おうとしたまま、はあ、とため息をついた。

「佐々木くん、周りが見えてないんじゃないかしら?」
 そう言ってこめかみに指を添える。

「あいつが周りを見えていたことあるか? 今に始まったことじゃない」
「それにしても……」

 和は言いかけ、ふと黙った。上目遣いになり、俺の顔をじっと見つめる。

「ねえ、みさきはそれでいいの? わたしのことを佐々木くんに紹介して」
「いいのって?」

 俺は手にしたペットボトルに口をつけ、わずかに残っていたCCレモンをぐっとあおった。勢いよく喉に滑り込んだそれらが気管に入る。身体を二つに折って、大きな音を立てて咳き込んだ。涙が出てくる。

「ちょっと、大丈夫?」
 和が手のひらで俺の背中をさすり始めた。大丈夫、と言いたいが言葉にならない。代わりに手のひらを向け、和から離れる。

 やっと息を整え、俺は言った。

「佐々木はさ、確かに変人だけど、悪いヤツじゃないよ。あれでいいところあるしさ。和のことも、大事にしてくれると思う」

「ちょっと待ってよ」
 今度は和が俺に手のひらを向ける。

「紹介って、男と女としてじゃないわよね。あくまでも『友達』なんでしょう?」
「あーそうそう、そうだった。友達友達。だから心配いらないって」

 俺はごまかすようにへらへら笑った。和は渋い顔でこちらを見ていたが、またため息をついて、

「言っとくけど、あなたも佐々木くんと同じくらい変人だからね」

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