【連載小説】「緑にゆれる」Vol.92 第十章
延々と続くかのように思われた宴も、一人、二人と人が抜けて、終息に向かっていく。あとには明るい照明の下、酒と料理の匂いだけが残った。
圭は、途中まで加わって食べたり飲んだりしていたが、十一時過ぎる前に寝に行ってしまった。
「こんなにぎやかな夜は初めてだったから、大分興奮して疲れちゃったみたい」
二階から下りてきて、美晴はそう言った。そして、はた、と動きを止めた。今、口から出た自然な言葉が、再会後まともに話した最初の会話だ、と改めて気づいたように。それは、まるで、ずっと一