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緑にゆれる(ロングバージョン)

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長編小説「青く、きらめく」の十五年後の物語。大人になったカケル、美晴、マリのそれぞれの愛の行方は――鎌倉周辺で取材で撮った写真と共にお送りします。
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#小説

【連載小説】緑にゆれる Vol.1 序章

同じキャンパスで過ごした日から十五年。 カケル、マリ、美晴のそれぞれの十五年後。 外資系の…

清水愛
2年前
18

【連載小説】「緑にゆれる」Vol.5 第一章

  ***  鎌倉ロケも最終日を迎え、午後も早いうちに撮影は終わった。  カケルは、仕事…

清水愛
2年前
4

【連載小説】「緑にゆれる」Vol.7 第一章

 夕ごはんも食べていって、と言われて、そのまま夜までごちそうになった。 「ランチの残りで…

清水愛
2年前
3

【連載小説】「緑にゆれる」Vol.55 第七章

【これまでのあらすじ】  桜の季節。番組のディレクターであるカケルは、ロケ中に食べた弁当…

清水愛
1年前
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【連載小説】「緑にゆれる」Vol.85 第八章

 カケルは、風呂場への暗い廊下を、ぼんやりと見つめた。いつもより、少し乱暴に風呂のドアが…

清水愛
11か月前
3

【連載小説】「緑にゆれる」Vol.88 第九章

 息が詰まるような夏が過ぎ、風に涼やかなものが混じるころ、店に思いがけない客がやって来た…

清水愛
11か月前
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【連載小説】「緑にゆれる」Vol.92 第十章

 延々と続くかのように思われた宴も、一人、二人と人が抜けて、終息に向かっていく。あとには明るい照明の下、酒と料理の匂いだけが残った。  圭は、途中まで加わって食べたり飲んだりしていたが、十一時過ぎる前に寝に行ってしまった。 「こんなにぎやかな夜は初めてだったから、大分興奮して疲れちゃったみたい」  二階から下りてきて、美晴はそう言った。そして、はた、と動きを止めた。今、口から出た自然な言葉が、再会後まともに話した最初の会話だ、と改めて気づいたように。それは、まるで、ずっと一