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【百万ドルの夜景は最高のご褒美】北海道・函館山|アラサー女子のおつかれ山日記
【おつかれ山日記|あらまし】
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わたしについて
都内IT系メガベンチャーにて、荒波に揉まれながらも諸行無常に生きる、植物大好きHSPアラサー女子の山日記。
PC画面と睨めっこし、鬼畜上司やモンスタークライアントとの対峙で消耗した心身を清め、浄化しリセットする術として、旦那を引き連れ絶賛登山にハマり中。
直近は富士山登頂(須走ルート)、屋久島(縄文杉)トレッキング達成。
これまでの山
始まりは、2019年のゴールデンウィーク。
最初は一年に一山だったのだが。
2019年 鋸山(千葉)
2021年 大山(神奈川)
2022年 御岳山(東京)
と登山を重ねているうち、本気登山に目覚めてしまい。
2023年は筑波山(茨城)・大岳山(東京)を経て、記念すべき山の日に富士山(山梨・静岡)へ登頂を果たすことができた。
富士山はまた別の機会とするが、今回は北海道は函館、100万ドルの夜景として有名な函館山について記すことにする。
1.函館山(はこだてやま)について
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北海道の玄関口、函館のシンボル的存在である函館山。入り江にぽこっと突き出たように突然現れるこの山は、100万年前の海底火山の噴出物で島となり、その後隆起・沈下を繰り返し函館の地と陸続きとなったとのこと。その横長の容姿は、牛が寝そべっているようにも見えることから「臥牛山(がぎゅうざん)」と呼ばれることもあるらしい。(個人的には、『星の王子さま』冒頭の「象を丸呑みにしたウワバミの絵」のようにも思える)
標高は334m足らずだが、孤高の山から見下ろす函館市街は日本三大夜景・世界三大夜景に数えられており、「百万ドルの夜景」として国内外から詰め寄る観光客が後を立たない。
2.函館山は登れる?熊はいないってホント?
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登るのは余程のツワモノ、あるいは変人?
美しい夜景で知られる、函館山。ほとんどの観光客は所要時間3分足らずのロープウェイでお手軽に登ってしまうが、「山」とつくからにはウズウズとし、登ってみたくなるのが山人たるもの。
実際に自らの足で手間暇かけて登ろうとするものはまずいないようで、宿泊していた旅館の女将さんに聞いても、「登るって..あの獣道をですか?登れないこともないと思うけれど..」と、豆腐に鎹のようにふわっとした回答を得た。地元民でも登る者は少ない中、余程のツワモノ、あるいは変人ということになるようだ。
熊が生息するには狭すぎる
幸いなことに、函館山には熊がいない。なんでも、熊が生息するには面積が少なすぎるのだそうな。そう言われてみると、確かに他の山とは隔絶されているし、間には市街地を挟んでいるので余程のことがないと函館山には渡って来れなそうだ。(おそらく、海岸近くの山では植生や生物分布も若干異なるため、暮らしにくいところもあるのかもしれない)
とはいえ、やはり鬱蒼とした山に近づくにつれて不安は煽られる一方。今回はネットでのデスクリサーチを信じて熊ベルを携行していなかったこともあり、必要とあらば神社で鈴付きのお守りを買おうと、後述する函館八幡宮の巫女さんにまずは聞いてみることに。笑顔 x 即答で「いないです」と仰っていたので、安心してお参り後神社を後に。
その後、他の山行者が登山口近くにお住まいの住人に聞いていたようだが、同じく「いない」とはっきり断言されていたので、間違いないのだと思う。(その後、やはり熊には会わなかった。とはいえ、函館空港の方には市内で出没事例もあったそうなので、函館山以外の山に登られる場合は熊ベルの傾向を推奨)
3.函館山|モデルコース
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函館山の魅力は夜景にだけとどまらず、その周辺にもたくさんの風光明媚なスポット(詳細は後述)が点在している。実際に全て1日で行こうとした場合はどのようなコースになるのか。私たちの当日の行程を紹介するので、参考にしていただければ嬉しい。
歴史も、自然も。函館山ぐるっと一周コース
10:30 北方民族資料館
11:30 旧函館区公会堂
12:30 函館船魂神社
13:00 函館ハリストス正教会
13:30 五島軒
15:00 函館護国神社
15:30 函館八幡宮
16:00 立待岬
16:30 登山開始@七曲がりコース入口
17:30 千畳敷広場 着
18:30 函館山 山頂着
19:30 函館山 下山(ロープウェイ)
4.函館山登山で良かったこと
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4-1.熊がいない
熊や野生動物との予期せぬ遭遇が危惧される登山。特に、登山者の少ない山域においては、心身ともにそれなりの用意が必要となることが多い。しかしながら、函館山にはあの熊がいないのだ。熊以外にもちろんマムシ等の危険はあるが、熊が生息していないという事実だけでも非常に大きな安心材料となった。
4-2. 登山者が少なく自分たちのペースで登れる
山に入る行為の大目的。それは、人間界という俗世から離れ、自然界に身を置くことで心身ともにリフレッシュしたい、ということに尽きるのではないだろうか。そのような目的が十分に叶えられれば良いのだが、有名な山であるほど週末にはたくさんの登山客で溢れ、常に前後に気を遣いペースを守りながら登山せざるを得ないケースも少なくない。
それが、函館山ではほとんど登山客がいないのだ。自分たちのペースでサクサクと登り、対象を見つけた際には好きなだけ時間を割いてゆったりと撮影を楽しむことができたのは非常に快適であり、リフレッシュすることができた。
4-3.函館山に残る豊かな自然に触れられる
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函館山というと展望台と夜景ばかりが取り沙汰されがちだが、実は終戦まで一般人が立ち入り禁止だったということもあり、特に人の手の入りにくかった裏側(海側)には今でも多くの豊かな自然が残されている。
断崖絶壁と海鳥の群れは、まるで異国のよう。個人的には、アイルランド西海岸で見た思い出の地のようで、感傷的な気分にもなった。
4-4.山の頂に眠る遺構群から歴史を学べる
あまり知られていないが、函館山周りの山頂地域には複数の遺構が今でも眠いっている。というのも、幕末の開港から終戦に至るまで、これらの見晴らしの良い山頂周辺は要塞として機能していたからだ。
今回私たちは、コースの途中にあった千畳敷砲台跡に立ち寄ってみた。赤煉瓦の堅牢な作りになっており、中に降りるとひんやりとしており、そこだけ時が止まっているかのよう。実際に使用されることはなく、抑止力として機能したとのことだったが。遥か遠くに津軽海峡を望め、熊笹(クマザサ)がさらさらと風に揺れる様子が実に美しい千畳敷とは対照的に、そのような物悲しい歴史が紡がれていたという事実に、改めて過去この地が歩んできた複雑な歴史に思いを馳せた。
5.函館山|おすすめスポット
函館山のハイライトはなんといってもその夜景。だが、山麓周辺に広がるペリー来航の面影を色濃く残した、異国情緒溢れる街並みも見逃せない。
ガイドブックに載っているもの、山行者ならお参りしておきたい神社など、実際に行ってみて良かったおすすめスポットを紹介する。
5-1.北方民族資料館
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アイヌをはじめとした、北海道以北に暮らす民族の歴史や資料を集めた貴重な資料館。江戸時代に、本土の画家によって描かれたというアイヌ絵、アイヌ文化で尊ばれてきたもの、アイヌの狩猟方法やロシアとの関係など、なかなか教科書では語られることのない北方民族について深く知ることが出来た。ガイドの可愛らしいおじいちゃんの知識も驚くほど深く脱帽。お話し方もお上手で、もしかしてかつて教鞭を振るっていた方なのかもしれない。
館長さんによる気さくな語り口の解説ボードも、アットホームで親しみやすくて非常に良かった。
5-2.旧函館区公会堂
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函館観光では外せない、瀟洒な造りの洋館。国の重要文化財にも指定されており、その奇抜な色使いには思わず見入ってしまう。(かつてはピンクx白など節目ごとに塗り替えられており、その度に市民の間で論争が巻き起こっているのだとか。笑)
当時の職人が趣向を凝らした内装やインテリアは見ものだが、解説資料や建築観点での土産用ガイドブックがなかったのが残念。庭園美術館のような公式のガイドブック、ぜひともいつか出して欲しいものだ。
5-3.函館ハリストス正教会
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ロシアから程近い函館において、ロシア領事館の敷地内聖堂として建てられたのがきっかけとのこと。正教会内部に入ったのは初めてだったが、カトリックやプロテスタント教会と大きく異なり、ビザンティン国王や使徒(名前が違った)、イコンと呼ばれる肖像画などが祭壇の壁面全体に祀られていたのには驚いた。
日曜午前中は儀式のため中には立ち入れず、13時以降になるので注意。
5-4.五島軒
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函館市民で知らない者はいない?1879年創業、洋食の老舗名店。帝国ホテルで修行したシェフが伝える、開港当時から受け継がれてきた洋食・ロシア料理は必訪の価値あり。ディナーは1人1万円以上とそこそこ値が張るが、ランチであれば1人3500円+ドリンク代(オプション)で美食を味わうことができる。お昼時は混むようだが、開店時間、または少しずらした時間であれば意外とすんなり入れることができる模様。(私たちは13時半頃に行ったが、待ち時間0分ですんなりと通され、着席から15分ですぐに運ばれてきた。)
5-5.函館船魂神社
創建は1135年とされ、北海道内最古の神社とも言われている神社。
境内は小さいが、古くから船舶関係者が航行の安全祈念で参拝するそうだ。
函館駅近く、かつて津軽海峡を往来していた船舶の記念館「青函連絡船記念館 摩周丸」内でも、操舵室に神棚と共に祀られていた。
函館の地が歩んできた、海と航行の歴史を古くから支えてきた神社。その複雑な足取りについて、改めて垣間見えたような気がした。
5-6.函館護国神社
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箱館(函館)戦争における殉職者・青年兵士らを祀る神社として、1869年に創建。現在は縁結びのパワースポットとも。函館山ロープウェイほど近く、大きな朱色の鳥居が目印。
境内は広くないが、社務所前には「なでふくろう」が鎮座され、「不苦労」として参拝者の心を癒している。
5-7.函館八幡宮
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1445年創建。その長い歴史と威厳に相応しく、境内に至るまでには134段もの石段を上る必要があるが、超えた先にある重厚感と温かみに満ちた穏やかな本殿を目にすると不思議と心が洗われるかのよう。
和傘のおみくじ「傘みくじ」も有名なようで、本殿脇にカラフルな和傘が風に吹かれて涼しげに舞う様子は実に風情たっぷり。
5-8.立待岬
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函館山の端っこ、海に突き出た尻尾のような部分が立待岬だ。前方には見渡す限りの津軽海峡の海原、遥か遠くには青森の稜線がまるで幻影のように浮かぶ。函館山の奥地なだけあって、長らく一般人立ち入り禁止だった函館山の中でも、特に手付かずの自然がよく残されている場所でもある。
海側から望む函館山の裏側は断崖絶壁となっており、激しい波飛沫をよそに岩場と岩壁を自由に往来する海鳥の群れ、群生する小浜菊(コハマギク)に、忘れられたようにぽつんと咲く蝦夷甘草(エゾカンゾウ)など、もう一つの函館の姿をありありと感じることが出来る。
5-9.千畳敷
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七曲がりコース・地蔵山コースを突破すると突如開ける、見晴らしの良いエリア。眼下には遠く、薄闇に暮れゆく函館の街並みが広がる。ここまで登ってきた登山客のみが味わえる特権、函館市街を心ゆくまで眺めるにはうってつけの隠れスポットかもしれない。正直、国内外からの観光客で花火大会のようにごった返していた函館展望台よりも、この千畳敷の方が函館の慎ましやかな雰囲気をよく表している感じがして好きだった。
5-10.千畳敷戦闘指令所跡
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北海道遺産にも登録されている要塞。日清戦争後、日露戦争に備えるため建設された。赤煉瓦作りの堅牢な作りで、地下にも降りられるようになっていた。時間が夕方だったこともあり、光のあまり届かない要塞内は暗く、どこか息苦しく。当時の記憶を、今でもはっきりと伝えていた。
千畳敷戦闘指令所跡の他にも要塞はいくつも連なっているようで、ルートに沿って歩いていくと御殿山第二砲台跡に通ずる。土地の利とは裏腹に、国際貿易港が抱えてきたさまざまな葛藤の歴史と記憶は、要塞という形で今でもその痕跡をしっかりと後世に残している。
6.函館山に登る際の注意点
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6-1.長袖長ズボンはマスト
先ほど登山者が少ないと書いたが、それもそのはず。正直なところ、あまり道が整備されていないのだ。七曲りコース・地蔵山コースは登山道が非常に細い上(宿の女将さんが言った通り、まさに「獣道」だった)、左右からは青々とした葉が迫り出しており、完全に自然優位。虫食いの葉も多くあり、道もぬかるんでいたりするため、低山だからといって舐めずに長袖長ズボンは鉄板、靴も登山靴でいくなどハード面での装備は固めるようにしておきたい。
6-2.天候不順に注意
山慣れしている人であればお分かりだと思うが、山の天気は変わりやすい。特に、海に迫り出している山であれば尚更。私たちの場合、登山1時間前まで小雨が降っており山頂の視界はゼロだったが、登山開始時には止んでおり登頂時にはすっかり腫れ上がっていたので良かった。が、逆も十分に考えられる。前述のように、あまり登山道は整っておらず、湿気を含んだ海風の影響をもろに受けるため、雨具(特にレインコートやGORETEXなど)は忘れずに持っていきたい。
6-3.むやみに遺構に立ち入らない
千畳敷戦闘指令所跡は誰でも地下に降りられるようになっているが、他の遺構、弾薬庫や御殿場第二砲台跡などはところどころ規制ロープが張られており、中に入ることができないようになっていた。また、野生動物への餌やり禁止の看板もあった。(ハクビシンでも住んでいるのだろうか?)
内部が瓦礫の山となっていたり、鬱蒼とした草木に囲まれているためかスズメバチもいるようなので(遺構近くを歩いている際、すぐ耳元で羽音が聞こえた)、むやみに立ち入らないが吉ということは、改めてこの場でもお伝えしておきたい。
函館山|夜景以外のもう1つの顔
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いかがだっただろうか。函館山の表と裏、百万ドルの夜景に留まらない歴史と文化、自然の側面をお伝えした。
正直、函館山は「せっかくそこに山があるなら」というオプション感覚での登山だったが、実際に自ら足を運んでみると、さまざまな発見と驚きに満ちていた。(マムシグサやエゾカンゾウなど、珍しい植生に出会えたのも嬉しかった)
せっかく熊がいないのだから、ロープウェイと夜景で終わらせず、その奥にぜひ足を運んでみてほしい。この地が歩んできた交錯した歴史と文化、残されている豊かな自然を、実感を持って味わうことができるはず。
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