M&Aってのれんとの戦い。赤ちょうちんとも戦うが…
「今年は積極的にM&Aをやって成長していきます」
また、今年もお決まりの経営戦略ですか…。これ聞くのは何回目かわからないけれど、やる事ないと経営者は、すぐお買い物したくなっちゃうんですかね。
経営者からすると、株主から「どんどんお金使って収益性上げてね」って言われて何に投資して良いのかよくわからないので「えいっ」って会社を買ってしまうんですよ。
そうすると「時間を買っているんだ」というどこかで聞いたことあるようなフレーズを使って淡々と理由を説明しだすんですが、どこかチグハグ…
しかも、相手の会社の事業に合わせて「この事業を強化したかったんだ」と力説してくれるんですが、「えぇー」初めて聞いたよってくらいの取ってつけたような戦略がそこで生まれている。
まあ、これはこれでラッキーなこともあるかもしれないので良しとしておいて、問題はM&Aをする度に利益が減っていくんですよ。これがなんでかと言うとあんまりにも高値で会社を買うので「のれん」という会計上の資産が出来てしまうんですが、これが結構厄介。
買った会社の本来持つ価値以上の「お値段以上♪(笑)」の部分のことを「のれん」というのです。経営者からすると「将来大きくなりますように」とおまじないしているようなものです(笑)
それで、ここからが謎。この「のれん」という無形の資産は毎年償却して費用にしてあげないといけないんですよ。建物とかのように毎年劣化していくのならわかるんですが、企業の価値が毎年減っていくという前提なんですよね…謎。
さらにこの買収した企業が当初の見立て並みに利益を出し続けないと…
そうなんです、世の中にはこんなニュースで溢れ返ってしまっています。買収して5年くらい経っても事業が成長していないと監査法人に「こののれんには価値がありません」と判断されてしまい特別損失という結末を迎えてしまうのです。とほほ…
ということで、M&Aは買収した後が大事で、この5年間くらいを如何に上手く過ごせるかが成否の分かれ目となって来ます。M&Aと言っても所詮企業を右から左に移しただけなので、本質は何も変わらなく、社員の見ている方向が少し変わるだけなのです。経営者が社員の「心」を動かせるのかが腕の見せどころです。
赤ちょうちんに釣られて「のれん」をくぐった先には、果たして「成長」というお品書きがあるのでしょうか。
今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。