#ファンタジー
騎士と司祭と壁子爵 4
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「そういえば、どうして騎士にならなけれよかったなんて言ったの」
無事、テンリの騎士号は復活し、これからも城での勤務が許された。バンワンソ子爵の執務室を退室し、テンリは騎士としての訓練を行うために、騎士と兵士が勤務する合同兵舎へ。メイラは司教としての務めを果たすために地下にある聖堂へと向かっていた。途中までは道が同じであり、意図的に分かれて向かう必要もなかったため、二人で廊下を歩
騎士と司祭と壁子爵 3
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「うむ・・・・・・どうしたものか」
テンリは鉄壁の前で腕を組んでその威容を見上げていた。
その隣では警備の兵士が困った顔でテンリをチラ見している。昨日まで共に仕事をしていたため、相手の素性は知っているが、兵士に直接通すなと下達されているのだ。兵士もテンリの扱いに困っているのだろう。
「なぁ、ほんとにどうして俺を通したらダメか聞いてないのか?」
「はい。オレたちも命令されてから
騎士と司祭と壁子爵 2
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ほんとにあいつバッカじゃないの!?
メイラは表面上はいつもの穏やかな笑みを浮かべつつ城内の廊下を歩きつつ、内心では荒れ狂う感情を感情のままに荒ぶらせていた。だって表に出さなければ誰の迷惑にもならないし。
もっとも、そう思っているのは本人だけであり、その荒ぶる感情はメイラの体を突き抜けてその身を覆っており、すれ違う人すれ違う人皆が皆思わず一歩壁際により道を譲る有様だ。
両親とた
秋の1日 another side
隣の家の方から聞こえる叫び声で浩二は目を覚ました。
昔は日の出とともに目が覚めていたというのに、最近はめっきり目覚めが悪くなってしまった。それが顕著になったのは、妻を看取ってからか。もっとも、看取る、といえるほどのものでもなかったが。昔のことを思い出し、自重の笑みを口元に浮かべる。
上体を布団から起こし、カーテンを開ける。そのついでに窓も開ければ、冬の近づきを知らせるかのように少し肌寒い風が