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妻の求めるものを求めて
客の誰もいない店内に、一人の男が入ってきた。店主である老女は、その男をちらりと見ただけで、それまで続けていた読書に戻る。口からは紫煙を燻らせ、とても客商売をしている人間には見えない。
そんな老女が座るカウンターに、一枚のコインが置かれた。
老女が再び視線を男に向ける。
「こんなことされてもうちは何も扱っちゃいないよ。たまたまうちの家名がopenってだけで。まったく・・・・・・。はた迷惑な話だ
騎士と司祭と壁子爵 4
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「そういえば、どうして騎士にならなけれよかったなんて言ったの」
無事、テンリの騎士号は復活し、これからも城での勤務が許された。バンワンソ子爵の執務室を退室し、テンリは騎士としての訓練を行うために、騎士と兵士が勤務する合同兵舎へ。メイラは司教としての務めを果たすために地下にある聖堂へと向かっていた。途中までは道が同じであり、意図的に分かれて向かう必要もなかったため、二人で廊下を歩
騎士と司祭と壁子爵 3
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「うむ・・・・・・どうしたものか」
テンリは鉄壁の前で腕を組んでその威容を見上げていた。
その隣では警備の兵士が困った顔でテンリをチラ見している。昨日まで共に仕事をしていたため、相手の素性は知っているが、兵士に直接通すなと下達されているのだ。兵士もテンリの扱いに困っているのだろう。
「なぁ、ほんとにどうして俺を通したらダメか聞いてないのか?」
「はい。オレたちも命令されてから
騎士と司祭と壁子爵 2
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ほんとにあいつバッカじゃないの!?
メイラは表面上はいつもの穏やかな笑みを浮かべつつ城内の廊下を歩きつつ、内心では荒れ狂う感情を感情のままに荒ぶらせていた。だって表に出さなければ誰の迷惑にもならないし。
もっとも、そう思っているのは本人だけであり、その荒ぶる感情はメイラの体を突き抜けてその身を覆っており、すれ違う人すれ違う人皆が皆思わず一歩壁際により道を譲る有様だ。
両親とた