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第18回 グッバイ、レーニン! (2002 独)

 東西対立というものは若い世代には想像しづらい物ですが、ほんの30年前まではこの対立を軸に世界は回っていました。映画に限らず当時のフィクションには形はどうあれその対立構造はありありとみることができます。

 そんな時代に作られた、比較的東西に中立なスタンスの『レッドオクトーバーを追え!』をレビューし、その後で『ロッキー4』のレビューがアメリカの傲慢さを説く形になってしまったことから、この「赤いBL的映画鑑賞」を思いつきました。

 前回は「スターリンの葬送狂騒曲」東側の汚さ、恐ろしさを徹底的に洗い出した訳ですが、社会主義体制下に生きる人たちが必ずしも不幸だったかと言うとそれは断じてノーですし、資本主義が必ずしも幸せでない事は日本人なら嫌でもわかる事です。

 東西陣営の最前線はベルリンでした。同じドイツ人が思想と壁に隔てられて暮らしていたわけです。そしてベルリンの壁は壊され、間もなくドイツは東西統一を果たすわけですが、そこには混乱と東側の否定がありました。

 今回紹介する『グッバイ、レーニン!』は、まさに統一に向かうベルリンを舞台にした、優しい家族愛に満ちた映画です。

 父は亡命、母は叙勲される程の共産党員という東ベルリンの青年アレックス(ダニエル・ブリュール)が、心臓発作に倒れた余命幾ばくもない母クリスティアーネ(カトリーン・ザース)にショックを与えないために、友人恋人の協力の元東ドイツの体制が存続しているふりをして接待するという筋です。

 東も西が言うほど悪いものではなかったというメッセージと、価値観と言うものについて考えさせられるなかなか深い作品です。

グッバイ、レーニン!を観よう!

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真面目に解説

東ドイツという国
 戦争でドイツは東西に分割され、東西陣営が睨みあう最前線となったのは御存じのとおりです。ここで面白い点は、東西ドイツとも両陣営の優等生であった事です。

 西ドイツはアメリカ日本に次ぐ世界三位の経済大国であり、その一方東ドイツもソ連よりも豊かであり、ヨーロッパ全体でも上位につける経済規模を誇っていました。

 いうなれば、当時のドイツは同じ民族が違う思想の元に暮らせばどうなるかを示したモデル地区でもあったわけです。ここから導き出される結論は、社会主義は絶対悪ではなくやり方次第という穏当なものです。

 しかし、メンツ上そうは言えないのが西側であり、それが東ドイツ国民を不幸にしてしまう様がこの映画には描かれています。


オスタルギー

 東西ドイツの統一は表向き対等合併でしたが、その実態は吸収合併で、東ドイツはたちまちのうちに西側化していきました。

 東ドイツでお馴染みの製品が競争力を失ってたちまち姿を消してく様が描かれていますが、これは東ドイツの人には寂しい事でした。言い換えれば文化の破壊に他なりません。

 かくして作中の統一のお祭り騒ぎが終わってからしばらくして、東ドイツの事物を懐かしがる「オスタルギー」という概念が産まれました。オストとはドイツ語で東の事です。

 その最たるものがどういうわけか今作には出てきませんが、ベルリンに行けば必ず目にする信号機の少年、アンペルマンです。私も含めてベルリンに行ったことがない人でも見た事はあるはずです。これは元々東ベルリン独特の信号機でした。

 東はなかった事にしたい当局は東西統一後に早速アンペルマンを粛正にかかります。しかし、「少年を救え」というキャンペーンが行われ、少年は粛清を免れたばかりか、今やベルリンのゆるキャラとしてお馴染みの物になり、少年の信号機はドイツ各地に広まりつつあります。

 アレックスが無い無いと探し回るピクルスやコーヒーも、やがて保護運動と古くから親しんできた消費者の働きかけで息を吹き返し、ドイツのスーパーを探せば買えるようになりました。


二つのベルリン
 ここで注目すべきは本来ベルリンは完全に東側に位置しているという事です。ベルリンの西側は連合国側が管理するという戦後の取り決めがそのまま知込まれた結果、西ベルリンは飛び地のような形で西ドイツの一部となったのです。

 事実上の西ドイツですが法的に微妙に扱いの異なるややこしい所で、徴兵制度からも除外されることから、パンクな若者が西ベルリンに移り住むことがままありました。言うなれば、ドイツで一番社会主義と相性が悪い人種が西ベルリンに集まっていたのです。

 キャラクター造形にもその辺は顕著に表れています。アレックスは熱心な党員の母親に育てられ、悪さと言えば精々反体制デモを冷やかしに行く程度の善良な若者ですが、西側はどうにもネジが飛んでいます。

 アレックスの姉のアリアネ(マリア・シモン)はいち早く西側文明に順応し、大学を辞めてバーガーキングで働き始め、インドおたくのライナー(アレクサンダー・ベイヤー)なる彼氏を家に引っ張りこみます。

 その一方でくじ引きの末にパラボラアンテナのセールスに収まったアレックスは、西の映画監督志望のデニス(フロリアン・ルーカス)と親友になりますが、この男も良い奴ですがどうにもネジが飛んでいます。

 逆に東側の良心として描かれるのが、クリスティアーネ担当の看護師で、ソ連から来たララ(チュルパン・ハマートヴァ)です。ベリヤが誘拐しに来そうなくらい可愛いのでアレックスは猛アタックしてまんまとデキちゃいます。

 しかし、クリスティアーネの為に芝居を打ち続けるアレックスのやり方に疑問を持ち、大胆な手に出ます。嘘はいけないという社会主義の本来の精神に基づいて行動しているのです。そう、本来の精神です。


社会主義の向き不向き
 ソ連崩壊の原因はロシア人が怠け者だったからという説が古くからあります。逆に最も成功した社会主義国家は実は日本であるとも古くから言われます。

 すなわち、ロシア人は社会主義の売りである平等に甘えてしまい、日本人は勤勉に働いた結果として社会主義的な平等を手に入れたという理論です。

 ちょっと勉強するとわかりますが、社会主義というのは全員がルールを守る事が前提になっています。マルクスもエンゲルスもドイツ人ですから、勤勉という事になっているドイツ人の労働者を前提に社会主義を作り上げたというのはありそうな話です。

 そういう意味では本場のドイツでは社会主義がそれなりに上手く行ったのも道理です。規律を大事にするクリスティアーネはまさに社会主義向きの人間であり、アレックスもまた社会主義向きに仕込まれています。

 しかし、世の中は真面目で善良な人ばかりではありません。そういう人たちも一応は許容する資本主義が勝ったのは当然と言えば当然なのです。理想と現実は違うのです。


そこに壁があるからさ
 ベルリンの壁は作中崩壊します。統一より少し先にちょっとした手違いで壊されてしまいました。

 その経緯についてはややこしいので気になった方は独自に調べていただきたいのですが、この壁が今でもドイツ人にはついて回っているのです。

 壁を越えれば亡命成功です。当然東ドイツの存続した全期間を通して壁を越えようとする人間は沢山現れ、200人近くが命を落としています。

 王道のトンネル戦術に始まり、検問所を押し通る力業は勿論、西から東へは容易に入れるのを逆手にとって西側の手引きで車に隠れて抜け出す方法から、果ては米軍のコスプレをして通ったり気球で飛び越えたりといった奇策まで、あらゆる方法が用いられました。

 しかしながら、資本主義が万能ではないのは承知のとおりです。亡命しても嫌気がさして戻ってくる人が結構いたのです。そして戻ってきた人は分かってる奴という事で褒められました。東ドイツはそこそこ良い国だったのが最悪の形で伺えます。

 壁は無くなりましたが、現代に至っても東西には経済格差があり、東側の失業率は20%台という恐ろしい数字になっています。5%で大騒ぎしていた我が国は何と豊かなのかと感動さえ覚えます。今でもドイツには見えない壁があるのです。


党員の憂鬱
 社会主義国家の国民=共産党員と誤解している人を時々見かけますが、これは誤りで、何処の国でも共産党員は一部のエリートに限られます。

 エリートになれば党に入れてもらえるわけですが、逆の見方をすればエリートは嫌でも党に入るしかないという事でもあります。

 アレックスの父で医師のローベルト(ブルクハルト・クラウスナー)は表向き西側の女にたぶらかされて亡命したという事になっていますが、実際は党に入る事を拒んだために冷遇されて亡命を決意したことが明かされます。

 クリスティアーネは熱心な党員ですが、立場上党に入る事を拒む人間をかばうことができないのです。そして後からクリスティアーネと子供達も亡命する予定でしたが、子供二人を連れて亡命することは手続き上非常に困難であり、断念したことが語られます。

 西側の傲慢さと東側の理不尽さをバランスよく描いているところにこの映画の肝があります。


トラバントで行こう
 東ドイツでは党員と言えども簡単に手に入らないものがありました。東ドイツの象徴というべき国民車トラバントです。この車がアウトバーンをのろのろ走る姿が東西統一の象徴でした。

 FRP(と称したパルプ)のボディに環境と安全への配慮ゼロの600CCエンジン、世に出た1958年当時としては西側の大衆車とほぼ同等でしたが、1991年までほとんど同じ設計で作られ続けたのが特記事項です。競争が無く、車は贅沢という思想の東側諸国ではこの手の車が盛んに作られました。偉い人は西側の高級車に乗っていたのは言うまでもありません。例えば先々代の将軍様は敵国のカジノ業者から献上されたリンカーンに乗っていました。

 二週間という悪意の感じる短さ西ドイツマルク東ドイツマルクの交換期限が迫り、クリスティアーネから預金のありかを聞き出すため、アレックスがトラバントが買えるという嘘をつくシーンは予備知識がないと理解不能でしょう。

 というのも、トラバントは贅沢品なので生産台数が少なく、注文から納車まで何年も待たされるのです。男の子が産まれたら注文して、成人した頃には届くというアネクドートがあるくらいです。

 Switchをついに手に入れられず、長年デレマスで今井加奈を担当している身の上としてはとても他人事とは思えません。買うつもりもないのにとりあえず注文する人が多すぎたのがこの事態を招いたともいわれます。人は学ばないものだと昨今の騒動を見ると私は思うのです。

 預金は期限切れで紙くずとなりましたが、トラバントはライナーが新車で買って思いがけず手に入りました。ベルリンの壁が崩壊した後はこういう西側の物好きしか相手にしなくなったのです。

 ですが、トラバントは今でも熱心なファンが多く、修理もしやすいので旧車乗りの入門編としてドイツではかなりの数が今でも走っているそうです。


そこに神は居るか?
 車がこんな有様だった一方で、東側がアメリカと互角の勝負をしていた分野が宇宙です。宇宙開発競争スプートニク一号の打ち上げでソ連リードで始まり、ガガーリンの宇宙遊泳で完全にソ連有利になり、アポロの月面着陸で互角となってその後はソ連崩壊までデッドヒートが続きました。

 宇宙開発競争のモチベーションは何といっても国威発揚であり、核ミサイルへの技術転用(あるいはその逆)でした。アメリカもソ連もあの手この手でアピール合戦を繰り広げていたわけです。

 ソ連はその一環で、インターコスモスと称して東側諸国や友好国から一人ずつ宇宙飛行士を宇宙ステーションに送るという人気取りに出ます。東ドイツ代表としてドイツ人で初めて宇宙へ行ったのがジークムント・イェーンです。本物は流石に出てくれないのでそっくりさんの出演です。

 作中では失業してタクシー運転手になっていますが、実際は統一の日まで空軍少将として勤務し、統一後も大事にされました。宇宙飛行士はトラバントと違ってそこらに転がっては居ないのです。今でもドイツ人宇宙飛行士は東西一人ずつしか居ません。


優しい嘘
 クリスティアーネはアレックスの工作もあってどうにか東側の体制を信じたまま誕生日を迎えますが、悪いことに窓から見えるビルにコカ・コーラの垂れ幕がかかります。言うまでもなくコカ・コーラは西側の象徴です。尤も、東側でも売ってはいたようですが。

 策に窮したアレックスはデニスに話を持って行き、偽のニュース番組を作ってどうにか誤魔化します。

 しかし、クリスティアーネはアレックスが居眠りしている間に外へ出てしまい、西ベルリンから引っ越してきた人やトラバントに比べればベルサイユ宮殿のように豪華なBMWが走るのを、挙句はレーニン像がヘリコプターでつるされて撤去されるのを見てしまうのです。

 すると今度は西側から亡命者が多数出ているとベルリンの壁の崩壊のニュース映像を逆手にとってニュースを作ります。逆転の発想です。

 するとクリスティアーネは真面目なので、難民の為の住居にと別荘の提供を申し出ます。ライナーのトラバントに乗って一家で別荘に出かけ、そこで子供達に父親の亡命の真相を話していよいよ危篤状態に陥ります。

 慌ててローベルトを連れてきて引き合わせ、統一記念日の祝典を建国記念日の祝典という事にして、タクシーを転がすイェーンに古着の軍服を着せて図書館でロケを行い、時の指導者ホーネッカー(既に失脚していた)からイェーンが政権を譲り受け、平和裏に東西統一を果たしたというニュースを作り、式典の花火が上がるさなかでクリスティアーネは安心して息を引き取るのです。

 しかし、実はララが事前に真相を話していました。本当はクリスティアーネは息子の優しさに安心して死んでいったのです。親族や近所の人を集め、アパートの屋上でクリスティアーネの遺灰を詰め込んだロケット花火を打ち上げ、映画は終わります。最後に勝ったのは思想ではなく家族の愛なのです。


BL的に解説

アレックス×デニス
 家族愛の素晴らしさを語った後でホモもないだろうという気もしないではないですが、平等とはこういう事です。

 デニスはとっても良い奴です。二人はお互いくじ引きで仕事に採用された時からどこか意識しあっていました。

 そしてコンビでパラボラアンテナを売り歩き、サッカーという共通の話題を経て紛れもない親友となります。サッカーに国境はないのです。サッカーは国境があるからこそあんなに盛り上がるのであり、統一後に東ドイツの選手が少なからず冷や飯を食わされたのは内緒です。

 そして自分が作った映画を満足げに見せます。ところがアレックスは退屈そう。つまり、デニスの方がアレックスにご執心なのです。次のキューブリックになると居眠りするアレックスに語っちゃいます。

 そしてデニスはアレックスの偽ニュース作りに大喜びで協力してくれます。アナウンサーまで自分で務める世界の北野方式です。

 そこには功名心もあったでしょうし、自分の作品で人の心を動かす喜びもあったでしょう。しかし、コカ・コーラ社のガードマンに警察を呼ばれながら撮影する根性が単なる映画監督志望のアンテナ売りにあるでしょうか?損得抜きの感情があったはずです。

 そもそも東ドイツらしく真面目で素朴な好青年アレックス、西ドイツらしく奔放でエキセントリックなデニス。BL的にはこれ以上ない取り合わせです。当人たちが否定しても私は許しません。

 しかもデニスがキューブリックにあこがれているという事は、キューブリック作品がホモ臭いどころか、しばしばマテウスのシュートより強烈にホモネタを仕込んでくることを知らないはずがありません。

 しかし、アレックスは「2001年宇宙の旅」さえ見ている様子がありません。そもそも東ドイツでは上映されなかった可能性が高いですが。「西側にはこういう楽しみもあるんだぜ」と描かれたばかりのホーネッカーとブレジネフが濃厚なキスをかます壁画を指さし、営業車であるスズキキャリーのシートを倒すデニス。アレックスの性格を鑑みればまず断れません。

 愛は無敵です。ベルリンの壁が崩壊し、シュタージ(秘密警察)もバッキンガム宮殿の衛兵程度の存在になってしまった今、そこには二人の愛を妨げる壁などないのです。ララがどんなに可愛かろうとコンドームでしかありません。

ナマモノ注意

ブレジネフ×ホーネッカー
 ちゃんと生モノも抑えていきます。ドイツの人が読んで怒らない事を祈るばかりです。

 ホーネッカーは東ドイツのトップとして1971年から実に18年に渡って君臨してきました。彼は時のソ連のトップであるブレジネフと懇意で、前任者のウルブリヒトを蹴落としてトップに付き、東ドイツ建国30周年の折にはあの濃厚なキスシーンを世界中に見せびらかす程の仲でした。

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 もうこれは尻で政権を取ったとして何ら不思議はないでしょう。ソ連にとって東ドイツは一番大事な衛星国であり、東ドイツにとってもソ連は大切な後ろ盾でした。

 そしてどっちも社会主義国家の指導者としても指折りの贅沢好きでした。贅沢の行きつく先はセックス過剰であり、その行き着く先はホモセックスです。二人はお互いの豪邸で、西側の高級車で、反革命的な快楽に耽るのです。


ホーネッカー×イェーン

 そんなホーネッカーの元でイェーンはドイツ人初の宇宙飛行士という栄誉を得て国民的英雄となりました。しかし、宇宙飛行士になるのはトラバントを買うよりもさらに狭き門です。

 となればどうやってイェーンはその狭き門を潜ったのか?自らの狭き門をホーネッカーに差し出すというのは有効な手段と言えましょう。

 宇宙飛行士は体調不良等に備え、宇宙に行く要員にそれぞれバックアップが付きます。初めて宇宙に行ったガガーリンにもゲルマン・チトフというバックアップが付いていました。

 実はチトフの方が優秀であったとも言われています。ですがガガーリンが選ばれた理由には諸説ありますが、その一つにガガーリンの方がいい男だったからだというものがあります。

 宇宙飛行士はプロパガンダの材料である以上眉目秀麗であるに越した事はないですし、宇宙飛行士がいい男揃いなのも事実ですし、イェーンも実にいい男です。

 しかし、そこに指導者の好みが反映されるとしたら?私の経験上ロシアのゲイは美少年好みが多いので、ワイルドで男臭いチトフより耽美でチャーミングなガガーリンが選ばれたのは理に適っています。

 イェーンもそうしてホーネッカーの寵愛を得て宇宙への切符を勝ち取ったのだとしても私は何も驚きません。宇宙へ行くという栄誉は何物にも代えがたい事ですから。


イェーン×アレックス
 アレックスにとってイェーンは少年時代のヒーローでした。自分も宇宙飛行士になりたいと願っていた、そういう少年だったのです。

 しかし、アレックスはタクシー運転手になったイェーンと思いがけない対面を果たしてしまいます。最初は自分がイェーンである事を否定していたイェーンでしたが、事情を聞いてついには偽ニュース作りに協力してくれるのです。

 しかし、タクシー運転手になったとはいえ彼は天下のコスモノートです。親子の愛がそこにあったとは言え、そんな義理人情でソユーズは動いちゃくれないのです。宇宙飛行士は合理主義者の仕事なのです。

 BL的文法に基づき、勿論出演料は身体で払っていただくことになります。貨幣ではなく物々交換で動くのが社会主義国家の経済です。

 そもそも宇宙飛行士になる為の最後の決め手は「先任者と気が合う事」であると言われています。狭い宇宙で仲間割れなど起こせませんからこれは当然でしょう。

 偉い人にケツを差し出してその座を手に入れた男に気に入られるためにどうするか。そう、歴史は繰り返すのです。

 憧れの人に尻を差し出すならアレックスも本望でしょう。そうして1990年、イェーンによるアレックスの尻という小宇宙への旅が執り行われ、デニスはその異常な愛情を股間をフルメタルジャケットのように固くしながらカメラを回すのです。これにはキューブリックも腰を抜かします。

お勧めの映画

 独自の統計(主観)に基づきマッチング度を調査し、本noteから関連作品並びに本作の気に入った方にお勧めの映画を5点満点にて紹介します

赤いBL的映画鑑賞シリーズ
『ロッキー4/炎の友情』(★★)(醜い東西対立)
『スターリンの葬送狂騒曲』(★★★★)(醜い社会主義)
『レッドオクトーバーを追え!』(★★★★)(格好良い社会主義)
『T-34 レジェンドオブウォー』(★★★★★)(尊い東西対立)

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 ホーネッカー程贅沢しようなんて思っちゃいません

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