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わたしは思い出す

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「わたしは思い出す」に関する最新情報。制作日誌、編者への一問一答、出版レーベルを始める経緯、展覧会の記録など。https://aha.ne.jp/iremember/
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『わたしは思い出す』の6つのアプローチ

人は、経験していないことを、 どのように経験できるのか──。回想録『わたしは思い出す』の6つのアプローチ。 1. 〈わたし〉の視点から震災を捉え直す本書の編者(AHA!)は、仙台に暮らすひとりの女性、かおりさん(仮名)と出会います。かおりさんは、2010年6月11日に初めての出産を経験。以来、育児日記を書き続けてきました。彼女は日記に何を綴ったのか。そして、再読して何を思い出し、忘れてしまったのか。11年の歳月を〈震災〉という大きな主語ではなく、ひとりの女性の語りから捉え直

回想録『わたしは思い出す』イベント開催情報[2023年6月]

6月3日・大阪 高森順子×松本篤×スズキナオ座談会 ─読んで、聞いて、本にする─ 『わたしは思い出す』とほぼ同時期に刊行された書籍の作り手である高森順子さんと編者の松本とともに、たまたまこの二つの書籍に関心を持ったライターのスズキナオさんをお迎えして、その偶然を楽しみながら語らいます。 日 時|2023年6月3日(土) 開場12:30 / 開始13:00 会 場|梅田 Lateral 出 演|高森順子、松本篤、スズキナオ 参加費|観覧:前売 ¥1,500 / 当日 ¥1

回想録『わたしは思い出す』イベント開催情報[2023年4月]

4月7日・大阪 トークイベント『わたしは思い出す』 人は、経験していないことを、どのように経験できるのか──。本書の制作過程にはさまざまな問いと、それをめぐる試行錯誤がありました。聞き手の吉川祥一郎さん(blackbird books)とともに、編者の松本が本書の成り立ちをお話します。 日 時|2023年4月7日(金)19:00スタート 会 場|blackbird books 進 行|松本篤(AHA!) 参加費|1,500円 定 員|各回15名(先着順、要予約) ⇢くわし

きっといつか、忘れてしまう──30万字超の全文をウェブサイトで公開する理由

回想録『わたしは思い出す』は、このたび特設ウェブサイトを更新し、いつでも本書の全文を試し読みしていただけるようになりました。これまでにも、有料で頒布している書籍をウェブで無料公開している事例はありました。では、この『わたしは思い出す』をウェブサイトで全文公開することにはどんな意味があるのでしょうか。無料であることは、何のためでしょうか。ここでは刊行を経た現時点での備忘録として、私たちの考えていることを記してみようと思います。 1000名の読者への届き方を想像する「本をつく

『わたしは思い出す』取り扱い書店

東北KANEIRI Museum Shop 6 980-0821 仙台市青葉区春日町2-1 せんだいメディアテーク1F 曲線 980-0871 宮城県仙台市青葉区八幡2-3-30  ⇢ウェブストアでの取り扱いあり せんだい3.11メモリアル交流館 984-0032 宮城県仙台市若林区荒井字沓形85-4(東西線荒井駅舎内) BOOKNERD 020-0885 岩手県盛岡市紺屋町6-27 1F  ⇢ウェブストアでの取り扱いあり ボタン 980-0013 宮城県仙台市青葉区

回想録『わたしは思い出す』イベント開催情報[2023年3月]

3月4日(土)・東京 明治学院大学 「近代日本の日記文化と自己表象」第35回研究会 日記文化の研究に取り組む田中祐介さん(明治学院大学)による研究会「近代日本の日記文化と自己表象」。その第35回研究会で『わたしは思いだす』に関して編者の松本篤が特別講演を行います。 日 時2023年3月4日(土)13:30–17:30【終了しました】 会 場|明治学院大学白金キャンパス+オンライン(zoom) 参加費|無料(申込みは締め切りました) ⇢くわしい情報はこちらのページをご確認く

「Voicing Care ケアの声」インタビュー(取材・編集・構成:坂本夏海さん)

展覧会について 企画展『わたしは思い出す 10年間の子育てからさぐる震災のかたち』(以下、本展)は、仙台市の沿岸部に暮らしていたかおりさん(仮名)が初めての出産を経験した10年前からつけている育児日記の再読をとおして、彼女の経験した震災後の日常を辿り直すというものです。 本展の準備として、まずは震災の前後に生まれた子どもの育児者を対象に、この10年を振り返るワークショップを実施しました。その参加者の一人がかおりさんでした。かおりさんは、初子を出産した2010年6月11日か

書籍『わたしは思い出す』発売開始に寄せて

1000年に一度と言われた大地震の後を、 私たちはどのように生きたのか──。 本回想録は、たったひとりの記録と記憶にその問いの答えをさぐる試みです。 本書の語り手、かおりさんにとっての《11日》という日付。 それは、我が子の成長を祝う《月誕生日》であり、多くの方に不幸が訪れた《月命日》でした。 彼女はその日、どんなことを日記に残したのか。 そして、自筆をたどり直すことで、何を思い出したのか。 いくつもの《わたし》との出会い直しが、「辞書」のような回想録になりました

回想録『わたしは思い出す』制作の様子と刊行時期変更のお知らせ

制作中の回想録『わたしは思い出す』では、育児日記を書き続けたかおりさん(仮名)が11年の歳月を振り返る回想の言葉を中心に構成しています。本書は当初に想定していた仕様を上回る800ページ超(厚さ約5cm)のボリュームになる予定です。 これにともない、2022年6月に予定していた本書の刊行時期を見直しました。先行予約いただいた皆さまにはすでに書面でお知らせしておりますが、本書は8月より順次発送する予定です。 刊行を楽しみにしてくださっている皆さまには、お待たせしてしまい申し訳

日記再読の風景 かおりさんの回想はどのように編集されたのか

Q. 回想録『わたしは思い出す』はだれがつくったのでしょうか。 本書は、AHA![Archive for Human Activities / 人類の営みのためのアーカイブ]が編者となり制作しました。語り手はかおりさん(仮名)、聞き手はAHA!の松本篤が務めました。 AHA!とは、8ミリフィルムや家族アルバム、日記、手紙といった〈私的な記録と記憶〉の価値に着目するアーカイブ・プロジェクトです。 人と記録(モノ)のあいだに立ち上がる現象に着目する。こうしたAHA!のアプロ

日記再読の風景 かおりさんへのインタビューはどのように実施されたのか

企画立案と予備調査についてQ.『わたしは思い出す』を制作するきっかけは? 2020年7月5日、せんだい3.11メモリアル交流館から「10年目の3.11の迎えるにふさわしい企画を」と企画展のご相談をいただいたこと。 Q. 企画を練るために最初にしたことは? 8月28日から9月1日にかけて、仙台市内にて予備調査を実施した。 Q. 予備調査のヒアリング先は? 「海辺の図書館」「3.11オモイデアーカイブ」「海岸公園冒険広場」「3がつ11日をわすれないためにセンター」、沿岸部(荒

かおりさんの育児日記が問うもの─『わたしは思い出す』展ができるまで

10年の節目になにを展示するか飯川 せんだい3.11メモリアル交流館(以下、交流館)」は、地下鉄東西線の終点である荒井駅と一体となった複合施設です。もともとは別の目的の施設が入る場所だったんですが、2011年に地震が起こったことで、震災のメモリアル施設として2016年に開館しました。私は開館から2ヶ月後に、所属先の財団が施設の運営を受託することになった2016年4月から2021年3月までの5年間、スタッフとして在籍しました。私を含めスタッフはみな震災メモリアルの専門家などでは

書籍『わたしは思い出す』予約開始に寄せて

10年目の3.11にふさわしい企画を考えてほしい。 地震の記憶を継承するための展覧会を『せんだい3.11メモリアル交流館』から依頼されたのが、本書刊行の発端です(2020年7月)。一見して復興が進んでいる「被災地」。しかし、本当にそうなのだろうか。10年目に着目するだけでは見えてこない風景がある。3月11日のことを尋ねるだけでは聞こえてこない声がある。これまでの10年に散在する《非日常》の微小なかけらを丁寧に拾い集め、輪郭を与え、これからの10年に手渡す。そんな取り組みが、

『わたしは思い出す』の4つの見所

実在するひとりの女性が綴った11年間の育児日記。 その再読と追憶のことばを記録した書籍『わたしは思い出す』。 本書の刊行に先立ち、5月11日まで先行予約を受付中です。 ここでは本書の見所をご紹介します。 [先行予約の受付は終了しました] [最終更新=2023年1月1日] AHA!は、家族アルバムやホームムービーなど、全国各地で「私の記録と記憶」の価値に着目したアーカイブ・プロジェクトを展開してきました。本書は『せんだい3.11メモリアル交流館』での展示をきっかけに制作されま