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ブータンの産婦人科で働く理学療法士っていったいなんなの?

私は7年目の理学療法士で、
今JICA海外協力隊としてブータンという異国の地で、
産婦人科病院でマタニティエクササイズをしている。

理学療法士を知らない人にとっては
「理学療法士?」ってなるだろうし、
JICA海外協力隊を知らない人は
そこでも「協力隊?」だろうし、
「ブータン?どこ?」だろうし、
「マタニティエクササイズ?なぜ?」
ってなると思う。

欲張りなので、私のことも、活動のことも知ってほしくて
今こんなことをやっているよ!とアピールしていく所存。

理学療法士とは

理学療法士はPhysical Therapist(PT)とも呼ばれます。ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職です。
https://www.japanpt.or.jp/about_pt/

病院で働いてたときに、看護師さんから「リハビリさんにマッサージしてもらいなね」って言われている患者さまを見たことがある。

患者さまの中には、リハビリなんてやりたくないっていう方も少なくないから、マッサージと言われたらやる気になってくれると思って優しさで言ってくれたのかもしれない。

かもしれないけれども、私はマッサージをしてくれる人として理学療法士が扱われるのが非常に嫌だ。

私たちはマッサージ師ではない。
行うのは徒手療法で、目的としては例えばむくみの軽減、痛みの緩和、関節可動域の改善、もしかしたら精神的サポートかもしれない。

でもただただ気持ち良くなるためのマッサージはしない。
そこには目的がある。

理学療法は領域も多岐にわたっている。

また協会からの引用。
学会とか研究会とかこんなにあるのよ。

要は、病院にかかっていたらほぼ全員対象!
かかってなくても対象の人は多い!
みたいな感じ?

全てに共通しているのは、医学的知識をもとに、対象者の生活を知り、それに対する理学療法を行っているという点。

みんな違う人生なのだから、理学療法だって患者さま一人一人によって全然違う。
だから私たちは毎日患者さまの状態を把握し、それに対する適切な介入を考えながら関わっている。

日本で働いていたときは患者さまがいたら、
まず会う前にその人の名前年齢など、疾患、治療内容、内服薬、血液データ、画像データ、リスクを確認し、疾患についてはどこの領域なのか、どんな障害が予想されて一般的にはどのくらいの期間でどの程度改善するのかを調べる。
会ったらその人の意識状態とバイタルサインを確認し、関節可動域、筋力、疼痛、そして動作などを評価しながら、その人の生活歴について、どこに誰と住んでいて、どんな生活・仕事をしていて、何が好きで、何が嫌いで、どんなことが生きがいで…と評価をしていく。
そしてそれに合わせて患者さまと目標を設定して、それに合わせて段階を追いながら徒手療法だったり、筋力トレーニングだったり、有酸素運動だったり、装具療法だったり、物理療法だったりをする。

それが私がやっている理学療法だ。

リハビリって関わる時間が長いので、医療職の中で患者さまに一番近い存在だと教えられたし、そう信じている。

JICA海外協力隊について

JICA(独立行政法人国際協力機構)が派遣する青年海外協力隊/シニア海外協力隊は、開発途上国で現地の人々と共に生活し、同じ目線で途上国の課題解決に貢献する活動を行っています。
https://www.jica.go.jp/volunteer/index.html

世界中の開発途上国で、資金や物品を支援するのではなく、
人材を送り込むことで技術移転をし、その国の発展に寄与しようというもの。

私が理学療法士という仕事を目指し始めたのは、
なによりこの海外協力隊として発展途上国で働きたかったから。

すごくいろいろな職種の募集があって、資格がなくてもコミュニティ開発や青少年活動という職種で応募できるし、教員、医療職、農林水産関係、建築関係、IT関係、スポーツ指導など、誰もが何かしらの職種で応募できるのではと思うくらい職種は多岐に及んでいる。
その中でも要請の数が違うため倍率は異なってくるが。

海外での理学療法士の要請は、半数くらいが小児分野になる。
おもに脳性麻痺などの先天性疾患のリハビリを行う。

それを就職するときに知っていたら小児を対象としている病院に就職していたと思うが、そうではない病院に就職してしまった。詰めが甘い。

実習でしか小児分野の経験がなく、ダメ元でそれを第一希望にしたところ、そこには適任者がいたようだ。

協力隊の要請はマッチングだという。
募集があると言っても、当てはまる人がいなかったらいくら応募者がいてもそこの合格者はいなくなる。
なんかよくわからないけど、私はこの要請に当てはまると判断されたらしい。

そして準備期間を経て、合格をいただいてから約1年後に派遣に至った。

ブータンで現在なにをしているか


ブータンという南アジアのインドと中国に挟まれる、ヒマラヤ山脈の麓の国の、国立の産婦人科病院で、妊婦さんと産後のお母さんに対してエクササイズを指導している、のを、指導している。

まだ配属して2か月足らずで、
現地の人にいろいろ教えてもらっている段階で、
人手として、来てくれてありがとうくらいにしか思われてなさそうだが。

ブータンは他民族国家で、学校教育は英語で行っているので、
20~30代くらいの方々は英語を話せる。

が、中には学校に通っていなかったりという理由で英語が話せない方もいるので、公用語であるゾンカ語で単語を駆使したりもする。
使う言葉しか覚えないので、痛い、尿、便、穴、みたいなやや怪しい単語ばかりが身についていく。
あと同僚のおじさんに「あなたを愛しています」だけ毎日言わされるから覚えた。
このおじさんは節度をわきまえているので適度に仲良くしている。

ただゾンカだけじゃなく、シャッショップ、ネパーリーしかしゃべれないという方もいたりして、その場合はお手上げなので、同僚に助けを求めている。

日本でも母親教室なんかで妊婦体操というものがあるが、私はここでそんなことをしている。

妊娠すると身体はどう変化するのか、
産前産後を通してどんなトラブルが起きるのか、
どんな食べ物は良くて、どんなものは避けてほしいのか、
なぜエクササイズが必要なのか、
どうなったら危険なサインなのか、
などを説明した上で、体操を行っていく。

実際に症状のある患者さまには、個別に治療をする。

産後のママにも、段階的に少しずつ運動をしてもらうよう指導していく。

今後については、まずこの病院のエクササイズの質を上げること、参加者とその頻度を増やすこと。
この首都の大きい産婦人科病院以外の、地方の病院にも必要性を説明してマタニティエクササイズを普及させていくことが活動内容となる。

医療の脆弱なこの国で、
一人でも多くの妊婦さんが痛みやその他の症状がなくその妊娠期間を過ごし、
苦痛少なく、できれば経腟分娩で健やかなお子さんを出産し、
産後も痛みや不安に悩まずに子育てを楽しめるようにということが目標。

日本でやっていたこととは全然違うことをしているけど、根本は同じで、私にできることを頑張っているよ!という話。

真面目で熱い内容になりすぎた気がするので
うちのマンションのわんちゃんで浄化

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