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就活のタイミングを3度も逃した人間の就職活動|その3:食品業界は狭き門編

博士課程を満期退学して22卒の就職活動をしているあごひげ20cmです。

この記事およびマガジンでは、博士課程卒の就職活動について自分の体験談を紹介しようと思っています。境遇の近い方や興味のある方はお付き合いください。全4回+αになる予定です。

前回のテーマは『就職活動のための情報収集』でした▼。

第3回のテーマは『食品業界にアタック!』です。

1. なぜ食品業界?

 2月まで様々な企業を調べた自分が、志望業界としてターゲットを絞ったのが食品業界(特に食品メーカー)でした。理由は3つあります。

 まず、安直ながら一番大きな理由は料理が趣味だったからです。大学入学時から一人暮らしで自炊を9年間続けてきた中で、料理は日々のストレス解消になっているくらい好きな活動です。

 次に、海外進出を見据えている企業が多く自分の海外経験が武器になると考えたからです。少子高齢化が進む日本において総人口は減少しています。この人口減少を「胃袋が減る」と表現しているくらい、国内の市場規模縮小に危機感を持っている食品メーカーは多いです。海外での生産・販売を拡大しようとしている企業なら、海外経験を重視して採用するところが多いはずだと自分は考えました。(この見込みはおおよそ当たっていたみたいで、海外戦略を打ち出している企業ほど書類選考は通りやすいと感じました。)

 最後に、他の業界に比べて自分が培ってきた知識・経験を活かせる可能性が高かったからです。と言っても、自分の専門は生物学の基礎研究ですので、研究テーマがそのまま活用できるような業種は滅多に見当たりません。特に、化学反応の機構や生物がもつ生理メカニズムについては門外漢だったので、化学メーカーや製薬メーカーはハードルが高いと感じて敬遠しました。
 一方、動物の味覚機構や栄養学については研究テーマと近い部分があったため、論文を何十本も読みこんできました。直接手を動かして研究したことはありませんが、テーマが与えられて「研究して」と指示されれば、ゼロから研究を立ち上げられるくらいの知識と経験です。こういった専門知識が一番活かせそうだったのが食品メーカーでした。

 こういった理由から、特に商品開発職を強く志望していました。味・食感・栄養価・原料コストなどのコンセプトを設定して、工夫を凝らして製品を具現化していく仕事。料理好きな自分にとっては天職に見えました。
 ただ、上記の理由だけでは少し弱いと感じたので「大学での基礎研究よりも社会に直接的に役立つことがしたい」という建前で脚色しつつ、各メーカーごとに志望動機を微調整して提出しました。

 こうして、「食品業界は人気業界で競争が激しい」「商品開発職は定員も少なくて特に厳しい」という現実を知らないまま、食品業界だけに絞った無茶な就職活動を孤独に始めてしまいます。ただでさえ博士卒の就活は難しいというのに……。


2. どんな感じで就活は進んだ?

 会社説明会、エントリー(マイページ登録)、ES提出、WEBテスト、面接について紹介していきます。強調したいのは、博士卒でありながらやっていたことは学部卒&修士卒と特段変わらないという点です。変なコンプレックスを持っても良くないなと考えて、意識的にそのように振る舞っていました。

 まず会社説明会
 2020年11月から21年3月末までにのべ70回ほど参加しました。そのうち食品業界が50社くらいです。主にマ〇ナビ2022を使って情報を集めていたこともあり、マ〇ナビ主催のオンライン説明会が大半でした。現地開催の合同説明会にも1度だけ参加しました。
 また、Tsunagaru就活という食品業界に特化した合同説明会にも大変お世話になりました。サプライチェーン全体の企業が集まり、食品業界全体が効率的に見渡せました。食品業界に興味がある就活生にはオススメです▼。

 次にエントリー(マイページ登録)
 自分は食品メーカー30社にエントリーしました。商品カテゴリには特にこだわらず、加工食品・製菓・調味料・飲料など幅広いメーカーを選出しました。これまでの人生でその会社の商品を愛用してきたかどうかを重視していたため、結果的にBtoCの大企業ばかりになってしまいました。俗に言う大手病というやつです。

 そしてES提出
 エントリー後に「合わないな」と感じた企業もあったため、ESを提出したのは25社でした。ほとんどがWEB上のフォームに回答する形式でしたが、3社だけ手書きの履歴書を求められました。オンライン回答のものについては質問事項と回答内容をExcelで管理し、よく似た質問には微修正しながら回答を使いまわしました。このおかげで文章量のわりに余裕を持ったスケジュールで提出できましたが、没個性な文章が量産された気もします。それでも1社あたり平均2時間くらいかかりました。

 次にWEBテストおよび適性検査
 18社のテストを受験しました。ほとんどが自前のPCで受験できましたが、2社だけテストセンター会場での受験を求められました。不要不急の外出を極力避けていた自分にとって都心部に出て映画を見たり買い物したりする絶好の機会で、かえって良いリフレッシュになって助かりました。
 自分はWEBテスト対策は全くしていませんでした。結果、非言語分野(数理処理)では時間が足りないことがしばしば。能天気な自分は「でも言語分野は自信あるし、なんとかなるべ」と高をくくっていました。

 結果、書類選考とWEBテストの両方を通過したのは9社でした。通過率36%。この時点で冬インターン全敗以来の焦りを見せます。志望度が一番高い企業は無事に通過していたことが唯一の救いでした。

 最後に面接
 9社で10回の面接を受けました。焦っていた自分は、大学のキャリアセンターに面接練習を3度お願いしました。いただいたフィードバックを丁寧に実践して本番に臨みました。面接準備には、1社あたり平均1時間ほどかけました。
 情勢もあって、全てオンライン面接でした。人事面接が多かったですが、現場社員や役員が面接官だったこともありました。無知だった自分は、面接を半分以上こなしたところで、昨年度の面接の形式や訊かれた質問についての情報がネット上に出回っていることを知ります。賢明な就活生の皆さまは、ワ〇キャリとかを活用してくださいね


3. 食品業界の就活、結果は……!?

 残念ながら、6月頭には全ての企業からのお祈りが出揃いました

 選考が進んでいた食品メーカー数の変遷は以下のとおり。
  ・3月上旬|25社
  ・4月上旬|18社
  ・5月上旬|5社
  ・6月上旬|0社

 メンタルが一番キツかったのは4月のお祈りラッシュの時期でした。ストレスで2週間以上お腹を壊しました。あと、志望度が一番高くて面接でも好感触だった企業から5月にお祈りされたときは2日間寝込みました。

 一連の敗因を自分に求めるとすれば「いろいろと準備不足」「そのくせに謎に自信満々」が挙げられると思います。また、博士卒ならではのアピールが足りなかったことも大きいと感じています。悔やんでも悔やみきれません。
 逆に、自分以外に敗因を求めるとすれば「(専門外の)博士卒を積極的に採用する企業が少ない」ということはあると思います。そんな恨み言を言ったところでどうにもなりませんが。

 とにかく、22卒の内定を勝ち取るためには何らかの路線変更が必要になりました。しかし、食品業界に絞って就職活動を進めてきた自分には、次に何をすれば良いのか皆目見当がつきませんでした。そんなある日、自分のもとに届いた1通のメールに光明を見出します……。


次回予告

 第4回のテーマは『新たな業界への路線変更』です。ひとり相撲の就職活動を卒業し、就職エージェントとの二人三脚を始めます。お楽しみに。

※次回投稿は28日(月)、本編から脱線したコラムの予定です。
※本編第4回の投稿は30日(水)の予定です。

▼本シリーズのマガジン▼(月・水・金の19時ごろ投稿予定)



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