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外国人が日本のファッションを解放する 2023年6月【3】

肌をさらけ出す外国人観光客

上野にある東京国立博物館に行きました。初めてではありません。何度目かは忘れましたが、久しぶりです。

来館者は外国人が多かったです。私は彼らの服装に興味を持ちました。男性も女性も日本人より軽装で、肌の露出が多いです。

男性のほとんどはハーフパンツでした。丈は短めで、短パンと言ったほうがよさそうな人もチラホラいました。日本人男性のハーフパンツは膝上ぐらいが主流で、着用率も50%ぐらいでしょう。ノースリーブ率も日本人より高かったです。

日本人の男女を見比べると、女性のほうが肌の露出が多いです。外国人の場合は半々ぐらいに見えました。

日本人と外国人の服装で、最も違うのは中高年女性の服装でしょう。外国人はおばあちゃんでもノースリーブに短パンです。

ノースリーブのワンピースも一般的ですね。丈は膝上で、素足。履物はサンダル系よりも運動靴。そしてガニ股の人が多いです。つま先が外に開いていました。(日本人の私から見れば)男っぽい立ち方・歩き方でした。

ファッションも、立ち方も、歩き方も、雑で洗練されていないのですが、私は彼女たちの姿を好ましく思いました。

「正解コーデ」から解放してくれる

日本には「正解コーデ」という言葉もあります。正解コーデと間違いコーデがあるわけです。その正解コーデも、20歳なら正解だけど、30歳だと「痛い」「みっともない」などと言われてしまいます。

それが一概に悪いこととは言い切れません。それだけファッションセンスが洗練されているとも言えるからです。それをほめる外国人のコメントもよく見かけます。

また海外に住んだことのある日本人は、よく外国のファッションのシンプルさを語ります(日本の感覚で着こなすと、かなり着飾っているように見えてしまう)。

しかし身なりに対する社会全体の意識の高さは、同時に息苦しさをもたらします。基準が高すぎて、少し気を抜くだけでマイナス評価を受けることになるからです。

均質性の高い社会ゆえに「正解コーデ」が生まれます。そこからずれないように気を遣い、周囲に合わせて安心することがファッションになってしまいます。

外国人観光客は、そうした価値観の外にいます。彼らは好き勝手にラフな格好をしているだけです。日本人より洗練されていない場合が多いです。でもそれが「他人に左右されず、好きな服を着ればいい」というメッセージに感じるのです。

老いても肌を晒す

外国の街には、よく派手なノースリーブのワンピースを着た中高年女性がいます。彼女たちは老いても肌を晒します。

私は今30代後半で、肌の老化を感じています。これからどんどん醜くなっていく感じがして憂鬱です。でも海外にはそれを隠さない文化がある。このことが気持ちを明るくします。

彼女たちはフォーマルなスーツでもストッキングを穿きません。もちろん穿く場合もありますが、日本のように着用が「社会人としてのマナー」とは言われないようです。近年は個人の自由になりつつあるようですが、すっかり認められるまでには時間がかかるでしょう。

外国人が多様性を運んでくる

日本に外国人が増えることには長所と短所があります。長所として私が挙げたいのは、社会に多様性が生まれることです。それによって服装の規範もゆるむと思うのです。

「〇〇を着ていいのは30歳まで」「40歳を過ぎて◯色を着るのは恥ずかしい」といった、年齢によって個人の服装選択の自由を奪う思想がなくなることが期待できます。

黒髪しか許さない(黒でない場合は黒く染めることを求める)規則などは、民族の多様性がない社会ゆえに生まれたと言えます。様々な髪色の人間がいる社会になれば、この類の規則はなくなっていくことでしょう。

海外に行かなくても、国内で多くの外国人観光客に接することで、擬似的に多様性を獲得した日本を体験できます。上野の東京国立博物館はそのひとつです。

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著者は1985年生まれの男性。 不登校、社会不適応、人付き合いが苦手。 内向型人間。HSP。エニアグラムタイプ4。 宗教・哲学(生き方)…

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