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未知の秘境リーソン島。プリケツババアとの出会い編


★前回のあらすじ★

ベトナム中部のダナンに沈没していたはちゅきわたたは、超マイナーな秘境アイランド、リーソン島&ベー島へ向かうことにした。宿すら予約せずに旅立つ突発的冒険譚が始まる。
……………………………………………


ここが外人のいない街・クアンガイか。なんか地元民すらいなそう…と思ったその時。
タクシードライバーのグエンたちがどこからともなくやってきて、はちゅきのことを取り囲んだ。

グエン軍団「へい、ビーシップ、ビーシップ」
わたた「(ビーシップ???)」

ビーシップってなに?と聞いても、英語がまったく通じない。
アプリで通すと、『あなたのVSIPはどこですか』と翻訳された。訳しても意味がわからん。

状況からして、おそらくホテルまで乗せてくれようとしてるのだろう。VSIPはこの地域でホテルを意味するスラングなのだ。
わたたは教育水準が段違いな先進国育ちなので、言葉がわからなくてもなんとなく察せられる優秀な頭脳を持っている。

はちゅき「ここらへんにホテルはとってないからタクシーはいらないよ」
グエン軍団「ホテルちゃうちゃう、ビーシップやビーシップ」

はちゅき「…???」

こんな時こそGoogle先生の出番である。
ggると以下の情報が出てきた。

ふむ。クアンガイにある工業団地をVSIP(ビーシップ)というのか。ここには日系企業もあると。つまり…?


『経緯はこうです。
ここは観光客が訪れない街。ここに来る外人といえば、VSIP工業団地で勤める駐在員くらい。彼らは、はちゅきのことを駐在エリート外国人だと勘違いしてしまったのです』

なんだそういうことか。この時のはちゅきは、バックパッカーでも最底ランクの貧相な格好をしており、どう見ても駐在員なんてガラじゃなかったのだが、どうやら先進国オーラを隠しきれていなかったようだ。

アテが外れたなグエンども。ほかを当たってくれや。

グエンたちの声掛けを回避してると、今度は個人営業のバイタク(バイクタクシー)のグエンが「ビーシップ、ビーシップ」としつこく付きまとってきた。


東南アジアとはいえ許されざるレベルで汚い市場に逃げ込んでもこのグエンは付きまとってきた。久々にこんなしつこい奴を見たぜ。

「GDPの差を拳で教えてやろうか?」と威嚇すると、ようやく撃退に成功した。
現在、日本の名目GDPは4位にまで下落してしまったが、はちゅきは日本が2位だった時代に育った世代。
今の日本が4位だからってはちゅきをあまく見た奴らは、2位育ちの重たい一撃をお見舞いされることになる。
はちゅきは、漫画でいうなら貧弱そうな見た目だけど実はめっちゃ強いおじいちゃん系キャラなのだ。元海軍とか元格闘家とかそんな感じの。

気を取り直してクアンガイ散策。

なんだか、かなり綺麗な街である。
それに、当然だがベトナム第3の都市ダナンより人口密度が低い。

ここで、ある不安がよぎった。

人口密度が低いということは、タクシーも少ない。
はちゅきはボッタクリ回避のために配車アプリでしかタクシー、それも運賃の安いバイタクしか使わないのだが、この街ではバイタクが捕まらない可能性がある。


Googleマップを見ると、リーソン島への船が出るサカイ港へはここから24kmも離れている。公共交通機関なんてないので、タクシー以外の選択肢はない。

試しに配車アプリから呼んでみると、案の定まったく引っかからなかった。

流しのタクシーでも捕まえようかと思った矢先、先ほどのバイタクのグエンがまたも声をかけてきた。

なんという粘着力。まあいい、グエンはいくらで乗せてってくれる?

グエン「リーソンに行くのか?港まで20万ドン(約1200円)でどうよ」 

はちゅき「配車アプリでは12万ドンってなってる!12万ドンで乗せてけ!」

グエン「どっひゃ〰、そりゃないぜ、こっから24kmもあるんやぞ」

グエンはそこら辺を歩いていた姉ちゃんに助けを求めだした。

グエン「姉ちゃんからもなんとか言ってくれよ〰」

姉ちゃんははちゅきを見て「うお、外人がいる!?」と驚いていた。観光都市のダナンですらエリアによっては驚かれるんだから、クアンガイでの日本人の希少性はツチノコ並に違いない。

姉ちゃん「あんた、港まではかなり距離あるで。20万ドンは妥当やと思うけどな」

姉ちゃんのリアクションを見るに、法外な料金というわけでもなさそうだった。まあ確かに、20万ドンでも破格だと思う。

もうちょい値切れそうな気はしたが、交渉できたとしても5万ドン(約300円)が精一杯だろう。たった300円のために時間をかけるのもアホらしい。
よろしくな!とグエンと握手を交わした。


バイクの後ろに跨って、いざ出発!

と、その前に最寄りのスーパーマーケットに寄ってもらった。これから向かうのは離島なのだから、物価が半端なく高い可能性がある。ここで食料を買い込んでおくのが得策だろう。


ここはビンコムプラザ・クアンガイ。ビンコムは日本でいうイオン的存在で、ローカル民の数少ない遊び場となっている。

インスタントラーメンをしこたま購入し、グエンにも飲み物を買ってやると、今度こそ港へ向けて出発した。


うーん、なにもないぜ!なんとなく北海道を思い出す景色。


建造中のビッグブッダを発見。ウォースゲーと興奮したが、たぶん日本の大仏のがでかくてすごい。そういや鎌倉の大仏とか見に行ったことないな。


なんの問題もなくサカイ港に到着。Googleマップでは34分となっていたが、実際には25分くらいで到着した。


なんというか、ショボい港である。海は泥水のようだし、本当にリーソン島の海は綺麗なのだろうか。


中でチケットを買い、フードコートでぶっかけ飯を食した。
こういう所のフードコートって大体観光地価格のボッタ値なのだが、これはなんと150円程度。肉、野菜、シーフードがあってスープ付き。コスパ抜群てレベルじゃない。


やがて船が到着。いよいよ、謎の秘境リーソン島へ向かう時が来た。

パット見、外人客ははちゅき一人。船内は一応指定席なのだが、みんな構わずに好きな席に座っており、はちゅきの席も土人のババアが占有していた。

周りから「ここ空いてるぞ!」と親切に声をかけてもらい、無事に着席。

ここまで大きなトラブルもなく順調すぎてこわい。こんなんじゃ記事のネタにならねえよ。

海は荒れに荒れており、船内は半ば絶叫マシーンと化していた。
はちゅきは乗り物酔いしないタイプなので楽しかったが、周りではゲロゲロするベトナム人が続出。エチケット袋が席に備え付けられてるが、この揺れだから狙いを外す奴らが多くて、船内はゲロでスプラトゥーンしてるかのような有り様となってしまった。


…船内ゲロまみれの大惨事を乗り越え、無事にリーソン島に上陸した。
ここが宿である。なかなか良いでしょ?
何泊するかも決めてない旅であったが、とりあえず4泊することにした。4泊5日もあれば島の隅々まで観光できるにちがいない。

さて、無事に宿もとれたことだし、ゆっくり周辺の散歩でもいってみっか!


……………上陸時の様子や宿探しのエピソードはないのかって?

本来の予定なら、港から海を撮影して『さすが離島!船着き場からして透明度が高いぜ!』と感激したのち、島内を撮影しながら宿を探すフェーズに入るところだったのだが、
なんと上陸して3分後にはホテルにチェックインしていた。ガチで。
撮り忘れたとかではなくて、撮る余裕がまったくなかったのだ。


『経緯はこうです』

『船から降りた瞬間、私は大勢の人に囲まれました。タクシーやツアー、バイクのレンタルなど様々です。人、人、人。周りの景色なんてまったくわからないほどでした。
その中で、一人だけホテルを紹介してきたババアがいました。
一泊20万ドン(1200円)、エアコン、ホットシャワー、ベランダ、飲料水付き。
一泊2000円は覚悟していたので、かなり魅力的な条件でした。私は二つ返事をし、ババアのバイクの後ろに乗せてもらいホテルへと向かいました。ババアはめちゃくちゃケツがプリプリしていて、若い女性に負けないほどのハリをしていました。
10秒ほどでホテルに到着。港から至近のホテルで、バイクに乗るほどの距離じゃないやんとツッコミを入れる間もなく、部屋に案内されたのです』


部屋の窓から島の中心地の景色が覗ける。
情報が全然ない秘境というからどんな島なのかと思ったら、結構栄えているではないか。
それに上陸直後のあの客引き軍団。

ひょっとして、めちゃくちゃリゾートアイランドだったりするのか?

…そのとき、何者かが部屋を訪ねてきた。

ドアを開けてびっくり、学校帰り感あるJKくらいの女子が立っていた。
どうやら学校から帰ってくるなりババアから「お客様のパスポート預かるの忘れてたからもらってきてや」と頼まれたっぽい。

ジャップパスポートは世界最強クラスなんだぞ、丁重に扱えよ、と圧をかけながらJKに渡すと、一子相伝のプリケツをプリプリさせながら階段を降りていった。
ババアはもういらんけどあの娘とは仲良くしてえな。

しかし残念なことに、この滞在ではどちらかというとプリケツババアの方にお世話になるのだった。


つづく

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