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ドラマみたいな不倫話⑫

私が新入社員で入社した、会社の先輩が彼でした。
彼は、口数が少ない、人見知りタイプでしたが
勤続年数も長く、仕事もすごく早くて確実、
とてもできる人、という初見でした。

私達、新入社員の新人研修受け持ちとなった彼。
仕事やら会社やらと、右も左もわからない私にとっては、仕事をテキパキとこなす姿がすごくかっこよかったのです。

新人研修も終わり、配属部署が決まりました。
なんと、私は彼の部下に配属されました。
細かい点から応用、さまざまな仕事を教えてもらううちに、徐々に惹かれている自分がいました。

ある日、仕事終わりに飲みに連れてってもらった時に、酔った勢いで彼は家族とうまくいってない、とこぼしていました。
それがきっかけで段々と彼の家族構成、家族仲の、愚痴を聞くことが増えていきました。

ある日、夜遅くに彼から電話がきて家から追い出された、と言ってきたのです。
驚いた私は、とりあえず近くのカフェで彼と落ち合う事に。
心配でしたし、きっと彼も気が動転していたんだと思います。

彼の話では、奥さんとずっとうまくいっておらず、
たびたび追い出されることがあるそうで。
その度に会社の備品庫で寝たりしていたんだそう。

私は彼に惹かれていたこともあり、
その日は私の家に泊まってもらいました。
その日から、不倫は始まってしまったのです。
彼も、奥さんと私は真逆らしく、
癒される、と言われてとても浮かれてしまいました。


しばらく関係が続いた頃でしょうか。
人事から急に呼び出された時には血の気が引きました。
彼の奥さんが、私と不倫してると会社に電話をしてきたのです。

私は全力で否定しました。
彼も別の時間帯に呼び出されたそうですが、彼も否定したそうで。
私はその時、結局は家族が大切なんだなと、一気に冷めたのを覚えています。

不倫に未来はないと思い、反省も込めて、彼に別れを告げました。
しかし、彼は真逆でした。
余計に離れたくなくなった、と言うのです。
いつかは一緒になりたい。と。

私は正直、更に冷めてしまいました。
奥さんにバレたのに、何も反省していない彼。
いつかは一緒になりたい、そんな常套句、信じられるわけがない。
しかも、誰かの家庭を壊して目一杯の幸せなんてあるのでしょうか?

私は愕然としつつ、半ば一方的に縁を切ってしまいました。
ちょうど異動のタイミングで、私は部署も変ったのでちょうど良かったです。

しばらく平穏な日々が続きましたが、なんと、再度人事に呼び出されたのです。
彼の奥さんからまた連絡が来た、と。
会社に来ている、ただ、様子がおかしい、と。

なんだかとても胸がザワつきつつ、私は彼の奥さんと会うことになりました。
小柄でポッチャリした体型とは裏腹に、キリッとした顔つきと、きちっと縛ったポニーテール。
少し怖いと思ったのは顔つきからだったのかもしれません。

奥さんの話では、彼の帰りが最近また遅いとのこと。
そして、思い切って彼のケータイを見たそうです。
すると、私の写真がズラズラとあり、不倫を確信したそうなのですが、アングルがおかしいことに気づいたんだそうです。
なんと、彼は私が出勤する時間、帰宅する時間、ランチタイムなどなど、ずっとあとをつけて隠し撮りをしてたのです。

そうです。ストーカーです。

私が同期と一緒にいる写真は、わざわざ映り込んでいる同期を塗りつぶしてあったそうです。

あなた、本当に何もなかったの?
っと、奥さんに不安そうに聞かれた時に
私は泣きながら全てを話しました。
本当に申し訳なかった、、と。

奥さんはとても困惑したような、ただ、全てを知っていたかのような、なんともいえない表情をしながら、私の話をずっと黙って聞いてくれました。

奥さんは、私が泣き止むのを待ってくれ、そして、
あなたから縁を断ち切ってくれてありがとう。と言ってくれたのです。
私は心の底から罪悪感と懺悔の気持ちでいっぱいになりました。

結末から言うと、この奥さん、実は今では私の1番の親友です。笑

その後はとても怒涛の日々でした。
奥さんは、ずっと離婚を考えていたようで、不倫が原因ではなかったけれど、不倫をしているなら、慰謝料を取ろうと思い、ケータイを見た、とのこと。
自分の夫がストーカーまがいなことをしているのを目の当たりにし、すぐに弁護士を立て、相談中だ、とのこと。

一通り、私の話を聞いて、私の事は許してくれる代わりにビンタさせてくれ、と言われ。。。
あの時の一撃は身に沁みたなぁ、、、

彼の方は、会社に全て奥さんが話し、人事が激怒。
不倫の件については、私にも責任があるとし、
私は謹慎からの、1年間の左遷。
彼は不倫、からのストーカーが問題視され、
私と奥さん、子供に2度と近づかないという念書を、社長の目の前で記入、
同じように左遷したが、5年間は備品庫係。
という結果に。


あれから10年経ちましたが、
私も家庭を持つ身になり、
若かったとはいえ、本当に軽はずみな行動をしたなと、今でも反省しつつ、奥さん(親友)には、子育ても含め、とても助けてもらい、ある意味良い出会いをもらったな、と思っています。



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