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広報担当が実践する共感を生む発信の秘訣とは「採用ブランディング篇」

この記事は【#PRLT(Lightning Text) Advent Calendar 2021】の14日目(12月14日分)にエントリーしています。

 インターネットを軸に多様な事業を展開する総合IT企業である株式会社エイチームでコーポレートPRを担当している安藤 春香です。以前は人事として中途採用のかたわら採用広報を担い、現在はPR専任担当してコーポレートコミュニケーションを実践する立場として採用ブランディングも担当しています。

今回はこれまでの経験を振り返りながら、共感を生む情報発信をテーマにお伝えします。

■自己紹介 安藤 春香(株式会社エイチーム)
株式会社エイチーム 社長室 コーポレートPRグループ 広報担当。エイチームは、インターネットを軸に多様な事業領域にビジネスを展開する総合IT企業。前職の株式会社リクルートジョブスでの求人広告の企画営業を経て、2015年にエイチームへ人事として中途入社。2018年にコーポレートPRグループへ異動し、広報業務全般を担う。
<主な担当>
・コーポレートブランディング、コミュニケーション全般
・メディアリレーションズ
・グループ会社・各事業への広報・PR業務支援
・採用ブランディング(オウンドメディア、人・組織の広報活動)
・インターナルコミュニケーション(社内広報、社内報)

広報の「役割」パブリックリレーションズとは


広報の役割とは(おさらい)
パブリック・リレーションズとは、「社会との関係性構築」と直訳され、企業やブランドに関する社会での認知を高める活動のことです。
企業を取り巻く社会には、サービスをご利用いただくお客様、お取引先、株主や投資家など様々なステークホルダーが存在します。
自社の社員や社員の家族、また採用活動における採用候補者も重要なステークホルダーです。

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コーポレートブランディングの重要性
また、パブリックリレーションズを実践していく上で、コーポレートブランディングも重要な役割を担います。ミッション・ビジョン・バリューなど企業が存在する社会的目的、企業の価値観や組織文化など、企業がステークホルダーに共有したい企業の社会的イメージをコーポレートブランディングによって醸成します。全ての企業においてコーポレートブランディングは存在しますので、人事や広報として「会社」を正しく理解することはとても重要です。

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パブリックリレーションズの効果
そして、パブリックリレーションズで期待できる効果として、採用候補者を始めとしたステークホルダーに、「安心」「憧れ」「信頼」「将来性」を感じてもらえることが期待できます。
こうした活動が企業の社会的価値を高めることにつながります。

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企業ブランディングは様々なステークホルダーに影響していきます。

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コーポレートブランディングと採用ブランディングの関係
また、冒頭にパブリックリレーションズやコーポレートブランディングについてのお話をしたのには理由があります。
ステークホルダーは循環しますので、全てのステークホルダーが採用候補者になりうる可能性があります。お取引先やお客様、社員の家族や友人なども、巡り巡って採用候補者になるかもしれません。

そのため、企業ブランディングを言語化して、様々なコミュニケーション活動に一貫性あることが大切です。また、採用ブランディングにおいても、これらのコーポレートブランディングはとても重要です。

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採用においてブランディングが重要視される理由

採用においてブランディングが重要視される理由は「Purpose」と「Storytelling」の2つです。

「Purpose(パーパス)」:「Purpose(存在意義)」の共感が大切で、企業と個人との共通の「 Purpose」が共感を生む
「Storytelling(ストーリーテリング)」:「モノ」→「コト」の時代へ。共感を呼ぶストーリーテリングの重要性の高まり

「Purpose(存在意義)」の共感が大切
Purposeとは、組織や企業の存在理由や存在意義のことです。何のためにこの会社があり、何を実現するために事業をするのか。社会における企業の存在意義、企業の独自の価値観のことです。
「パーパス」を定義していない企業でも、ミッション・ビジョン・バリュー、経営理念など、異なる定義があるかもしれませんが、おおよそ「社会に存在する意義・意味」と捉えていただいて大丈夫です。

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なぜ、採用のおいて「パーパス」が重要視されるのかを裏付ける調査があります。こちらは、ミレニアム世代の働く目的やモチベーションに関する調査結果です。

社会・世界への貢献・影響力が76%、一方でステータスや地位は22%、金瀬的報酬は10%という結果になっています。
多くのミレニアル世代は仕事に社会的意義を重要視している傾向が読み取れます。ミレニアル世代やZ世代などの若年層は、環境問題や差別問題など、さまざま社会課題と直面してるため、ただお金を稼いでいるだけの企業ではなく、課題解決をしてより社会に貢献する、というパーパスドリブンな企業が支持される傾向にあります。

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企業と個人との共通「 Purpose」が共感を生む
このように「パーパス」の重要性がますます高まる中、パーパスを企業経営や組織運営を取り入れる「パーパスマネジメント」を導入する企業も増えてきている印象です。
採用活動における「パーパス」は、企業の持つ「パーパス」と個人が持つ「パーパス」の重なりを増やすことが重要と言えます。

企業と個人の共通のパーパスが高い共感を生み、その企業や組織に参画したいという気持ちが高まります。
同時に、パーパスを実現するためのブランドメッセージを訴求していくことになりますので、ブランドの信頼性も向上します。

そして何より、社員の働く意義が明確に示され、ロイヤリティやワークエンゲージメント向上につながります。採用候補者と接するのは企業で働く社員たちになりますので、この点も非常に重要と言えます。

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「モノ」→「コト」へ。共感を呼ぶストーリーテリング

続いては、「ストーリーテリング」です。
現在は、モノと情報があふれる世の中で、「もの」ではなく、どんな体験や経験を得られるかという「こと」の価値が高まる時代に代わっている。
「こと」を伝えるためには、ブランドが持つビジョンや価値観などのストーリーを伝えることが大切で、このストーリーが人々の「共感」を呼ぶ。

ストーリーには、そのブランドの「過去や歴史」、価値観や考え方、人々とどのように関係性を築いてきたのかを伝えていく。
注意しなければならないのが「嘘」ではなく「真実」を伝えること。そのブランドが経験した「事実」を「感情」とセットで伝えていくことが大切だ。

なお、ストーリーによって伝えることで、情報の価値が高まり、通常より約22倍も記憶に残りやすいという研究結果も報告されています。

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改めて整理すると、ストーリーテリングにより3つの効果を得ることができます。
知覚価値を高め信憑性が高まること
ストーリーで伝えることで記憶に残りやすいこと
そして、感情移入により自身の価値観や経験に共通点が生まれ、共感度が高まる点です。

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企業独自の価値観と社会的意義である「パーパス」、そして、物語として語り共感を生む「ストーリーテリング」
この2つの要素を意識して、パーパスを明確にし、ストーリーで伝えることにより、共感を得ることができます。
採用ブランディングにも同様のことが言えます。

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連続的で一貫性あるコミュニケーション
そして、この「パーパス」と「ストーリーテリング」は様々なコミュニケーションにおいて一貫性があることが重要です。
企業認知から応募に至るまでの採用マーケティングの段階、採用面接におけるリクルーティングの段階、入社後の就業中の体験、そして退職後のアルムナイまで、様々なコミュニケーションツールや人との関わりの中で、伝えるメッセージはパーパスとストーリーを意識します。

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採用広報における情報発信の考え方

発信したい情報×求められている情報=情報の優先度高
採用広報における発信は、「発信したい情報」と採用候補者が「求めている情報」を掛け算で整理して、情報の優先度を設定することが大切です。

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重点的に発信したい情報
企業がブランディングとして重点的に発信したい要素を整理します。例えば、私が抽出した要素は6つです。経営理念、企業文化・価値観、歴史・沿革、事業や職種の多様性、社員・組織の風土、人材活用のスタンス。

これらを抽出するには、人事・採用戦略に即した発信すべき情報の言語化が必要です。主には、採用や人材登用において重要視しているポイント、人材育成や評価、マネジメントに関する基準、活躍人材の共通特徴や行動特性などのコアコンピテンシーの要素、こうした情報を包括的かつ網羅的に整理します。

これらの要素を伝えるために必要な情報は何か。この情報を裏付ける社員のエピソードや取り組み、体験や経験などを様々な観点からストーリーテリングしていきます。

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採用候補者から必要とされる情報
続いては、採用候補者から必要とされる・求められる情報の整理です。いわゆる企業等への組織へ参画要因を整理します。

目標への共感:①理念・ビジョン、②戦略・目標への将来性
活動内容への魅力:③事業・商品サービス、④仕事・業務の醍醐味
働く社員の魅力:⑤風土・慣行の親しみ、⑥人材・人間関係の豊かさ
特権への魅力:⑦施設・職場環境の利便性、⑧制度・待遇の充実感

採用候補者はどのような情報を欲しているのか。この点は、採用候補者が必要としている情報をリサーチして整理していきます。

私が実践している方法として、企業の評判や評価を定期的にソーシャルリスニングしています。SNSや転職口コミサイト、また採用面接等のフィードバックを参考にします。

企業への志望度・好感度を向上させた情報については、ポジティブです。自社の強み・特長として、さらに積極的に発信していきます。

一方で、情報発信が足りていない領域、自社の事実と異なるイメージを醸成されている情報など、ポジティブな転換が必要なものに関しては、その領域の情報の発信を強化することで、まずはニュートラルな状態にしていきます。

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ちなみに、こうしたソーシャルリスニングを通して得た情報は、「ニュートラル」「ポジティブ」「ネガティブ」に分けて整理していきます。

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このように、発信したい要素、求められる要素をそれぞれ整理しつつ、コミュニケーションを設計していきます。また発信後については、継続してソーシャルリスニングしながら反響を確認しながら、改善を続けていきます。

一貫性と継続性を意識したコミュニケーション(In the case of Ateam)
エイチームの事例となりますが、一貫性と継続性を意識したコミュニケーションは、各コミュニケーションフェーズに分けて、情報設計をしています。
応募に至るまでの採用マーケティングにおいては、認知や興味関心を高めるための発信活動が中心です。同時に社員へのインプットが必要なので外部発信の情報を社内へ発信しています。

選考活動が始まると、面接や面談等で採用候補者と接点がありますので、それらが採用広報にあたります。
また、オウンドメディアやSNSでの発信は選考中の採用候補者も対象になるため、志望度を高めたり、企業の理解度を高める情報も発信しています。

社内については、面接官やリクルーター研修等を通じて人事や役員から社員へ情報発信を継続的に行います。
面接等のフィードバックも人事から面接官に適宜行い、相互のこにゅにケーションを大切にしています。
また、先ほどご紹介したブランド調査や口コミ調査情報等は人事や社員にも共有し、採用における情報として役立ててもらっています。

その他には、社内広報活動として、毎週月曜日に全社員が集まる全体ミーティング、社内報やイントラネット、社内メルマガなどの情報発信を継続し行っています。


今日のまとめ

長くなりましたが最後です。

「Purpose」と「Storytelling」によりブランドの物語をよりリアリティに伝えます。独自の価値観や社会的意義を物語として伝えることで共感が生まれます。そして何より共通の「Purpose」が多いほど共感接点が多くなります。

ステークホルダーとのコミュニケーションは一貫性が大切です。ブランディングは全てにおいて一貫性を意識していきます。

そして、発信したい情報ステークホルダーから求められている情報を掛け算で整理して戦略的に発信していきます。

最後に、ソーシャルリスニングを通して、企業の評判や評価を正しく定期的にチェックしながら、広報活動にフィードバックしていきます。

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