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家族が人を殺す、ということ。

ススキノ頭部切断事件について

田村瑠奈容疑者(29歳)と父親で医師の修容疑者(59歳)、母親の浩子容疑者(60歳)の3人は、今月1日深夜から2日未明にかけ、札幌のススキノのホテルで、刃物のようなもので、62歳の男性の遺体の首を切断、頭の部分を持ち去った疑いが持たれています。

日々、ニュースに取り上げられない殺人事件だって数多くあるのだろうけれど、この事件が特に注目されているのは、

・年の離れた容疑者と被害者
・謎の動機
・両親が犯行の協力に関わっている可能性が高いこと
・父親が医者であること

そして何より、
・頭部を切断して自宅に持ち帰る、という行動

このあたりが、特殊だからなのだろう。

遺体の身元を隠すことが目的だったにせよ、なぜそんなリスクの大きな(猟奇的な)行動に出たのか…という。

誰かを殺したいと本気で思って行動した時、殺すことだけが目的なら、こんなに目立つ行動は、普通は取らない。遺体発見だって遅れれば遅れるほど、犯人特定は遅れるだろう。逮捕されたくない、事件解明してほしくない、という大抵の犯人が抱くであろう願望を満たそうと思えば、猶更だ。

頭部を切断された遺体がホテルに残された時点で、すぐに通報され、ニュースになることは目に見えている。ラブホテルなら利用者の情報はホテル側は控えていないにせよ、付近の防犯カメラの映像はチェックされるだろうし、すぐに自分が犯人とバレる可能性も高い。

それは分かっていたのではないだろうか。
3人も関わっていたのなら、猶更。

捕まっても構わない、それでも決行するしかない、そういうのっぴきならない事情があったのだろうか。

そこまで思える事件。

被害者の男性から脅されたり、攻撃されたりしていたのか。それとも何かを知られてしまって、どうしても隠したかったのか。守りたかったのは自分なのか、別の物なのか。

どう考えても相対的に非力な女性が1人で成人男性を襲う、という計画自体が、まず非現実的だ。ホテルに誘って、相手がお風呂場に入った裸の状態で油断した所を襲う、という特殊な状況ゆえの成功見込みだったのだろうけれど。

ホテルに2人きりって、邪魔も入らないけれど、助けも来ない。いくら駐車場で父親が待機していたとして、呼べばすぐ来る状態だったとしても、そんな非常事態で反撃されたら、電話をかける暇もないかもしれない。スマホの通話を繋ぎっぱなしにしていたのだろうか。それでも応援は間に合わないかもしれない。彼女は、被害者の反撃が怖くなかったのだろうか。

私なら、怖い。手が震える。殺す前に死ぬかもしれない。成功する保証なんてない。

人を殺し慣れてでもいない限り、想定外の事態になることなんて大いにあり得る。身の危険を感じた人間がどんな反撃に出るか、なんてリアルに想像できるわけがない。人間の頭部を切断するという行為自体も、正常な精神状態ではできることではないように思う。やれと言われたってできない、そういう人の方が多いはず。

異常だったのは、精神状態だったのか、人格だったのか、状況だったのか、親子関係だったのか。はたまた、実行犯と黒幕が別というような、まだ世に出ていない裏の事情があるのか。

過去に2人の間にトラブルがあったにせよ、相手は警戒されずにホテルに一緒に入るほどには心を許していたわけで、それは相手が若い女性であるから誘惑に勝てなかったに過ぎないのか、他の事情があったのか…その辺も含めて、今後明らかになるのだろう。きっと。

両親は、もともと計画を知っていて協力したのだろうか。それとも事後に知らされて、協力せざるを得なかったのだろうか。それとも、そもそも親の指示だったのだろうか。

今回の犯行を主体的に計画したのは誰だったのだろう。

部外者である私に事件の関係者の本当の気持ちは分からないし、有罪判決が出たわけではない段階で、容疑者を犯人と断定して記事を書くのも問題があるかもしれない。

だけど、そんなこと言ったら何も書けないので、そうであると仮定して、今回の記事を書いていることは許してほしい。

父親が医者である、ということは今回の事件にはあまり関係がなさそう。もし今回の事件が計画的なもので、事前に娘の計画を知っていたのなら、医学的な知識を利用して、もう少し地味な殺害方法を取りそう。

病院にバレたら…とか、医師の資格を失ったら…などと考えるくらいの冷静さがあったのなら、そもそも事件に関わること自体、躊躇するだろう。どんな手段であれ家族が殺人を犯したとして起訴されたら、無関係ではいられない。犯行の前後に送迎したり、遺体を遺棄・損壊という協力をしたのなら尚更、仕事どころではなくなることは目に見えている。

たとえば、ナイフの購入はあくまで脅すためで、殺害まではするつもりがなかった…、ってことなのだろうか。それも無理がある?

謎の多い事件。

ただ、人は必ずしも合理的な行動を取るわけではない。およそ理解のできないような動機で突拍子もない行動を取る場合もある。誰もが納得する結末なんて永遠に解明されないのかもしれない。

だからこそ、明日は我が身。

防げる事件ばかりではない。

自分や家族が加害者になったら?被害者になったら?我が事として考えることは、決して無駄ではない。

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もしも、自分の家族が殺人を犯したら。
いや、実行する前だとしても、「どうしても殺したい人がいる」と相談してきたら。私ならどうするのだろうか。そこまで追い詰められている時点で、簡単には止められず、必死の説得も虚しく行動に移してしまうかもしれない。


人を殺す、ということ。

犯人だと疑われ、逮捕され拘留されるとか、普通の人生を歩めなくなるとか、

そんなことよりも、
その前に、

自分と同族の、人間という存在を殺害するという行動自体が、

かなり独特な行動。

できれば一生避けたいし、そんな事態にならないことを願うし、周りの人にも関わってほしくない種類の行動。

それでも関わらざるを得なくなった時、逃げられない事態になった時、私は何を覚悟するのだろうか。何を捨て、何を諦め、誰に謝るのだろう。

事故か過失か、実行犯か、ほう助か。
その違いは、微々たるものな気がする。

誰かの遺体を前にして、医者を呼ばない。通報もしない。そういう決断をした自分は同罪だ。共犯だ。もう戻れない。そう思うだろう。

あぁ…自分はもう、許されることはない。

どんな言い訳をしても。

たとえ、バレなくても。

そんな重すぎる荷物を背負って、
だけど死んだって許されるわけではないのだから、と

少しでも償おうとしながら生きていくのだろうか。

自ら身を投げたって、償いにはならない。

安易にそちらに流れようと思考は働くけれど、それはやっぱり違うのだと思う。

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罪悪感といえば、さだまさしさんの「償い」を思い出す。知人の実話らしい。

聴く度に泣く。

罪の意識って、多かれ少なかれ、誰しも何かしら抱えていて、だからこそ心に刺さるのだと思う。

月末になるとゆうちゃんは
薄い給料袋の封も切らずに
必ず横町の角にある郵便局へ
飛び込んでゆくのだった

仲間はそんな彼を見てみんな
貯金が趣味の しみったれたやつだと
飲んだ勢いであざ笑っても
ゆうちゃんは にこにこ笑うばかり

僕だけが知っているのだ
彼はここへ来る前にたった一度だけ
たった一度だけ悲しい過ちを犯してしまったのだ
配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影に
ブレーキが間に合わなかった
彼はその日とても疲れてた

人殺し あんたを許さないと
彼を罵った被害者の奥さんの涙の足元で
彼はひたすら大声で泣きながら
ただ頭を床にこすりつけるだけだった

それから彼は人が変わった
何もかも忘れて働いて働いて
償いきれるはずもないが せめてもと

毎月あの人に仕送りをしている
今日ゆうちゃんが僕の部屋へ
泣きながら走りこんできた
しゃくりあげながら

彼は一通の手紙を抱きしめていた
それは事件から数えて
ようやく七年目に初めて
あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り

ありがとう あなたの優しい気持ちは
とてもよくわかりました

だからどうぞ送金はやめてください
あなたの文字を見るたびに
主人を思い出して つらいのです

あなたの気持ちはわかるけど
それよりどうか もうあなたご自身の人生を
元に戻してあげてほしい

手紙の中身は どうでもよかった
それよりも償いきれるはずもない

あの人から返事が来たのがありがたくて
ありがたくてありがたくてありがたくてありがたくて

神様って思わず僕は叫んでいた
彼は許されたと思っていいのですか
来月も郵便局へ通うはずの優しい人を
許してくれて ありがとう

人間って悲しいね だってみんな優しい
それが傷つけあって かばいあって
なんだか もらい泣きの涙が止まらなくて

止まらなくて止まらなくて止まらなくて

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歌詞呼んだだけで、泣けてきた…。心のどこを揺さぶられて泣くのか、自分でも上手く説明できない。(言葉にできたら、また別の記事に。)
定期的に聞きたくなる、名曲。

忘れちゃいけない大切なものが、この歌には詰まってる。

人生の、原点確認。

私にも、忘れている罪があるのかもしれない。
私の罪って何だろう。

その他の気になるニュース記事をメモ。
その時々の感情を、世相を、忘れないためにも定期的に書いていこうと思います。

・ビッグモーターの事件について
・夏休みに食事にありつけない子供たち
・夫婦関係改善系の記事について
・妻のDV、殺してしまった夫への判決
・ネットで執拗に誹謗中傷してくる人は身近な人かもしれない

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ありがとうございます、また書きます。思い出したら、また読みに来てください✨