橋下徹氏の発言について私が池内恵教授に対して長文リプライを行った理由

リプライをまとめた当該の記事には【はじめに】として追記済みですが、一応ここで別記事にもしておきます。

 橋下徹氏と彼の賛同者の言動はその真意がどうであれ、結果としてプーチン・ロシアの侵略、及びそのプロパガンダに正当性を与えるものです。
軍事的劣勢に立たされているウクライナにとって国際社会からの支援は命綱です。その国際社会を動かすのは国際世論であり、各国政府に対して民意を示す大衆がそれを形成しています。日本の大衆の間で橋下氏の意見が受容されてしまえば、日本が国際世論の足を引っ張ってウクライナを窮地に追い込むことになり、結局はロシアの侵略に加担することになってしまいます。「悪意は無かった」で済む問題ではありません。以上の理由から、橋下氏らの発言を野放しにしておくべきではないと考え、橋下氏の言動について疑義を提出しておられた池内先生に対して当該の文章を返信として提出しました。

 ここから先は【はじめに】の方では述べていませんが、橋下氏がわざわざロシアに加担するような真似をするのは、彼が意識的に邪悪な意図を持っているというよりは、むしろ己の言説がどういうパフォーマンスとして機能するのか、それがどういう影響をどのような人々に与えていくのかという具体的メカニズムを全く把握できない「愚劣さ」によってである、というのが私の当該記事の前提として存在します。

 あのような無自覚なままで結果として全体主義を礼賛してしまう態度こそが、かつてこの国をファシズム・太平洋戦争に突入させたのであり、彼に一定数以上の賛同者がいるのを見ると橋下氏と同様の精神性は民衆の中にも存在し、未だに健在なのだと今回の件で明るみに出たと考えています。言い換えれば日本的邪悪の根底にはこの愚劣さが潜んでおり、攻撃的な邪悪さに対してというよりは、未だに人々の間に放置されている「愚かさ」に対して警戒心を抱いた方がよいと言うのが私の主張です。

以上の事から今回の橋下氏の振る舞いはウクライナに対してダメージを与えるだけでなく、まともな民主主義のシステムにダメージを与えるもので、他人事としてではなく私たち日本社会で生きる者にとって直視しなければならない課題だと思います。

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