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なにをやっているのやら

椅子を引く音が図書館中にくまなく響いた。
リサは多くの視線をよそに大股で動物の書架へ、地図へ。そして大きなため息をついた。

戻ってきた彼女は私のシャツの肩を摘まむ。
「なに?」と息を吐くと、「山椒魚探してんの」と息を漏らした。
思わずいかがわしい、という目を向ける。
「バーカ、本物じゃないよ。本物だけど」と少し粗い息を吐いた。
ーwhy?ーとノートの端に書く。
「あのヌルヌルがアトピーにいいんだって」
私は指を唇に当ててから眉をなぞった。
リサはサッとペンを取るとー明日、京都行く。おまえも恋ーと、ノートの真ん中に大きく書いた。
彼女の弟が酷いアトピーなのは知っている。

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